軍事技術の1つ「無人化」ですが、無人機の攻撃では巻き添えや誤爆も多発しています。
ハイテク化が進む軍事技術、近年のキーワードの1つが「無人化」です。
一方で、攻撃型無人機による犠牲者が増え続けるなど、理不尽な現象も生じています。
防衛省で試作段階にある装備品の展示会場の中で、目を引いたのが小型化された偵察ロボットだった。
今回は、ソフトボール大のものが公開された。
敵の情報をどれだけ探れるか、今、そのための技術開発と実戦への投入が世界中で進んでいる。
この分野を得意とし、またビジネスとしているイスラエルのある企業のショールームを訪ねた。
5つのカメラを搭載し、どこにどのような形で投げても、広い視界で内部の状況をモニターできる偵察ロボットは、パソコン画面のタッチで操作が可能だという。
もちろん、ボール型偵察ロボットもすでにあった。
広報担当者は「使い方はとてもシンプルで、プラグを抜くだけですよ。手投げ弾のように投げれば起動します」、「これは、イスラエル軍でも使っています。わたしは、つい最近、除隊しましたが、これらは全部、使いました」と話した。
企業側のPRでは、室内制圧を目指す部隊が突入に先立ち偵察ボールを投入、内部の情報を確認し、危険を避けたうえでの作戦成功が強調されている。
投げ込むのが難しい状況には、変わり種もあった。
銃から発射され、壁に突き刺さるアンカー。そこからぶら下がった部分が小型カメラで、送信された映像で兵士は状況を確認できるという。
軍事評論家の宇垣大成氏は、「イスラエルがこうした装備にこだわり、発達させてきた背景には、人口がもともと相対的に少ないにもかかわらず、建国以来、兵力・人口に勝る周辺のアラブ諸国との間で、戦争を繰り返してきたという歴史があります。人口と同じく、兵士の数にも限りがあるので、兵士の損耗を避けながら、軍事的な勝利を確実に得たいというイスラエルの思わくが、こうした無人機材、ロボット装備の開発と導入を加速させてきたといえます」と語った。
中でも、今やさまざまな軍事作戦に不可欠になっているというのが無人偵察機。
この日、イスラエルのメーカーがテストしていたのは、まるでおもちゃのような偵察用小型無人機だった。
小さな機首部分に通常カメラのほか、夜間監視用の赤外線カメラも搭載、映像は地上でリアルタイムで確認できる。
先端技術の一方で、その扱いは驚くほど単純だった。
離陸は、なんとゴムチューブを使ったパチンコ式発射台で、イスラエル軍では、無人機から送られてきた情報がヘリコプターや戦闘機と連動し、攻撃に利用されるシステムがすでに運用されているという。
軍事評論家の宇垣大成氏は、「すでにいくつかのイスラエル製の装備が、アメリカ軍にも採用されてはいますが、アメリカ軍全体では、より大がかりなシステムが開発されていて、無人機が偵察だけではなく、目標への直接的な攻撃も行っています」と語った。
「MQ-1 プレデター無人機」は、イラクやアフガニスタン、パキスタンで現在、使用されている大型の攻撃型無人機。
地上攻撃用ミサイルや200kgを超える誘導爆弾も搭載し、操縦と攻撃はなんと地球の反対側、アメリカ本国から衛星通信を通じて行われている。
国務省のウッド報道官は「アメリカは、テロ活動を容認する者を追い続けます」と述べた。
2009年8月、アメリカはパキスタンでタリバンの大物司令官を無人機を使い、殺害したとされている。
アフガニスタンでのアメリカ兵戦死者が増えるなど、苦しい戦況の中、オバマ政権は遠隔操作による無人機の攻撃を拡大している。
しかし、実はカメラ映像を頼りとする無人機の攻撃では、巻き添えや誤爆も多発している。
パキスタンの世論調査では、76%がアメリカの無人機の作戦に自国政府が協力することに反対している。
(12/11 00:33)