イオンが9日、子会社の米衣料品大手、タルボットの全株式を譲渡して北米事業からの撤退を発表したのは、より成長が見込める中国や東南アジアに経営資源を集中させることが狙いだ。イオンは、85年にマレーシアに海外1号店を開業して以降、タイや中国で出店を重ねてきた。中国では現在、広州や北京を中心に31店舗。金融危機の影響で、当初計画より遅れるものの、中国で100店舗体制の構築を目指す。
イオンの北米事業は苦戦を強いられていた。タルボットは消費不振の影響で、07年後半から業績が悪化し、08年度は150億円の営業赤字だった。世界的な衣料品ブランドが、在庫をほとんど持たず売れ筋を絞り込んで少量生産しているのに対し、タルボットは1年前から商品を企画して在庫リスクを負う旧来型のビジネスモデルだったことも足を引っ張った。
タルボットは一部ブランドの売却など大胆なリストラを進め、業績は回復傾向にあるが「資金を米に振り向ける余裕はない」(豊島正明・イオン執行役)として、北米事業の撤退を決めた。【窪田淳】
毎日新聞 2009年12月9日 21時32分(最終更新 12月9日 22時45分)