岡田克也外相は2009年12月8日の会見で、米軍普天間基地の移設問題を検証する作業グループの様子を伝えた一部報道について、事実と異なると否定した。問題になったのは、12月4日に行われた日米閣僚級の作業グループの模様を報じた産経新聞の記事とみられる。
岡田外相は、
「ルース大使との議論も誰かが見てきたようなことを書いているが、それはまったくの創作だ。もちろんルースさんもしっかりと自らの主張は言ったが、『顔を真っ赤にする』とか、『怒鳴り上げる』とか、冗談じゃない」
と述べ、ルース駐日大使の描写に異議を唱えた。この作業グループには、岡田外相のほか、北澤俊美防衛相と米国のルース大使らが出席。日本側が「年内決着は困難だ」との認識を伝えたところ、ルース大使は不快感を表明したという。ただ、ルース大使の表情の描写はメディアによって異なる。
朝日新聞は「にこやかという感じはしなかった」という出席者の発言を伝え、「米側はいらだちを隠そうとしなかった」と控えめに書いたが、産経新聞は12月5日付けの朝刊1面で「米大使一変、激怒」の見出しを掲げ、次のように描写した。
「『いつも温厚』(防衛省筋)で知られるルース氏は、岡田克也外相と北沢俊美防衛相を前に顔を真っ赤にして大声を張り上げ、年内決着を先送りにする方針を伝えた日本側に怒りをあらわにした、という」
岡田外相の異議はこの産経報道を念頭に置いたものとみられる。記者会見でフリージャーナリストの岩上安身さんが「ルース大使が怒鳴り上げたのは誤報なのか」とたずねると、そうした事実はないとした。岡田外相は自身が日米関係の行方に危機感をもっていることを認めつつも、会談の様子は報道と異なるものだったと主張している。
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