輸出改善や対策効果で景気持ち直し、経済活動は低水準=内閣府報告
2009年12月11日(金)16時28分配信 ロイター
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[東京 11日 ロイター] 内閣府は11日、「日本経済2009─2010、デフレ下の景気持ち直し:『低水準』経済の総点検」を発表した。日本経済は現在、輸出の改善や経済対策の効果を背景に持ち直しているが、経済活動の水準が低いことに伴う雇用、設備の調整圧力が依然存在していると指摘した。
また、海外景気の下振れや、さらなる円高の進行による輸出の失速、これまでの経済対策効果の減衰などによる内需の停滞が下振れリスクであるとした。今後の経済財政運営に当たっては、長期金利への影響を従来以上に意識した取り組みが求められるとした。
内閣府は、現在の景気持ち直しの背後に働いている輸出の改善について、世界景気の改善に伴って、引き続き増加傾向で推移する可能性が高いとの現状認識を示した。同時に、これまでの円高傾向から、輸出の増加テンポが鈍化する可能性もあると指摘している。
また、経済対策についても、エコカー、エコポイントといった消費刺激策の効果は期限まで続くと想定されるが、前月比ベースの押し上げ効果は減衰する可能性があると指摘。交易条件については、2008年夏頃からの原油価格などの下落の効果が時間の遅れに伴って民需に対してプラスに寄与してきたものの、その後の価格の持ち直しにより、今後はマイナス方向の効果が働く可能性もあると分析している。
下押し要因として、経済活動水準が低いことに伴う雇用、設備の調整圧力が依然存在しているとの認識を示し、新卒採用の厳しさや冬のボーナスの大幅減などに特に注意が必要と指摘した。
持続的な回復へ向けたシナリオとしては、1)家計が将来の所得に関する安心感を取り戻し、安定的な個人消費、住宅投資の伸びが確保されること、2)世界景気の持続的改善が展望され、輸出関連の設備投資が誘発されるとともに、介護分野など国内の潜在需要の高い分野への投資が生まれること、3)こうした動きが続く中で、生産、所得、支出の好循環が開始されること──が考えられるとした。
一方、海外景気の下振れや、さらなる円高の進行による輸出の失速、これまでの経済対策効果の減衰などによる内需の停滞を重要な下振れリスクとして認識している。リスク要因としてデフレの影響も指摘し、特に企業の実質債務負担の増加を通じた景気への影響を注視している。また、財政の悪化に伴う長期金利の上昇リスクについても言及。日本の場合、特に景気の持ち直しによる受動的な財政収支の改善には多くを期待することができないと分析した。経済財政運営に当たっては、長期金利への影響を従来以上に意識した取り組みが求められるとの認識を示した。これらの重要な下振れリスクを認識した上で、12月8日に新たな経済対策を策定したとしている。