オールドとコンテポラリー どちらを選ぶか

2009-12-13 09:29:43 テーマ:ヴァイオリン 音楽
昨日、TVで日本音楽コンクールのドキュメント番組があった。
本選会場で聴いたのとはサウンドがまったく違っていることに
まず驚いた。
録音技術が進んでいるとはいえ、
再生機の限界をふと感じてしまった。

ところ、バイオリン出場者の中で
モダン、もしくはオールド楽器を演奏している人が3人。

高校生の青木さんは現代モノ(コンテンポラリー)のように見えた。(モダン楽器かもしれない)

バイオリンは定説として
イタリアのストラディバリウスをトップにアマティやガルネリなど
オールド楽器が最高峰だと言われている。

独特のやわらかでピュアなサウンドは、新作楽器では出せない。
また、古くなった楽器なら同じようなサウンドが奏でられるというわけでもない。

TVを見て、会場で聴いた音を比べてふと気づいたことがあった。
日本音楽コンクールで成田達輝くんが弾いたパガニーニのコンチェルトは、とくに第2楽章から第3楽章が素晴らしかった。
成田君の颯爽と弾き進む軽快なボウイング、左手の淀みない華麗なタッチはバツグンでした。

2番手に登場した青木尚桂さんは同じパガニーニのコンチェルトを第一楽章からぐいぐい会場へ響かせ、成田君の演奏後に高ぶりを覚えていた聴衆の心をしっかりつかんだのが1位へとつながったと思った。
聴く前に注目していたのは、成田君と尾池さんの2人。実質はこのふたりの優勝争いになるだろうと予想していたのは確か。
青木さんの音色には、惹きつけるものがあった。堂々とした演奏ぶり、テクニックも確か。初めてオーケストラと合わせたとは思えないほどのまとまった印象さえ与えていた。
注目すべきは、青木さんの鳴らすバイオリンの音色。オールドではない。

TVでわかったことだが、オールド楽器ではなさそうだった。
もしも現代モノだとすれば、これはひとつのアイデアでもあるのだが、
パガニーニのコンチェルトをコンクールで弾く場合、
特に大ホールであれば
4弦のバランスがいいコンテンポラリー楽器で弾くほうが演奏が際立つのではないかと思う。
少なくとも聴衆のウケはよくなるのは間違いなさそう。
誤解をおそれずに言えば、パガニーニを選曲するなら、コンテンポラリー楽器でオリーブを張って弾くことがひとつのコンクールの攻め方であるかもしれない。
演奏会で言えば、選曲と楽器選びを考えるべきだろう。
ぜいたくなことを言えば、弓、弦まで変えることが必要なのかもしれない。

青木さんの音色は、もういちどライブで聴いてみたくなる。それだけ惹きつけるものがあった。
それがコンテポラリー楽器のせいだとは思えない。
それでも彼女のサウンドをいきいきと引き出していたのはあの楽器ではなかったのかと
ほかの3人の楽器と比べてそう思わせるところがあった。

惹きつけるといえば、尾池亜美さんのバルトークはよく弾きこまれていて
磨き抜かれた美音がバツグンだった。青木さんのサウンドとはまた違い、
ある高みへとたどりついたときに響かせることができる音になっていた。
聴衆にそう感じさせる力量をもっている豊かな才能があることを改めて確認できた。
実は、尾池さんのベートーベンコンチェルトを別の機会に聴いたことがあって、そのときから
気になる演奏だと思って注目していたのだ。派手な楽曲よりもじっくりと歌う演奏は、あるときは演歌であったりロックであったり、シャンソン的だったりデスメタル的だったりするほど多彩さを感じさせる(演奏がロックやジャズっぽくなるわけではありません)。
おそらく、尾池さんの人柄に通じるサウンドでしょうが、それがとても魅力的に響く。大げさにいえば、尾池さんの生き方を演奏にしているようなところがあって、そこが実に好感がもてるのだ。もちろん、音楽的なレベルも高いし、さらに発展するだろうけど。そういう意味では、ここ5年くらいの間で聴いた若手の中ではトップクラスとして注目に値すると思う。バルトークで感動したのは、アルゲリッチのピアノを聴いて以来だった。

前振りが長くなったたが、コンテポラリー楽器、もっとここに注目すべきだと思っている。
バイオリンレスナーはすぐにオールドに目が行きますが、オールドを手にしても上手にならない。それは幻想でしかない。
お金持ちの人は、コレクターと一緒でバイオリンを次々乗り換えることで満足しているだけですが、
演奏を楽しむなら4弦のバランスのいいコンテポラリーが弾き手の実力を伸ばすし、現代ものも手にすべき。
均等な音の出し方が学べるし、よく鳴るので雑音まですぐ音として混じる。音に色がついていないので、ただ弾いただけではつまらないので、音づくりを工夫する必要を感じながら弾かないといけないことがコンテポラリー楽器のよさかもしれない。
なかには、表板をうすくして鳴りのよさを売り物にするコンテポラリー楽器があるが、
そういうものは、すぐに音が鳴らなくなる。
それでも250万円から300万円前後するものもあり、楽器選びは、オールドと同じで難しいかもしれない。
クレモナの現代作家(バイオリン工房)たちの楽器を聞きくらべ、弾き比べて少しずつその違いを知るしかないが、これまた時間もかかるし試奏する機会を求めて出向かなくてはチャンスが訪れない。

追記
青木さんの楽器がモダン楽器だというコメントをいただいたので追記しておきます。
G.F.Pressendaは、オールドがやがてピークを超えると次世代の銘器と目されている。


モダン、コンテポラリーの区別がいろいろあるが、ここでは大きくオールドとモダン(コンテ歩ラリー)としておきたい。
楽器と弾き手の組み合わせの妙ということもあるのがいいとこ
ろ。

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コメント

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1 ■無題

青木さんはG.F.Pressendaを使用しています。オールドではないですが現代のものでもないですよ。

2 ■Re:無題

青木さんのバイオリンはモダンということですね。G.F.Pressenda
青木さんの音色はやはりよかったと思います。
ありがとうございます。

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