NPO法人の活動について話し合う会員=大分市の西部公民館
認知症などで判断能力が不十分になり、財産管理や契約が困難になった高齢者らを支える制度に成年後見制度がある。しかし、経済的理由などで制度を利用できない人もいることから、県内の有志がボランティアで後見活動に取り組む“市民後見人”の育成と、制度の普及を目指してNPO法人「市民後見人養成・活動支援ネットワーク大分」(通称・市民後見ささえあい、山田靖熙理事長)を設立した。市民後見人の育成を目的としたNPO法人は九州でも珍しい。
成年後見制度は2000年に施行された。裁判所に認められた後見人が財産管理などを代行することができる。後見人は親族のほか、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が務めるケースが一般的。県内での後見人などの選任件数は▽2007年 54件(全国5150件)▽08年 41件(同5717件)。
ただ、身寄りがなかったり、経済的に報酬を払うことができない高齢者も少なくないため、ボランティア(有償を含む)で後見活動をする市民後見人が求められている。市民後見ささえあいは、市民後見人養成講座運営委員会(東京都)が開いた講座の受講生12人を中心に設立した。現在の会員は17人で、(1)後見人活動を通じた高齢者や障害者らへの支援(2)市民後見人の育成―などに取り組む。
NPO法人成年後見制度市民後見人養成活動支援ネットワーク(福岡市)によると「市民後見人活動を主体にしたNPO法人があるのは九州では福岡、長崎、大分の3県だけ」という。
山田理事長は「超高齢社会が到来し、認知症などになったらと、将来に不安を感じている高齢者が増えている。安心して過ごせる仕組みがあることを伝えていきたい」と話した。
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市民後見人の養成講座が20日から大分市西部公民館で始まる。
主催は高齢社会NGO連携協議会(東京都)。講座は来年1月末までに計5日間あり、制度の仕組みや後見人の心得などを学ぶ。受講料は5千円。問い合わせ、申し込みは事務局の末積洋子さん(TEL090・2085・0587)。
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