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「デンマーク」幸福度は世界一!?
2009年12月14日 00:00更新
デンマークは、2006年におこなわれた英国独立系シンクタンクによる「地球幸福度調査」で幸福度1位になった国。北欧諸国の1つということで、福祉の手厚い国というイメージを持つ人も多いだろう。
実際、調べてみるとほぼそのイメージの通り。とくに社会福祉に対する行政サービスは、非常に手厚い。国の総支出の4分の1近くが社会福祉関係に使われているほどだ。医療費は基本的に無料だし、教育費に関しても、大学までの学費も無料。また、高齢者福祉や年金制度、失業手当や住宅手当などの助成金も充実しており、一例を挙げれば、老人ホームの個室は、トイレ、シャワー、キッチン完備が標準だ。それに加え、デンマークでは地方分権が進んでおり、こうした行政サービスをおこなうのは、国ではなく地方自治体。そのため地域に密着したサービスを受けることができる。
しかし、問題点もないではない。もちろん、まず「高福祉」である分「高負担」なのが現実。税金はやはり高い。消費税率が25%、国税と地方税を合わせた平均所得税率が50%近くにもなる。しかし、これについてはデンマーク人は納得している人が多い。つまり、「たしかに税金は高いけど、その分行政サービスがいいから我慢できる」ということだ。
むしろ問題なのは、高齢者の長寿命化による社会福祉費の支出増加が、国と地方自治体の財政を圧迫しているということだ。また、最近では医療従事者の慢性的な不足も問題になっている。医師や看護師の給与水準が低いためになり手がいないのだ。そのため病院の予約は数ヶ月待ちになったりすることもざら。
たしかにデンマークの福祉の手厚さはうらやましい。ただし、「消費税25%」というのは日本では厳しい。あっちを立てれば、こっちが立たず。国の運営というのは一長一短。どこも難しいようだ。
text by:岩瀬多聞
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