餌をもらうため、姿を現したキツネとタヌキ
九重町吉部の大船林道そばにある「暮雨(くらさめ)茶屋」に、野生のキツネとタヌキが現れ、餌付けした経営者の藤近杉子さん(58)と、温かいふれあいの日々を過ごしている。「生き物との交流は癒やしになります」と藤近さん。
最初に“出現”したのは雄のキツネ。4カ月ほど前に草陰にいたキツネと目線を合わせた際、「コンちゃん」と呼び掛けると近づき、餌を与えるとその後、毎日のように姿を見せている。
続いて10月に入ってタヌキの「ポン太」が登場。いまだ性別不明。プレハブの茶屋の床下にすみついているが、まだ慣れないのか、与えた餌にはこわごわと寄る。さらに2匹のネコも迷い込み、藤近さんは「世帯が大きくなり、大ごとになった」と笑う。
茶屋は林道入り口そばにあり、周囲は山に囲まれ、人家は近くにない。キツネやタヌキにとって餌場さえあれば最適な“住環境”。5年前に大病を患い、自宅に2匹のイヌも飼っている藤近さんは、動物に向けるまなざしは優しい。「コンちゃん」「ポン太」と呼び掛けると、2匹はどこからともなく姿を見せる。
キツネは最近、茶屋から車で2、3分ほどの自宅まで来て、甲高い鳴き声で餌をねだるほど懐いている。藤近さんは「店に立ち寄った登山者は、珍しいものを見せてもらったと喜んでくれます。何よりキツネやタヌキが頼ってくるのがうれしくて」と話していた。
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