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クローズアップ2009:2次補正予算案 強気亀井氏に譲歩 火種抱えた政権

 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>

 09年度第2次補正予算案の編成作業は、財政規律を重視する藤井裕久財務相、菅直人副総理兼国家戦略担当相と、大規模な財政出動を求める亀井静香金融・郵政担当相が激突。1次補正の執行凍結分(2・7兆円)を充てるとする政府側の当初案は、亀井氏の反対で7・1兆円に膨らんだ後、国債増発で約1000億円上積みされ、7・2兆円で大筋決着する方向となった。亀井氏の言動に揺れた予算編成は、鳩山内閣の財政運営のみならず政権運営にも影響を与えそうだ。

 「こちらからは、やり取りするな」。09年度第2次補正予算案を巡り、国民新党代表の亀井金融・郵政担当相は7日朝、同党の下地幹郎政調会長に電話でこんな指示を伝えた。

 「待ち」の姿勢でいれば、8日の閣議決定を目指す官邸側が妥協案を持ってくる--。亀井氏の強気の読みに、政府側は振り回され続けた。

 「金曜(4日)にペーパーを示し、その場で判断しろというやり方は何なんだ」

 7日夜。補正予算を協議する政府・与党の会合で、下地氏は古川元久副内閣相らにそうかみついた。連立与党内で事前調整をしないまま、7・1兆円という案を示した政府側にクギを刺したのだ。

 亀井氏もこの日、大臣室を訪れた民主党議員に「経済がメタメタになるぞ。それなのに財務省の言いなりになってる」と怒りをぶちまけた。結局、亀井氏の思惑に沿って1000億円上積みという譲歩を余儀なくされ、政府内からは「来年度の予算編成は大丈夫か」とのため息も聞こえる。

 国民新党は衆参計8議席。12議席の社民党をも下回る。それでも、参院で過半数を持たない民主党の足元を見透かし、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で連立離脱カードを使う社民党と呼応して鳩山政権を揺さぶる。来夏の参院選をにらみ、巨大与党の中で埋没しないよう存在感を示す狙いがあるとみられている。

 これまでも亀井氏は、天下りの規制を掲げる民主党を横目に日本郵政社長に大蔵省OBの斎藤次郎氏を据え、郵政株式凍結法成立のために先の臨時国会を延長させた。借金返済を猶予する中小企業者等金融円滑化臨時措置法(返済猶予法)も亀井氏主導だ。こうした政策は従来の民主党の主張と異なる面もあり、批判も招いている。しかし、参院で過半数を得るために社民、国民新両党の協力は不可欠で、民主党は独自色を強める両党を抑えきれないでいる。

 2次補正に続き、10年度予算案でも綱引きが始まろうとしている。与党3党は7日の幹事長・国対委員長会談で、10年度予算案編成に向けた要望を取りまとめ、政府に申し入れる方針で一致した。亀井氏は「政治主導とは、民主党主導ではない」と政府・民主党をけん制している。

 下地氏は6日の討論番組で、鳩山政権が重視する子ども手当について「弱い人に手厚く、頑張れる人は自分で頑張ってもらう」と述べ、所得制限を検討するよう主張した。長妻昭厚生労働相は所得制限には慎重で、この問題は政府との論争の火種となる気配も漂う。

 自民党の大島理森幹事長は7日、与党内の混乱を「指針と定見なき予算論争だ」と酷評した。しかし、政府が調整役に期待する民主党の小沢一郎幹事長は発言を控えている。7日の会見では「(与党内に)議論があるのは大いに結構なことだ」と突き放した。【田中成之、田辺一城】

 ◇「国債頼らず」一転 財政規律守れず

 09年度の国債発行予定額は、麻生政権の約15兆円規模の経済対策などの結果、既に44兆円に上っている。経済危機の影響で税収は想定より約9兆円落ち込む見通し。政府は当初、税収減の穴埋め分のみ国債を追加発行し、それ以外は「国債に頼らない」(藤井裕久財務相)と強調。経済対策の規模を1次補正の見直しで確保した財源(2・7兆円)以下にとどめるとしていた。

 これに対し、国民新党は11兆円まで規模を拡大するよう求めた。政府は、国から地方自治体に渡す「地方交付税交付金」の国税収入減に伴う減少分(約3兆円)の補てんを経済対策に加えるなど予算規模を7・1兆円まで膨らませたが、減少分の補てんは元々予定していた内容。亀井氏の同意は得られず政府側は建設国債の追加発行容認に追い込まれた。

 政府側が7日夜示した約1000億円の上積みは、50兆円超えが確実な今年度の国債発行額からみればわずかで、野田佳彦副財務相は「財政規律の観点からはぎりぎりの判断」と語った。だが、財務省幹部は「一度、追加発行をしないと約束したのにひっくり返った。国民や市場の信頼が揺らぐのでは」と懸念する。市場の不信感が高まれば、投資家の国債離れにつながり金利が急騰、景気の足を引っ張りかねない。

 一方、亀井氏との綱引きで政府側が死守できたのは特別会計の積立金などの「埋蔵金」。国民新党は埋蔵金の活用も迫ったが、財務省は「今年度に使ってしまうと、来年度予算の国債発行額は確実に(政府目標の)44兆円を突破してしまう」(幹部)と強く抵抗した。

 とはいえ当初、10年度予算の財源に当て込んでいた1次補正見直し分は、今回の経済対策で使い切ってしまう。財政規律を守ったとは言えず、苦しいやりくりが続きそうだ。

 経済対策を巡る攻防は、過去最大の95兆円規模に達した10年度予算案概算要求の削り込みにも影響しそうだ。経済対策の規模がずるずる拡大したことで、要求省庁側も予算削減への抵抗を強めるのは確実だ。「景気回復と財政規律の両立」という鳩山政権の目標には程遠い予算編成が進もうとしている。【平地修】

毎日新聞 2009年12月8日 東京朝刊

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