なぜかモメる西武５番打者

●そういえばＧ．Ｇ．佐藤も

「西武でＦＡ権を取るってことはどういうことなのかを知ってほしい。全部書いていいですよ！　書いてくださいよ！」

　こう言って怒りをぶちまけたのは西武の石井義人（３１）だ。１０日、１２００万円増の年俸５５００万円で契約更改を行ったが、「本当はサインしたくなかった」と目を吊り上げる。怒りの原因は今季初めて獲得したＦＡ権をめぐっての球団とのやりとりだ。

「移籍するかしないかは別にして、他球団が僕をどう評価しているのか聞いてみたいじゃないですか。でも、西武は『ＦＡ宣言してウチに残留したいなら、他球団の話は聞いちゃダメ』って。何度か話したけど、ダメだダメだの一点張り。これじゃあ何のためのＦＡ権なんですか……。球団は僕を必要な戦力って口では言いますけどね。そんな態度は全然感じません」

　ＦＡ宣言はとかくマネーゲームになりやすい。そのため、広島やソフトバンクなどＦＡ権を行使してのチーム残留を認めない球団は珍しくないが、「他球団と話をしない上でのＦＡ残留ならＯＫ」では、確かにＦＡ宣言の意味がない。

　もっとも、石井が球団に向ける怒りには、他のレギュラーとの待遇の差もあるだろう。今季は規定打席にわずか２４打席足りなかったが、１２５試合に出場し打率．３００、１１５安打、３９打点。主に５番を打ち、クリーンアップの一角を担った。にもかかわらず、球団がチヤホヤするのは３番の中島や４番の中村ばかり。年俸の上がり幅が、打率．２７８、８５安打、２９打点だった昨季と全く同じというのだから、石井が怒るのもうなずける。

　そういえば、西武では石井の前に５番を打っていたＧ．Ｇ．佐藤も０７年オフに年俸の査定を巡って球団と大ゲンカ。春季キャンプに入ってもサインを拒み続け、練習試合のメンバーから外された事件があった。

「もう一度、渡辺監督と優勝したいと思っていたけど、我慢も限界」と話した石井。西武の５番打者はトラブル続きである。

（日刊ゲンダイ2009年12月11日掲載）