住宅地の一角、5階建てのビルの中で犬を繁殖させ、屋上で犬を運動させていた=8日午前、兵庫県尼崎市、朝日新聞社ヘリから、荒元忠彦撮影(画像を一部加工してあります)
業者の責任者は取材に「違法状態なのは事実。改善するつもりだが、お金もかかり、すぐにはできない。子を産まない犬までここでは飼えず、処分は行政に任せてきた」と話している。
尼崎市保健所生活衛生課の後藤修志課長は「指導不足と言われれば、否定、反論できない。今後は指導を強化、徹底していきたい。この業者からの犬の引き取りも道義的に問題があり、中止する」と話している。
ALIVEの2007年度の調査では、保健所を設置する105の自治体で業者からの引き取りをしているのは48自治体。ほとんどが身分を隠し、数匹ずつ小分けにして持ち込んでいるという。尼崎市のように一度に25匹など多数の犬を長年にわたって引き取る例は全国的にもまれという。
ペット業者の規制法に詳しい植田勝博・弁護士(大阪市)は「繁殖できなくなった犬を産業廃棄物のように処分するのは、動物の適正な取り扱いと生命の尊重をうたう動物愛護管理法の趣旨にも反する。行政も無責任な業者からの安易な引き取りは許されない。行政が違法なペット業者を厳しく監視、規制できるよう法改正も必要だ」と話している。(坪谷英紀)