2009.12.12

【NEW・12/12】不幸なる失敗作「小説ー拳王」(PHP/97年発売)に再起のチャンスを!

某月某日

最近、疲れがたまっているのか…規則正しい生活が完全に破壊しているからか、いい年して倅の稽古に付き合っているからか、睡眠障害も行くとこまで行ってしまったような感じです。
陽が昇るまでPCに向かい、寝ようとしても仕事の興奮が収まらず、もう睡眠導入剤など効きもせず、気が付くと会社の始業時間です。こうなるとMorningーmeetingの結果報告が待ち遠しく、寝るどころじゃなくなります。
11時半頃に会社から報告のmailが届きます。すると決まって会社に電話し、幾つかの確認や指示をだしたり…。気になる事があればpartnerと電話で打ち合わせ。アッという間に1時間。1時間で終わればいい方で、長引けば3時間など珍しい事ではありません。
これで一段落。
あくまでtroubleがない場合に限りますが…。
時間はとっくに午後になり、14時前後。食欲もなく、しかし何か軽くでも胃に収めないと! 家政婦さんがいる時は何かしら用意してくれるものの、独りの時には昨夜の余ったご飯をレンジで温め、フリカケでブランチ!?
寝なきゃ!!
しかし眠れない。
ところが陽が暮れる頃になって突然の睡魔に襲われます。だいたい倅に起こされると既に深夜0時。「親子稽古」の日は21時前後なので約1時間は意識朦朧状態。
だから夜は眠くて…。でも仕事しなきゃならない!!
まるで30年前の大学受験生に戻った気持ちです。実際、私は仕事を「しょうがないから勉強するか…」などと言い間違える事など日常茶飯事です。
こうして、やっと孤独な闘いに私は毎日挑むのです。


ところが昨夜は、「親子稽古」のない日でもあり、夕方というか19時頃に寝てしまいました。猫のミルを抱きながら…。
深夜0時。倅に起こされて、半分寝ながら何か食べ、半分寝ながら風呂に入り、再びベッドに崩れ落ちるように爆睡!! しかし悲しいかな習慣で、明け方5時に目覚めてしまいました。
再び、仕事しなきゃ!!
猛烈な強迫観念に襲われました。
とにかく睡魔から逃れなくては!! その為にマズい煙草を数本吸い、フッと思い出して本棚から拙書「小説ー拳王」を引っ張り出してページを繰り始めました。
私は自分の書いた本を改めて読む習慣はありません。理由は沢山あります。要は自分の下手な作品を読むに耐えられないのです。しかし、この時「小説ー拳王」を手にしたのには理由がありました。倅のBlogにこの本が触れられていたからです。
「小説ー拳王」がPHP研究所から発売になったのが1997年の夏でした。予定では1年早い96年の発売でした。初めて書く小説に、私は想定外の苦労を強いられ、結局脱稿が遅れに遅れてしまいました。
本来、PHP研究所が新書判のノベルスへの参入第1弾となる5冊の中に組み込まれていました。ところがノベルス参入が失敗に終わり、最終発売に回されてしまったのが、この作品の不幸でした。大した宣伝もされず、シリーズ最終判という不名誉な形になってしまいました。
それでも担当編集者の方は極めて協力的で、名もない無名作家であるにも拘わらず一生懸命に販売部と折衝をしてくれ、初版12000部という破格の数字を提示して下さいました。普通、ノベルスでも新人クラスでは初版6000部から7000部がいいところです(出版不況の現在は更に減っているようですが)。今でも担当の加納氏には感謝しています。




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とは言うものの、「小説ー拳王」は私の失敗作の1つです。
小説とReportageの手法の違いという根本的な部分を意識せず、また構成もシャバダバな状態でした。
Reportageの場合は最初に構成を立てても、状況によって変えていく事が可能です。むしろ、それによって深みのある作品に昇華させる事も可能です。しかし小説は、それをすると冗長でダラシナイものになってしまいます。小説の場合、事前に骨太な構成を作る事こそ成功のカギなのです。
しかし、「小説ー拳王」は書きながら構成が二転三転しました。
主人公が背負う「宿命」も、書いているうちに最初の予定と変えて無駄に複雑にしてしまいました。
文章自体の技法も厳密にはReportageと小説は違います。ただその点だけは「ミクロ的問題」なので、私としてはReportageと小説の文体に混乱しながらも、当時の私としてはよく書けていると自負はしています。
要は構成という「マクロ的問題」に於いて看過出来ない失敗をしてしまったのです…。
残念な作品です。
理想の40%の仕上がりです。それでも「小説ー拳王」は私にとって初の小説という事もあり、また「生涯の恩人」である故・芦原英幸先生へのオマージュとして書いたという意味でも可愛い作品なのです。というより「息子」のような存在です。
「大山倍達の遺言」が終われば、即次のReportage制作に入らなくてはなりません。予定はとっくに決まっているのですが…。
可能ならば、新しいReportageの制作に入る前に、「小説ー拳王」を大幅に改訂・修正し、タイトルも変え(メインタイトルもサブタイトルも版元が強引に決めたもので、特にサブタイトルについて私は全く納得していません)、より洗練した形で、つまり「改訂版」ではなく「新作」として発売出来ないものか!?
新潮社、講談社に頭を下げてお願い出来るだろうか…無理ならば、または別の版元と折衝するつもりです。

「小説ー拳王」のモチーフは今でも気に入っています(時代背景などの変更は必要ですが)。何としても再び世に出してやりたい「作品」、否「息子」なのです。


(了)

samurai_mugen at 17:30│clip!駄文