きょうのコラム「時鐘」 2009年12月10日

 みたらし団子は串に刺さったもの。その常識を覆し串団子から串を抜いて売ったらヒット商品になった。本紙経済面にあった金沢のスーパーの話である

串がなくてもうまい団子はうまい。むしろ串を抜いた方が口の中に串が刺さらず食べやすかった。売れた理由は単純だ。何事も既成概念を覆すのは難しいが、改良改善のネタは身近にあるという、一例だろう

団子は縦に串を刺すが、民主党には「横串」という串がある。縦割り行政のために各省に似たような事業が生まれる。これを横に並べて一刺しにして無駄を省く。予算圧縮の強力な武器になると意気込んでいる

唐突に出てきた事務次官廃止論は、官僚世界を貫く串を抜き取るようなものか。ピラミッドの頂点に突き出るのは、官僚ではなくて政治家だと言いたいのだろうが、この串抜き案は「食えない」と評判が悪い。次官が無駄となれば日本の長い官僚の歴史が覆る

追加経済対策をめぐって3党連立政権がダンゴ状態になった。真ん中を貫く串が頼りないからである。味も大きさも違う団子を1本にして売るのだから強い「縦串」が要ったのだ。