きょうのコラム「時鐘」 2009年12月12日

 米軍嘉手納基地の新司令が会見し、普天間の嘉手納統合案に関してこう話した。「全兵力を一つの基地に配置するのは、全ての卵を一つのバスケットに入れるのと同じだ」

危険分散のため複数の基地が戦略上必要だというのだ。沖縄県民の感情を考えれば、他人様の土地で勝手なことを言うなと思うが、基地を預かる軍人としては当然の見解だろう

米大統領と副大統領は同じ飛行機に乗らないという。万が一の場合、国家の最高司令官が不在になるからだ。どの政府も同じだろう。民間企業でもトップとナンバー2は別の飛行機に乗って危険を分散する

ノーベル賞授賞式でオバマ大統領は「私は二つの戦争のまっただ中にある国の最高司令官であり」「戦争という手段には平和を守る役割もある」と述べた。賛否相対立する平和賞だが、言うべきことは言っている

沖縄問題で日米間のずれが目立つ。騒音や事故防止を語る日本と、戦争中の国家戦略を優先する米国の溝が深い。鳩山内閣の面々は、その溝の深さを知りながら知らないフリをして各自勝手なことを言うから、無責任のそしりを免れないのだ。