信じよ、されば汝は救われる


<オープニング>


「おお、神よ……」
 暗闇の中、蝋燭の明かりを頼りに祈り続ける男がいた。
 ここは朽ち果てた礼拝堂。
 どんな神に祈っているのかは定かではないが、男は自分が信じているであろう神に一心に祈りを捧げている。
 祈り続ける男の前には、血塗られた十字架があった。
 どうやら何かの犯罪に使われたものではなく、他の誰かが自らの血でこの十字架を濡らしたらしい。そんな逸話のある、いかにも曰くつきの十字架のようだ。
「神よ、私の血をこの十字架に捧げます。私をお救いください……」
 男は指を軽くナイフの刃に押し付け、わずかに滲み出た血を十字架にこすり付ける。血塗られた十字架に、新たに塗られた血――。
 狂信や妄信、そんな言葉が男には合うかもしれない。
 そして男の前に、神は現れた。奇跡とも言える出現に、男は歓喜の表情を浮かべている。
「おお、神よ!」
『神を信じるあなたは救われるのです。死という救いに!』
「そんなの救いじゃねぇ!?」
 しかし、その神の救いはおよそ救いと呼べるものではなかった。『死』という言葉に恐れおののき逃げ出そうとする男だが、朽ち果てた礼拝堂の扉はどういうわけか開かない。
 神が手を掲げると、礼拝堂を光が包み込んでいく。逃げ惑う男の命を吸い取るように、男を飲み込んだ光はしばらくすると消えて。
『私が神だ! 私に祈るが良い!』
 高笑いを浮かべる神の傍らを、二体の天使が飛んでいた。
 
「神にすがりたくなる気持ちは、わからないでもないわね」
 説明を終えると、琴崎・結歌(高校生運命予報士・bn0261)はゆっくりとため息をついた。
「場所はこの朽ち果てた礼拝堂ね。男性がすでに一人、犠牲になっているわ」
 神にもすがりたくなるようなご時世、他に被害者が出ないとも限らない。狂信や妄信とは感じるが、そうさせるほど追い詰められている人は他にもいるだろう。
 この神を騙る地縛霊を出現させる方法はひとつ。
「礼拝堂の中央に置かれた十字架に少量でも血をつければ、良いわね。……少し痛いけど、そこを我慢してくれるかしら?」
 結歌は集まった能力者達の顔を見渡しながら、そう言った。しかし地縛霊と戦うためには、少しの痛みは我慢するしかない。
 そして地縛霊は十字架の上に立つように現れる。血をつける人間の眼前に立つ、という事だ。
「眼前に立たれると危険、と思うかもしれないわね。でも……」
 地縛霊の攻撃方法は一種類しかない。『神の裁き』と称した、言うなればヘリオンの光の十字架を強力にしたような攻撃をしてくるのみである。
 攻撃力自体は低いが、追撃で全周囲に攻撃が届くと考えれば相当厄介なものとなるだろう。
 しかし、戦闘場所となる礼拝堂は広くはない。せいぜい15m四方の部屋であるため、逃げる場所などはないのだ。
「いかに回復と攻撃を両立させるかが、地縛霊を倒すための鍵になるわ。だから、作戦はしっかりと立てて頂戴ね?」
 相手の攻撃からの回復をしっかり行いつつ、迅速に敵を倒す事。それが大事だと結歌は付け加えた。
「一筋縄ではいかないけどね。二体の天使が現れるのよ」
 二体の天使はどちらも体力は高くはない。能力者達の一斉攻撃が全部決まれば、一瞬で倒す事も出来るだろう。
 攻撃力はそれなりにはあるが、何より厄介なのは攻撃に付随する特殊効果か。
 片方は特殊効果を打ち消し、かつ麻痺を与える羽根を投げつける。もう片方はマッチョな肉体を用いてポージングをするようだ。
 こちらは特にダメージはないが、これをまともに見ると激しく怒ってしまうらしい。
 

「運命は、神様にすがってどうにかなるものではないわ。切り開くのは己自身の力よ。どんな分岐点を通るかも、自分次第ね」
 結歌は静かにそう言った。『運命にはいくらでも分岐点がある』というのは、彼女自身の言だ。
「厳しい戦いになりそうだけど、頑張って。無事に帰って来るのよ」

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参加者
澱神・蒼海(ゴーストと共に生きる詠唱兵器・b01742)
七儀・唯冬(ハドマの九頭鳥・b02567)
小野・早深(光を携え歩む魔女アリス・b03735)
木之花・初名(風待草・b25223)
朝穂・魅鷺(はらぺこキャラでは無いのです・b45798)
リヒャルダ・エンデ(道楽を楽しみし吸血鬼・b47011)
綾鷹・耀一郎(漆黒の夜鷹・b57231)
四陸・散(虎牙闘徒・b71080)
加奈氏・みりあ(元放浪女子高生・b71193)




<プレイング>

プレイングは1週間だけ公開されます。

澱神・蒼海(ゴーストと共に生きる詠唱兵器・b01742)
*準備
辺りを見渡して戦場となる場を把握する
カードを握り潰す様にして起動
「Jesus Christ is in Heaven now」

*対象
天使B → 天使A → 似非神様の順番で攻撃

*戦闘開始
似非神様の範囲攻撃に注意しながら各員と距離を持ち行動
回復の範囲外に出ない様に調整しながら移動
戦闘時は、自身の耐久力に気を付け、黒影剣奥義で回復できる量ならば、迷わずに使用
旋風の構えの出来る状態ならば、同様に使用

ィアリスは、後衛として[コスチュームプレイ]で強化の後、[投げキッス]で応戦
澱神のHPが60%を下回り次第、祈りを捧げ回復
もしも、敵の接近を許した場合は、[纏わりついて精気をむさぼる奥義]を使用
「ィアリス後衛を頼む。」

自身は、[旋風の構え]の後、最初の標的、天使Bを攻撃
「ふむ、コレが天使とは、俄かに信じ難いな…」

標的、天使Bを討伐後、天使Aを攻撃
「此方の方が、天使らしい姿をしているな」

状態異常やHP回復をして貰った場合
「すまない、感謝する」

最後に標的、似非神様を攻撃
黒影剣奥義が使用可能ならば連続使用
「そんなに神を名乗りたいのならば、消えて天に昇ると良い」
「もはや、この世に神が降りる場所は無いさ」

*撤退条件
戦闘不能が半数を超えた場合

*戦闘終了
普段通りの白ジャンパーと青い着物に戻り、カードをポケットにしまう。
「神とて時代の流れには逆らえまい。
 偽物だろうと神を名乗ったのならば、消えて行くのもまた必然」

七儀・唯冬(ハドマの九頭鳥・b02567)
信じれば救われるって言ったって結局のところ神様じゃなくゴーストな訳で
ゴーストじゃなかったとしてもこんな搾取するだけの神様は信じたくないなぁ
救われたいとも思わないし、しっかり消滅して貰おっと!

【行動】
あらかじめイグニッションしておこう
散らばるように位置取りしてから十字架に血をかけるよ
血をかけるのは僕の担当
「神様、僕の血をあげるから助けて!お願いします…!」
なーんて、そんな事全く思ってないけどね

【戦闘】
僕は攻撃役だよ
まずは天使Bを狙ってインパクトを叩き込もう
天使Bを倒すまでは攻撃を優先するよ
倒した後は、天使A、似非神様の順で攻撃していくつもり

天使Aの範囲爆発アビを警戒して、なるべく固まらないように
似非神様たちと自分の位置に気を付けて移動しよう

似非神様と天使たちが出現する位置によっては、
彼らの視界内に回復役さんたちが入らないよう挑発して気をこちらに引く必要があるかも
「ゴーストが神様気取りだなんて、笑い話にもならないね」

黒燐奏甲は自己回復専用
体力が半分以下の時、または次に攻撃を喰らったら倒れそうだと判断した時に使おう
「あは、さすが似非でも神様を名乗るだけの事はあるね…」
ただし、倒れそうな人が出た時は例外

戦闘中は他の人との連携を第一に
サポートする事も念頭に置いて戦うよ

【戦闘後】
信じるものなんて人それぞれ
価値観を押し付けるのは良くないよね
「残念でした、僕が信じるのは人だけだよ」

小野・早深(光を携え歩む魔女アリス・b03735)
白衣のポケットからカードを取り出して右足を1歩前へ
カードを右手で手前に高く掲げてカードを見て
「懐かしきあの頃へ…イグニッション!!」

暗闇の為に行動に支障が出そうだと判断したら、本業アビリティの白燐光で戦場全体を照らす

戦闘時
範囲爆発に巻き込まれ難くするために各人が離れて行動する
立ち位置は戦場左側後方の最後衛
対角の一番遠い人が私からの距離20m以内に収まる位置に入るよう心がける

イニシアチブ
可能なら、なるべく天使Bの攻撃直後に行動をあわせる
無理ならその限りではありません

1ターン目
優先度:赦しの舞>破魔矢奥義
天使Bに向かって破魔矢奥義を撃つ
仲間が状態異常に1人でもなったら赦しの舞
「諸々の穢れを赦し…給え清め給え」
「エンジェルがマッチョだなんて、きっと何かの間違いよ。
許せない!」
「しかも速いし!」

2ターン目以降
優先度:赦しの舞>祖霊降臨>破魔矢奥義
仲間が状態異常に1人でもなったら赦しの舞(優先度:高い)
「諸々の穢れを赦し給え清め給え」
そうでない場合は、残りHPの最も低い仲間に祖霊降臨
「古の土蜘蛛の魂よ…力を添え給え」
特に澱神さんの残りHPを気に掛けておく
上記の条件以外の場合は敵に破魔矢奥義
「常闇の魔を…打ち払い給え」

撤退条件
戦闘不能者が半数を超えた場合

撤退に際して
礼拝堂のドアの鍵をこじ開けます

戦闘後
「さようなら、貴方のsilver rain。
貴方の為に流される涙は…もう…ありません」

木之花・初名(風待草・b25223)
◇心情
ふふふ、このわたしを差し置いて神を名乗るなど、56億7千万光年早いのです。
え、光年は時間じゃなくて、距離の単位?
…し、新世界の神は、そのような些末なコトは気にしないのですー!!

さー、神を騙る罰当たりさんには、天罰覿面。ぶっとばしちゃいますよ!

◆戦闘
基本的には、回復役を担当です。
ラブリーエンジェル初名ちゃんの、慈愛に満ちた白燐奏甲奥義を、迷える子羊たちにー♪

最初のターンは、まずは自分に無印の白燐奏甲を使用して、回復力をアップしておきます。

基本的な立ち位置は、みんなの状態を見渡せる後衛寄りに。
大ダメージを受けて辛そうな人がいたら、ガツンと一発、回復です。
みなさーん、ピンチになったら、どんどん声をかけてくださいね。

あ、回復アビのない加奈氏さんと、使役使いでHPの低めな澱神さんの状態は、特に気を付けて、
回復のフォローに回るようにしますよ。

自己回復はHP1/2を目安に。

回復が必要な人がいない場合は、水刃手裏剣奥義で攻撃。
優先順位は、天使B→A→エセ神です。
悔い改めよー! あなたたちの終末の日は来たれり、です!!
…むー、ラッパじゃなくて蟲笛なのが残念…。

エセ神さんには、口調を変えてビシリと一言。
ばっきゃろぅ、救いがねぇのは、てめぇだい!
地獄の釜で、顔洗って出直してきな、この三下野郎!!

◇事後
被害者には、黙祷を捧げる。
間に合わなかった、救えなかった自分の無力を悔いたりはしない。
けれど、絶対に忘れない。

朝穂・魅鷺(はらぺこキャラでは無いのです・b45798)
【心情】
魅鷺も神さまたよりに祈る事は沢山あるかも…。
だけど、こんな神さまはおかしいよね!
難しいことはわかんないけど、死ぬのが救いなんだったら神さまっていらないと思うの。

…でも、死んだあとお腹一杯に食べさせてくれる天国にでも連れてってくれるっていうなら、騙されちゃうかも!


【戦闘】
神々しい偽神さまの登場を何も考えずボケーッと見終わったあと、
マッチョな天使さまにとりあえず一発氷の吐息奥義で攻撃しにいきます。

「………終わった?」

一手目の攻撃が終わったその後は白燐奏甲奥義による回復に従事するようにします。
アビが尽きたら、氷の吐息奥義を苦し紛れに使っていきます。


白燐奏甲で固まるなっていう方が難しいのですが、少なくとも天使Aさまが倒れるまでは、同じく回復役を勤める小野さまと初名さまとは近づかない方がいいかなーって思ってます。回復役が全員麻痺したら困りますものね?


回復するタイミングは、たとえ少しのダメージだったとしても、早め早めの回復を心がけていきます。


【戦闘終了後】
魅鷺はこんな形で神さましているくらいなら天国に行った方が幸せだと思うの。
幸せなんて人それぞれだし、本当のところはよくわかんないけど、犠牲者が出るなら倒さないわけにはいかないの。ごめんね。


っさてっ、お腹空いたし、何か美味しいもの食べたいなぁ。店が開いてる時間だったら嬉しいですけどね。開いてない時間ってのも考えられるわけで…。

リヒャルダ・エンデ(道楽を楽しみし吸血鬼・b47011)
うふふ〜、似非神様とは罰当りですね〜
威徳の伴わない紛いもの〜
程度の低い紛い物は本物への冒涜です〜
不愉快ですので〜、油断せずきっちりとお掃除しちゃいましょう〜

★戦闘
前衛ですね〜、あまり関係がなさそうですけど〜

優先順位は『天使B>天使A>似非神』で怒りを優先排除します〜
基本の各個撃破ですね〜

全員散会して〜範囲爆発に全員が巻き込まれないように注意して位置取ります〜♪
怒りを付与される可能性もあるので〜回復はこまめにですよ〜

初手ライカンスロープで強化〜後は早めの回復を心掛けますね〜
ブレイク後の再エンチャントは〜無傷なら少し待ちます〜
スラッシュロンドにはエンチャントを乗せたいですからね〜
スラッシュロンドは出し惜しみせず最初から全開で使用です〜
出来れば複数巻き込みたいですが〜無理には狙いませんよ〜
アビリティ消費後は通常攻撃で地道〜に行きましょう〜♪

とにかく命を大事にで行きましょう〜♪
追撃と怒りでの回復不能は一瞬で落とされかねませんからね〜

★戦闘後
「天罰的面〜ですね〜。エイメン♪ なんちゃって〜♪」

神様なんて信じていませんので〜
小説などでよくあるヴァンパイアハンターっぽく〜
セリフとともに気取って十字を切りますよ〜♪
古びた礼拝堂は風情もあるでしょうし〜
後で個人的にいわれ等を調べるのもいいですね〜
ま〜今は紛いものを処分してすっきり〜ですし
良い気分になった事で〜ひとまず満足しましょうか〜♪

綾鷹・耀一郎(漆黒の夜鷹・b57231)
【心情】
神様、ねぇ…。
神が本当に存在するとして、それぞれが希望した「救い」を与えているのかどうかは、僕には疑問に思うところだね。
まぁ、今回は神様なんかじゃなくゴーストな訳だから、救いも情けもあったもんじゃないと思うけど。
この男が、救いとして何を求めていたのかは…今となっては分からないけどね。

【戦闘】
地縛霊が出現したら速やかにイグニッション。
天使Bから叩いて行くよ。俺は後衛からの攻撃援助を。
天使Bの後は天使A、似非神様の順番で。
天使Aの範囲爆発アビを警戒して、なるべく固まらないように注意を。

リフレクトコアで神攻をあげてから、光の槍奥義で攻撃。
万が一距離を詰められたときのことがあれば、瞬断撃を。
ダメージが大きい場合は射程も伸びるから、ミストファインダーで回復。
「はっ、死が救いとは御大層なこったな。」

「神様とやらには悪いけど、俺は誰かに救いは求めねぇ。情けを請うくらいなら自分の足で立って歩くさ」

【補足】
戦闘中の一人称は俺。地が出て口調も荒め。

四陸・散(虎牙闘徒・b71080)
祈るってなんなんだろーな
祈っても自分で救われたとか思っちまえばそこまでだろーし、
結局自己完結ってヤツじゃねーの?
オレとしちゃ神様に祈った事もねえから理解不能
ま、そんでも理不尽に殺すってのはよくねえし退治してやんぜ

*作戦
天使Bの攻撃警戒の為、全員ばらけて動く事を念頭に行動
一カ所に固まらないようにする
オレはバステ回復役だし、同じ役割の小野さんとは離れて(右側後方で)動くぜ

天使B→天使A→エセ神の順で戦闘
エセ神の攻撃は気合いで耐えるしかねえだろうな

*行動
「こりゃねーわ、殺されたヤツかわいそすぎだろ」
地縛霊出現と共にイグニッション&虎紋覚醒で気力上げ
仲間の動きを見つつ散開、かつ敵の標的になんねえよう
天使ABの視界外でなるたけ動く
特に対天使B戦の時は攻撃を控え、敵の攻撃を食らわねえように
避けて動いてバステ回復に専念
「おい、しっかりしやがれ!」
浄化の風は仲間が怒ったり麻痺ってる時に使用
自分の体力がヤバ気なら虎紋使って回復
撤退時は皆に従う

*攻撃
対天使B戦の時は、敵が目前に迫ってるとか
攻撃されそうな状況になっちまったらジェットウィンドで攻撃、
その後距離を取る
本格的に攻撃すんのは対天使A戦以降
敵の攻撃の合間を見つつ敵に接近&
ジェット(アビ切れなら通常術式攻撃)で攻撃
エセ神相手でも同様に動くぜ
皆との連携を心がけてサクっと倒してえわ


元より信じられるのは自分自身だけどよ、将来何かに縋んねーよう心も鍛えねえとなぁ

加奈氏・みりあ(元放浪女子高生・b71193)
【心情】
不況だからこそ、ほっとけない依頼だよねぇ・・・
犠牲者増えちゃう前に何とかしないとっ

【作戦】
前衛に配置。
ターゲット順は天使B→天使A→似非神様。
それぞれ倒したら次を狙う。

【戦闘】
至近距離に接近し、相手の攻撃に耐えつつ、フェイントを交えながら隙を見て、一気に龍顎拳奥義を叩き込む。
奥義の回数がなくなったら龍顎拳に切り替えて使用。
アビ回数が全てなくなったら、リボルバーガントレットで牽制を交えつつ手数で押す攻撃。(気魄攻撃)
体力が半分になったら、一旦後衛に下がって味方の回復を待ち、回復したらまた突撃。


【台詞】
戦闘開始時:よしみんなっ、いっくよ〜っ!イグニッション!!
龍顎拳奥義使用1:奥義!龍顎拳っ!!
龍顎拳奥義使用2:加奈氏みりあは伊達じゃないっ!
龍顎拳使用1:こなくそぉっ!!
龍顎拳使用2:負けるっ、もんかぁっ!!
通常攻撃:くらえーっ!
ガード時1:甘いっ!!
ガード時2:効くもんかぁっ!!
被ダメージ小:痛っ!
被ダメージ中:あぅっ!
被ダメージ大:あぐっ!?
回復時1:ありがとっ、助かるっ!
凌駕時1:死んで!たまるかぁっ!!
凌駕時2:まだまだぁっ!やらせるかぁっ!!
戦闘不能時:きゃぁあっ!?
撤退時:皆!逃げるよっ!早く早く!!
依頼成功時:よしっ、皆、お疲れ様♪
依頼失敗時:うぅっ、どうしよう・・・
通常の口調は、あたし〜だよ、だね
戦闘になると、あたし〜じゃん、だね

【その他】
半数が戦闘不能になったら扉を蹴り破って撤退!




<リプレイ>

●我は神なり
 廃れた礼拝堂は薄暗く、とても神様などが出そうな雰囲気ではない。むしろ悪魔が出ると言われたほうが、納得しそうな気配だった。
 中央に置かれた十字架も血に濡れており、およそ神聖とは程遠くなってしまっている。
 しかし。
 このような場所であっても、神を信じて救いを求める者は少なからずいた。神を騙るゴーストを呼び出すだけとも知らず、十字架に新しい血はつけられていく。
「祈るってなんなんだろーな。祈っても自分で救われたとか思っちまえばそこまでだろーし、結局自己完結ってヤツじゃねーの?」
 神に祈ったことが無いと言う四陸・散(虎牙闘徒・b71080)は、祈るという行動そのものに疑問を持っているようだ。祈るという行動は確かに彼の言うとおり、自己完結に他ならない。
 が、そうしなければならないほど切羽詰っている人もいる、という現実はある。
「神が本当に存在するとして、それぞれが希望した『救い』を与えているのかどうかは、僕には疑問に思うところだね」
 まして今回は神ではなくゴースト。綾鷹・耀一郎(漆黒の夜鷹・b57231)は救いも情けもあったものではないなと、付け加えた。
「ゴーストじゃなかったとしても、こんな搾取するだけの神様は信じたくないなぁ」
「難しいことはわかんないけど、死ぬのが救いなんだったら神さまっていらないと思うの」
 七儀・唯冬(ハドマの九頭鳥・b02567)も、ただ単に『死』を与えるだけの神に苦笑気味だ。隣にいる朝穂・魅鷺(はらぺこキャラでは無いのです・b45798)も同じ意見らしい。
 結局のところ、『死』は救いではないという部分は誰もが同じ意見のようである。
「威徳の伴わない紛いもの〜、程度の低い紛い物は本物への冒涜です〜」
 少し間延びした口調でリヒャルダ・エンデ(道楽を楽しみし吸血鬼・b47011)がそう言うと、加奈氏・みりあ(元放浪女子高生・b71193)が締めに入った。
「犠牲者増えちゃう前に何とかしないとっ」
 この不況のご時世、こんな偽の神などいてはならない。
 これ以上犠牲者を出さないためにも――と、能力者達はイグニッションカードを取り出しはじめる。
「Jesus Christ is in Heaven now」
 ぐしゃり……とカードを握りつぶすようにしながら、澱神・蒼海(ゴーストと共に生きる詠唱兵器・b01742)がイグニッションを済ませると、白衣に身を包んだ小野・早深(光を携え歩む魔女アリス・b03735)もそれに続く。
「懐かしきあの頃へ……イグニッション!!」
 右手に握ったカードを掲げ、どうやら久方ぶりらしいイグニッション。昔の感覚を思い出すかのように、彼女はカードの絵柄に視線を向ける。少しのブランクがあっても大丈夫と、確かな自信を持って早深のイグニッションは完了した。
 次々にイグニッションを能力者達が済ませていけば、次に待つのは地縛霊を呼び出す動作。
 仲間達が散らばり準備ができたのを確認した唯冬が、軽く指を傷つけ、十字架に血をつけていく。
「神様、僕の血をあげるから助けて! お願いします……!」
 わざとらしい演技も忘れず、神にすがるキャラを演出する唯冬。新たな血が十字架をまた少し赤く染めると、どす黒い雰囲気と共に彼の目の前に影が現れた。
『良いでしょう、救いましょう』
 神のような神々しさではなく、暗い闇に包まれた偽の神。仰々しく神を騙っているが、地縛霊であって断じて神ではない。
「さー、神を騙る罰当たりさんには、天罰覿面。ぶっとばしちゃいますよ!」
『な、なんだって、私は神だぞ、神! 敬えよ! とりあえず! 神って言ってるんだからさ!』
 木之花・初名(風待草・b25223)に偽者だと突きつけられた偽神は、小者だと思わせる口ぶりでそう言うものの、その言葉を信じる者はその場にはいなかった。
 信じるどころか、全力を持ってぶちのめそうと殺気立っているほどである。
『罰当たりはどっちか、教えてやる! 天使君、おいでませ!』
 態度や口調から、すでに神とはかけ離れていることなどお構いなし。偽神の言葉に呼応するかのように、二体の天使が現れると、能力者達はぐっと手にした武器を握り締める。
 やたらマッチョで天使っぽくない見た目の天使の片割れには、なるべく誰も目を向けないようにしながら、戦いに身を投じていく。

●偽りの神様と、マッチョ天使と、影の薄い天使と
『神を敬わないヤツ等め! 神だとか言っちゃう俺がどれほど強いか見せてやろう!』
 最初の神様らしい言動はどこへやら。やはり地縛霊は地縛霊、ということだろう。
 戦いが始まると、能力者達よりも先に動いたのは、マッチョな割に意外と素早い筋肉天使だった。しかしおよそ天使らしくない、筋肉質な肉体を用いての肉弾戦を行う事は無く……。
『むっはー!』
 殴りたくなるようなポージングと共に、能力者達に怒りの感情を与えていく。
 いかに散開しているとは言え、礼拝堂の中はそれほど広いわけではないため、攻撃はどこにいても確実に届いてしまう。それでも能力者達が散開したのは、キャラの濃そうな偽神様と筋肉天使の影響で影が薄くなっている、もう一体の天使を警戒してのことだった。
 しかしそれは、他の二体の攻撃を避ける手段としては通用はしない。
「あまりに不愉快ですね〜」
「とりあえず潰す」
「むっかー!」
 まともにそのポージングを見てしまったリヒャルダ、耀一郎、みりあは怒り心頭。しばらく怒りが収まる気配はないようだ。
「ィアリス、後衛を頼む」
 そんな三人の状態を想定内だと判断していた蒼海は、自身の使役するサキュバスドールに声をかけると、ィアリスがコスチュームプレイを発動させると同時に旋剣の構えを取りはじめる。
 続いて初名が自身に白燐奏甲を施すと、その向こうからは怒りに任せてマッチョ天使に斬りかかる耀一郎の姿が見えた。
「おい、しっかりしやがれ!」
 浄化の風を流し、散が三人を冷静にさせようとするも、冷静になれたのは耀一郎ただ一人。ポージングへの怒りは、かなり激しいようである。
 ならば元を断てばいいと、魅鷺の氷の吐息がマッチョ天使をしっかりと凍らせると、その筋肉は氷に包まれ少し輝いていたとか。
「諸々の穢れを赦し……清め給え」
 その隙にすかさず早深が華麗に赦しの舞を舞えば、リヒャルダとみりあも正気に戻り、能力者達のディスアドバンテージはほぼ取り戻すことができていた。
 後はこのマッチョ天使を早々に葬り去ることが出来たなら、戦闘はかなり楽になることだろう。
「それにしてもエンジェルがマッチョだなんて、きっと何かの間違いよ。許せない! しかも速いし!」
 早深にとっては、マッチョ天使は別にポージングを見せられなくとも許されざる存在のようだ。それでも冷静に対処できるのは、彼女自身がおっとりしているからなのだろうか。
 だが敵はマッチョ天使や偽神だけではない。
『ここにもいるんだよ?』
 強化を打ち消す羽根が、蒼海とィアリスに撃ち込まれたのだ。偽神やマッチョ天使のせいで影が薄くなってはいるが、もう一体、天使は確かにそこにいた。
 一撃のダメージはそれほど高くは無いが、強化を打ち消す効果は能力者達にとって厄介極まりないものである。
 それでも、最初に倒すべき敵に変更はない。
「奥義! 龍顎拳っ!!」
 落ち着きを取り戻したみりあがマッチョ天使を殴りつけると、それに合わせるように続けざまに叩きつけられる唯冬のインパクトの強烈な打撃。
「最初が肝心です〜」
 そしてリヒャルダがライカンスロープで自身を強化した時、ソレは動いた。
『ははは、愚かな人間ども! 自称神に逆らうとどうなるか思い知るがいいわ!』
 偽神の神々しいほどの眩い閃光が、暗い礼拝堂を激しく照らし出す。いかに偽者とは言っても、神の裁きと呼ぶに相応しい一撃が能力者達の体力を数回に渡って奪っていった。
 全員がそれなりのダメージを受けてしまったが、この一回で倒される者はいない。
 立て続けに食らいさえしなければ勝てる――。
 誰もがそう思った。そのためには、一刻も早く二体の天使を倒さなければならないとも。
「ィアリス、いくぞ」
 再びポージングをするマッチョ天使の肉体から目を逸らしつつ、蒼海がィアリスに声をかけた。先ほどの羽根で事前に施した自己強化は消え去ってしまっているが、やり直す前に攻撃に転じる蒼海。
 こくりと無言でうなずくィアリスが投げキッスを飛ばすのに合わせ、自身は接近戦を行うべく距離を詰めていく。
「ふむ、コレが天使とは、俄かに信じ難いな……」
 改めて間近で見る異形の天使に、思わずため息が出そうになるのを堪えながら黒影剣で斬りつけると、先ほど怒りに任せて動いていた耀一郎がリフレクトコアを使用している姿が目に留まる。
 速攻の必要性と羽根の攻撃を受ける可能性を考えつつも、自己強化による火力を重視する作戦を取る能力者達。それは明らかに攻撃の速度のペースダウンへとつながっていた。
 ィアリスを使役しているために体力の低い蒼海を案じた初名が白燐奏甲を施すと、散も自身の体に虎紋覚醒の紋様を浮かび上がらせていく。そして魅鷺が、傷ついたみりあに白燐奏甲を施したその時、マッチョ天使に向けて放たれる一本の破魔矢。
「常闇の魔を……打ち払い給え」
 魔ではなくマッチョと言いそうになるのを抑えながら、早深が放ったものだった。一直線にマッチョ天使を貫いたその矢は、見事マッチョ天使を討ち取ることに成功する。
『僕が残ってるのも忘れないでね?』
「負けるっ、もんかぁっ!!」
 自身をアピールするように残る天使が羽根をみりあ目掛けて放つと、仕返しとばかりにみりあは龍顎拳で応戦。彼等の次のターゲットは、自己アピールをした天使だったのだ。
「ゴーストが神様気取りだなんて、笑い話にもならないね」
「あなたの事も忘れていませんよ〜」
 天使の後ろでドンと構える偽神を軽く見た後、唯冬の放ったインパクトが天使に綺麗に直撃すると、リヒャルダがスラッシュロンドでそれに続く。もう少し押せば、天使もすぐに倒れるだろう。
 しかし――。
『いい加減にしろ! 敬え俺を、神なんだから!』
 向けられた唯冬の視線と言葉に激昂しつつ、偽神の裁きの光がまた能力者達へと襲い掛かった。先ほどの一撃よりも少し強烈なダメージに、みりあがその場で崩れ落ちてしまう。
 見れば、残る能力者達もかなりのダメージを負ってしまっている。
「そんなに神を名乗りたいのならば、消えて天に昇ると良い」
 旋剣の構えで回復を図りつつ、さらにィアリスに祈りを捧げられて傷を癒した蒼海が、偽神を睨みつけた。
「ふふふ、このわたしを差し置いて神を名乗るなど、56億7千万光年早いのです」
 近くにいる耀一郎の傷を白燐奏甲で癒しつつ、初名がびしっと一言。
「ありがとう。だが、光年は距離だぞ」
「……し、新世界の神は、そのような些末なコトは気にしないのですー!!」
 援護への感謝と共に耀一郎がツッコミをいれると、初名はじたばたと慌てふためく。戦闘中のはずだが、そのやり取りに偽神も一瞬、攻撃を忘れてしまっていた。
「戦闘中だぜ、しっかりしてくれよ」
 戦いの最中のやり取りに苦言を呈した散が、ジェットウィンドでこっそりと天使を打ち倒していた。影の薄さは最後まで折り紙付だったらしい。
 これで残るは、偽神のみとなった。
「神様とやらには悪いけど、俺は誰かに救いは求めねぇ。情けを請うくらいなら自分の足で立って歩くさ」
 光には光と、耀一郎の光の槍が偽神との戦いの口火を切る。早深が赦しの舞で全員の傷をわずかに癒すと、魅鷺が忙しそうに回復による援護を行っていく。
「ここからが本番ですよ、頑張ってください!」
 彼女の言葉が仲間達を勇気付けると、偽神との激しい攻防が始まった。
 果たして、勝敗の行方はどちらの手に――?

●礼拝堂に神は降りず
『だから、うやま……』
 消え去る偽神。戦いの末、勝利をもぎ取ったのは能力者達だった。無論、彼等とて無傷ではない。戦いの最中、耀一郎が倒れてしまっていた。
「残念でした、僕が信じるのは人だけだよ」
 地縛霊が消滅し、静けさに包まれる礼拝堂に唯冬の一言が響く。神よりも、人を信じる。いかにも現実を感じさせる一言である。
「元より信じられるのは自分自身だけどよ、将来何かに縋んねーよう、心も鍛えねえとなぁ」
 そして自分自身が一番信じられるという散は、今後のさらなる鍛錬をしっかりと誓った。
 ここに立つ誰もが、唯冬や散のように、神よりも自分や周囲の仲間を信じている。まして偽者の神など、信じる必要性すらもない。
「神とて時代の流れには逆らえまい。偽物だろうと神を名乗ったのならば、消えて行くのもまた必然」
 遥か昔には、神は万物に宿っているとされていた。しかし時の流れと共に、それを信じる者がほとんどいなくなってしまった、現在。
 たとえ偽者であっても……と、蒼海は静かに、そう呟いた。
「天罰的面〜ですね〜。エイメン♪ なんちゃって〜♪」
 どちらかといえば偽者を名乗ったから天罰が下ったのだと、軽く気取って指で十字を切りながらそう言うのはリヒャルダだ。
 神を騙るという行為自体、確かに罰当たりなのだろう。初名が戦闘中に、新世界の神だとか言っていたのには突っ込みはしなかったが。
 当の初名は、見れば被害者へと静かに黙祷をささげている。
 そんな彼女から視線を流すと、リヒャルダは古びた礼拝堂の中をゆっくりと見渡していく。どうやら後日、この礼拝堂をちょっと調べてみようと考えているらしい。
「さて、そろそろ……帰ろうか?」
 地縛霊も倒した以上、いつまでもここにいる必要はない。傷の痛みに耐えつつ立ち上がった耀一郎に促されるように、能力者達はぞろぞろと礼拝堂を後にし始める。
「皆、お疲れ様〜」
「お腹空いたし、何か美味しいもの食べたいなぁ」
 去り際に傷ついた体でさりあが全員を労えば、その前を歩く魅鷺はどうやらお腹が空いた様子。店が開いているかなと考えはするが、最近は24時間ずっと開きっぱなしの店も珍しくはないため、おそらく杞憂に終わる事だろう。
 そんな彼等の後を追うように最後尾を歩く早深は、礼拝堂を出ると一度だけ振り返り、十字架があった場所へと視線を移す。
「さようなら、貴方のSilver rain。貴方の為に流される涙は……もう……ありません」
 小さくそう呟くと、早深は先を行く仲間達へと合流していく。
 この朽ちた礼拝堂で神にすがったとしても、神を騙る者が現れることはもう、ないのだ。


マスター:真神流星 紹介ページ
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いまいち
参加者:9人
作成日:2009/12/09
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冒険結果:成功!
重傷者:綾鷹・耀一郎(漆黒の夜鷹・b57231)  加奈氏・みりあ(元放浪女子高生・b71193) 
死亡者:なし
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