<今週のロスジェネ既婚男>
年齢:28歳
結婚年齢:24歳
仕事:商社マン
世帯年収:900万円
家族構成:妻、娘、息子
この夏、「取材対象を希望します」という不思議なタイトルのメールが届いた。開いてみると、自ら取材対象になりたいという内容だ。本連載のプロフィール欄に載っている僕の個人ブログからメールアドレスを見つけ出し、わざわざ連絡をしてきてくれた。
送信アドレスは日本人なら誰でも知っている総合商社。メールには、学歴と職歴が詳しく記されてあり、「ロスジェネ既婚男のつぶやき」で自分を取材してほしいと書いてある。何のために? 取材謝礼とか払えないよ?
プライベートな話を聞きまくるこの連載、基本的には僕の友人・知人に登場してもらっている。見ず知らずの人が得意げに語る眉唾物の恋愛武勇伝は聞きたくはない。「俺の話なんかつまらないよ」とうつむくアイツと場末の酒を飲みながら、ため息混じりのつぶやきに耳を傾けたいんだ。
だから、メールをくれた名古屋在住の商社マンには、出張してまで会う気にはなれなかった。「何かついでに東京にお越しの際は一度お茶でも飲みましょう。取材抜きで」という素っ気ない返信をすると、毎月のように東京に来ていると即レスが来た。
東京駅前のカフェで会ってみた。内沼紀昭さん(仮名、28歳)は押し付けがましいところのない礼儀正しい男だった。商社マンにありがちな「自信にあふれている俺、魅力的だろ?」的な暑苦しさはない。なんだか親近感がわいた。
あれから半年経つ。すっかり寒くなってしまったが、内沼さんは元気だろうか。久しぶりに連絡を取り、名古屋駅近くの「宮鍵」という老舗で食事をすることにした。
転職したいが妻が許してくれない
大宮(以下、O) ご無沙汰しています。いいお店をご存じですね。
内沼(以下、U) 鶏料理が名物なんですよ。東京からお客が来ると使わせてもらっています。作家の池波正太郎も通った店らしいです。今夜は個室の座敷を予約しました。
O ありがとうございます。こんな取材で申し訳ないです(笑)。
U いえ。お話しさせていただくのを楽しみにしていましたよ。
O 変わった人だな…。あ、いや失礼。仕事はお忙しいですか?
U いまは暇ですよ。18時ごろに退社できる日も少なくありません。