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恐竜時代にも「巻き込み事故」? 4本脚だと「内輪差」

2009年12月10日9時5分

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 4本脚で歩く大型の恐竜は曲がるときに後ろ脚が前脚より内側を通る「内輪差」ができることを、林原自然科学博物館(岡山市)の石垣忍・副館長らが突き止めた。前輪でかじ取りをする現代のトラックや乗用車のように、主に前脚でかじ取りをしていたためらしい。SF映画「ジュラシック・パーク」のように恐竜がのし歩く世界でも、前脚をやり過ごしても後ろ脚で踏みつぶされる「巻き込み事故」があったかもしれない。

 石垣さんらは1980年代に北アフリカのモロッコで見つけた約1億5千万年前の恐竜の足跡の化石を詳しく調べた。足跡の主は体長約30メートルの竜脚類「アパトサウルス」の仲間。草食で、首と尾が竜のように長いのが特徴だ。

 大きく左へ方向を変えたときの足跡を分析したら、前脚の跡の内側に後ろ脚の跡があった。直進時より内側に46センチほどずれていた。米国やスイスで見つかった大型竜脚類の足跡も同様だった。

 同じ大型動物でも、現代のゾウは曲がるとき、逆に後ろ脚が外側に出る。ゾウは頭が重いため重心が前にあり、体重負荷の少ない後ろ脚でかじを取り、おしりを振るようにして曲がるからだ。後輪を使って曲がるフォークリフトなどと似ているという。

 初期の恐竜は2本脚で歩いていたが、竜脚類は大型化するとともに4本脚で歩くようになったとされる。そのため後ろ脚が太く、尾も重いので、重心が後ろにある。石垣さんは「後ろ脚で体重を支え、小回りの利く前脚で方向をコントロールしていたのだろう」とみる。10年1月に滋賀県である日本古生物学会で発表する。(鍛治信太郎)

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