麻薬取締法違反(譲渡)の疑いで逮捕された元俳優、押尾学容疑者(31)が、一緒にMDMAを飲んだ女性の容体が急変した後に電話した複数の知人から「早く救急車を呼べ」と忠告されたにもかかわらず、自身で通報していなかったことが8日、分かった。警視庁捜査一課はこれらの証言から、適切な救命措置を取らなかった押尾容疑者を保護責任者遺棄容疑に問えるとみて捜査している。
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8日午前2時前に麻布署から宿泊施設のある東京湾岸署へと身柄を移された押尾容疑者。逮捕から一夜明け、本格的な取り調べを受けているが、共に逮捕された衣料品販売業・泉田勇介容疑者(31)からMDMAを入手したことについては否認し、死亡した飲食店従業員・田中香織さん=当時(30)=からもらったとのこれまでの主張を続けているという。
泉田容疑者も押尾容疑者への譲渡容疑を否認しているが、田中さんが亡くなる2日前の7月31日に2人が交わした携帯電話のメールの中に、薬物の受け渡しなどやりとりをうかがわせる内容があったことから、捜査一課は裏付けを急いでいる。
また捜査関係者への取材で、押尾容疑者が田中さんの容体急変に焦り、「やばいことになった」と電話やメールをした知人ら数人に、「早く救急車を呼べ」と119番通報を忠告されたにもかかわらず、通報しなかったことが判明。
連絡を取った複数の知人のうち、押尾容疑者とともに逮捕されたマネジャー遠藤亮平容疑者(28)=証拠隠滅容疑、泉田容疑者、遠藤容疑者の上司、友人の4人が現場マンションに駆け付けたとされるが、結局、そのうち1人が容体急変の3時間後、午後9時19分に119番した。押尾容疑者はテレビの直撃取材に「オレは(心臓マッサージなどの)適切な救命措置をしてた」と主張している。
押尾容疑者は11月2日に懲役1年6月、執行猶予5年の有罪判決が出た後、警視庁の任意の取り調べには一度しか応じていなかったという情報もある。