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勝間氏は10月4日、毎日新聞のサイト上のコーナー「クロストーク」で、ネットの実名使用推進とメリットについて呼びかけた。
《ネットがメディアとしての信頼性を高め、既存メディアと肩を並べる存在になるには、表現者が自分の名前を開示し、責任の所在を明らかにすることが不可欠だと私は考えています》
《ネットを過激な陰口の場にしないためにも、思い切って、実名主義を進めてみませんか。それによって、コミュニケーションが円滑になるほか、ビジネス面での利用の際の信頼性も高まると確信しています》
この「実名使用呼びかけ」に「元祖匿名掲示板」の初代管理人、ひろゆき氏は同6日付の自身のブログで即座に反応。「実名推進派は人の気持ちがわからない人が多い」との題名の文書を掲載した。
ひろゆき氏は、《実名派の人は、匿名の人のリスクを過小評価して、実名のメリットばかり主張する》としたうえで、《匿名派の人は、相手の意見も踏まえた上で判断してるわけですが、実名派の人は、相手の意見に耳を傾けずに、自分の主張だけを声高に叫ぶ人が多いように見えるわけです》と指摘した。
議論には匿名擁護派の実名アルファブロガー(世論に影響を与えるブログ執筆者)、小飼弾氏や、実名推進派の弁護士、小倉秀夫氏も“参戦”。《この(匿名の)「言い返しようがない」性質には、重要な利点がある。それは話にあたって「何を言ったか」のみに集中できるということだ》(小飼氏)、《「論じるべきテーマはたった一つ」です。無責任に他人を攻撃する自由を認めるのか否かです》(小倉氏)などの意見がネット上で飛び交った。
勝間氏はその後、18日付のクロストークで、《自分の行動に責任をとるという市民としての行動を貫くような利用方法をみなさんと考えていきたいと思います》と結んでいる。
盛んに繰り広げられた議論について新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、匿名発言者による「炎上」や誹謗(ひぼう)中傷は「ネットコミュニケーションについての教育が不足していることが背景にある」と指摘。ネット教育の重要さを訴えている。
by wingwrong
ネット上の匿名の適否について