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能登ブーム再び? 「ゼロの焦点」再映画化でツアーも

2009年12月9日6時53分

写真:映画の舞台になった「ヤセの断崖(だんがい)」は観光客でにぎわっている=志賀町映画の舞台になった「ヤセの断崖(だんがい)」は観光客でにぎわっている=志賀町

 石川県金沢市や能登半島を舞台にした松本清張原作の映画「ゼロの焦点」に、県内外の観光関係者が熱い視線を送っている。映画の影響でロケ地となった志賀町の名所には観光客が訪れ、小説の舞台を巡るツアーも売り出された。同作は1961年の映画化でも「能登ブーム」のきっかけとなったといわれ、「ブームの再来を」という期待も高まっている。

 先月14日の映画公開から1週間後の週末、志賀町の観光地「ヤセの断崖(だんがい)」の駐車場は神戸や岐阜など他県ナンバーで埋まり、車は県道にまであふれた。東京都町田市から能登町の友人宅に遊びに来たという会社員の輿石友紀さん(39)は、ロケ地となった断崖などの豪快な景色を眺めながら「来る前日に映画を見たので、ぜひ連れてきてほしいとお願いしました。すごい自然ですね」と感心していた。

 映画「ゼロの焦点」には、「能登金剛」という名前とともに、何度も真冬の日本海や荒々しい岸壁などが登場する。この映画効果で志賀町の観光地を見に来るドライブ客などが急増している。清張の歌碑もある「能登金剛センター巌門本店」の坂本良則店長(51)は「映画の封切り以来、どこがロケ地ですかという問い合わせが多い」と話す。

 ただ、巌門の場合、個人客は増えているが、大口の観光バスの利用者はいまひとつだという。このため同センターは県内外の旅行会社に「ロケ地巡りのバスツアーを企画してほしい」と働きかけ、「能登ブーム」の再来を目指す。

 一方、「ANAセールス」(東京)は2月と3月に2泊3日で東京から訪れるツアー「ゼロの焦点の舞台を訪ねて」を先月20日に売り出した。秋山稔・金沢学院大教授(近代文学)の講義を受け、女優広末涼子さんが演じた主人公・禎子(ていこ)の足跡を金沢や能登でたどる旅だ。同社広報室の澤木優子さん(33)は「映画のイメージもあって、冬の能登は旅情を誘う。清張の読者でもある中高年世代を狙うが、いい反響があると思う」と自信をのぞかせる。(大畠正吾)

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