「ボク様」卒業への道

2009年12月7日

【15】浮気旅行でヨメの友人に目撃されてしまいました

「取材してほしい」と申し出た名古屋の商社マン、内沼紀昭の場合

<今週のロスジェネ既婚男>
年齢:28歳
結婚年齢:24歳
仕事:商社マン
世帯年収:900万円
家族構成:妻、娘、息子

 この夏、「取材対象を希望します」という不思議なタイトルのメールが届いた。開いてみると、自ら取材対象になりたいという内容だ。本連載のプロフィール欄に載っている僕の個人ブログからメールアドレスを見つけ出し、わざわざ連絡をしてきてくれた。

 送信アドレスは日本人なら誰でも知っている総合商社。メールには、学歴と職歴が詳しく記されてあり、「ロスジェネ既婚男のつぶやき」で自分を取材してほしいと書いてある。何のために? 取材謝礼とか払えないよ?

 プライベートな話を聞きまくるこの連載、基本的には僕の友人・知人に登場してもらっている。見ず知らずの人が得意げに語る眉唾物の恋愛武勇伝は聞きたくはない。「俺の話なんかつまらないよ」とうつむくアイツと場末の酒を飲みながら、ため息混じりのつぶやきに耳を傾けたいんだ。

 だから、メールをくれた名古屋在住の商社マンには、出張してまで会う気にはなれなかった。「何かついでに東京にお越しの際は一度お茶でも飲みましょう。取材抜きで」という素っ気ない返信をすると、毎月のように東京に来ていると即レスが来た。

 東京駅前のカフェで会ってみた。内沼紀昭さん(仮名、28歳)は押し付けがましいところのない礼儀正しい男だった。商社マンにありがちな「自信にあふれている俺、魅力的だろ?」的な暑苦しさはない。なんだか親近感がわいた。

 あれから半年経つ。すっかり寒くなってしまったが、内沼さんは元気だろうか。久しぶりに連絡を取り、名古屋駅近くの「宮鍵」という老舗で食事をすることにした。

転職したいが妻が許してくれない

大宮(以下、O) ご無沙汰しています。いいお店をご存じですね。
内沼(以下、U)
 鶏料理が名物なんですよ。東京からお客が来ると使わせてもらっています。作家の池波正太郎も通った店らしいです。今夜は個室の座敷を予約しました。

O ありがとうございます。こんな取材で申し訳ないです(笑)。
U
 いえ。お話しさせていただくのを楽しみにしていましたよ。

O 変わった人だな…。あ、いや失礼。仕事はお忙しいですか?
U
 いまは暇ですよ。18時ごろに退社できる日も少なくありません。

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著者プロフィール

大宮 冬洋(おおみや・とうよう)
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に就職するがわずか1年で退職。編集プロダクションを経て、2002年よりフリー。『日経ビジネスアソシエ』、『プレジデント』、『きょうの料理ビギナーズ』、『dancyu』などで執筆。バブル経済を謳歌した人々のおバカな思い出話を聞く「バブルに学べ!遊ぶ力」も連載中。著書に、『30代未婚男』、『ダブルキャリア』(ともに共著/NHK出版)がある。最近の課題は「自炊」。食生活ブログをほぼ毎日更新中。

このコラムについて

「ボク様」卒業への道

 「結婚した男には取材してくれないの? 俺だってまだまだ現役だよ…」。結婚6年目の友人(既婚、32歳)が酒の席でつぶやいた。僕が以前にやっていた連載「ロスジェネ世代の叫び!ボク様未婚男のリアル」を毎週読んでいるが、既婚者の話が出てこないので疎外感を覚えるという。知ったことか! お前は20代で同僚の美人一般職と結婚して、目下育児中だろう。何が「現役」だよ。早く帰宅してオムツを換えろ! 嫉妬交じりに罵倒しようと思ったら、友人の目が真剣なことに気がついた。何か鬱屈があるのだろうか。幸せ自慢を聞くのは苦手だが、哀愁を共有するのは嫌いじゃない。いいよ、分かった。今度はお前の話を聞くよ。
 僕の同世代は、大学3、4年生で就職氷河期を経験したことから、ロストジェネレーション(1972年〜82年生まれ)と呼ばれる。経済的な理由などから、「結婚適齢期」にもかかわらず結婚に踏み切らない人が多い。では、この世代で結婚をしている男たちはいったい何を考えているのだろうか。どうして結婚したの? 結婚してよかった? 何が不満なの? キレイゴト抜きの正直な気持ちを聞かせてくれ!

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