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オバマ大統領のノーベル平和賞受賞演説全文(4/7ページ)

2009年12月11日6時53分

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写真:オスロで10日、ノーベル平和賞のメダルと証書を受け取り、笑顔を見せるオバマ米大統領=APオスロで10日、ノーベル平和賞のメダルと証書を受け取り、笑顔を見せるオバマ米大統領=AP

  世界の安全保障に対する米国の決意は揺るがない。しかし、脅威が拡散し、やるべきことがより複雑になった世界では、米国だけで平和を確保することはできない。それはアフガニスタンでも同様だ。テロリズムと海賊行為に、飢えや人々の苦境が重なり合ったソマリアのような失敗国家にもあてはまる。悲しいことだが、今後もそれは不安定な地域の現実であり続けるだろう。

 北大西洋条約機構(NATO)の指導者たちと兵士たち、そしてその他の友好国と同盟国は、アフガンで発揮した能力と勇気を通じて、その事実を明らかにした。だが、多くの国で、こうした任務に当たる人々の努力と、一般市民の相反する感情の間に、溝が存在する。戦争がなぜ不人気なのかは分かっている。だが私は同時に、平和が望ましいという信念だけで平和が達成できることはめったにないことを知っている。平和には責任が必要だ。平和は犠牲を伴う。だからこそ、NATOは不可欠なのだ。だからこそ、我々は国連と地域の平和維持活動を強化せねばならないし、その役割を限られた国に任せてはいけない。だからこそ、我々はオスロやローマ、オタワやシドニー、ダッカやキガリへと、国外での平和維持活動や訓練から帰還した者をたたえるのだ。戦争を起こす者としてではなく、平和を請け負う人たちとしてたたえるのだ。

 武力行使について、最後に1点強調させて欲しい。戦争を始めるという難しい決断をする時も、我々は常にどう戦うかについて明確な考えを持たねばならない。ノーベル賞委員会はこの事実を認識し、赤十字の創設者でジュネーブ諸条約(制定)の原動力となったアンリ・デュナンに最初の平和賞を与えたのだ。

 武力が必要なところでは、我々は一定の行動規範を守ることに道徳的で戦略的な利益を見いだす。ルールに従わない悪質な敵と立ち向かう時も、米国は戦争遂行上の(規範を守る)旗手であり続けなければならない。それが我々と戦う相手との違いだ。それが我々の強さの源泉だ。だから、私は拷問を禁じた。(キューバの)グアンタナモ米軍基地の対テロ戦収容所の閉鎖を命じた。そして、私は米国がジュネーブ諸条約を順守することを再確認したのだ。まさにそうした理想について妥協してしまえば、我々は自分自身を見失ってしまうことになる。そして、それを守るのが困難な時にこそ、我々は理想を守り、敬意を払うのだ。

 戦争の遂行を選ぶ際、我々の頭や心に重くのしかかる問題について、私は時間を割いて話してきた。しかし、そのような悲劇的な選択を避けるための我々の努力に話を移し、正義として持続する平和を築く三つの方法について話したい。

 一つ目は、ルールや法を破る国々に対応する際、暴力ではない形で(その国の)ふるまいを変えさせねばならないということだ。もし持続的な平和を求めるなら、国際社会の言葉は、何らかの意味のあるものでなければならない。ルールを破る政権は責任をとらなければならない。制裁は、真の代償を払わせるものでなければならない。非妥協的な態度にはより強い圧力で対応せねばならない。そして、そのような圧力は、世界が一つにまとまった時にのみ、存在するのだ。

 喫緊の例として、核兵器の拡散を防ぎ、核なき世界を求める努力が挙げられる。前世紀の半ば、各国はある条約に拘束されることに同意した。その内容は明確だ。すべての国は平和的な原子力を利用できる。核兵器を持たない国は所有をあきらめ、核兵器を持つ国は軍縮に向かうということだ。私はこの条約への支持を明言する。それは私の外交政策の中心項目であり、メドベージェフ・ロシア大統領とともに米ロの核保有量を減らそうと努力している。

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