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次々と明らかになる「隠れ天下り」。民主党政権も早々に調査結果を公表し、この問題に力を入れるが、そこには日本郵政の社長人事などで批判を浴びた失地回復の思惑もあるようだ。
「天下りに対する取り組みは後退したんですか」。民主党の鷲尾英一郎衆院議員(新潟2区)には地元からこんな声が寄せられるという。
きっかけは、10月の日本郵政の新社長人事。元大蔵事務次官の起用が明らかになると支持者から疑問の声があがった。鷲尾氏は「支持者は、景気や生活不安に次いで天下りに強い関心がある」と話す。
民主党は8月の衆院選でのマニフェストで、「天下りを根絶」などと厳しい姿勢を示してきた。自民党からも「マニフェスト違反だ」との批判を浴びる逆風の中で、11月の行政刷新会議の事業仕分けでは、独法の天下りOBが受け取った多額の報酬などの問題に切り込んだ。「隠れ天下り」問題でも、原口一博総務相は8日の発表で「国民の平均年収を基準に再調査を進める必要がある」と強い姿勢を示した。民主党関係者は「天下り見直しはできるところからやっていくしかない。自民党政権よりは二、三歩前進している」と話した。(座小田英史、野村雅俊、釆沢嘉高)