〔情報BOX〕米環境保護局の気候変動対策における動き
[ワシントン 7日 ロイター] 米国では、議会で気候変動対策法案の審議が進む一方、オバマ政権は一連の規制による気候変動対策を検討している。
個別の規制よりも法律に基づいたほうが包括的な対策を講じることができる。ただ、議会民主党が気候変動対策法案の可決にこぎつけられない場合は、米環境保護局(EPA)が来年行動を起こす可能性は高い。
EPAの気候変動対策における動きは以下の通り。
*温室効果ガスの「有害」認定
EPAは4月、温室効果ガスが、公衆衛生を脅かす大気汚染につながるとの予備調査結果を発表。パブリックコメントを踏まえ、EPAは12月7日に温室効果ガスを「有害」とする最終見解を発表し、二酸化炭素(CO2)を含む6つの「温室効果ガス」の規制を可能にした。
EPAの認定は、気候変動対策への支持獲得に大いに役立ち、法案審議の遅れにもかかわらず米政府が気候変動対策に取り組んでいることを世界に示すことにもつながるとみられ、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)での米国の立場を強化する格好となった。
ただ、議会の支持なしに温暖化対策としての規制を課すことで法的問題が生じる可能性が高いため、オバマ政権はEPAによる規制よりも法案成立を望む方針を示している。
*自動車排ガス規制
オバマ政権は、国内で販売されるすべての乗用車と軽量トラックに対しより厳格な燃費基準を求める方針を発表。2016年までに1ガロン当たり35.5マイル(6.6リットル当たり100キロ)の燃費基準を達成することを求めた。政府によると、この基準で石油18億バレルの節約、温室効果ガス9億5000万トンの削減につながる。
EPAのジャクソン長官は、自動車メーカーは新たな燃費基準について来年3月末までに通知されるだろうと述べた。新基準は2012年モデルの自動車に適用される。
議会で審議中の気候変動対策法案は、自動車の排気ガス規制を直接対象としていないため、排ガス規制は議会審議の進展に関係なく進められる可能性が高い。
*温室効果ガス排出削減
EPAは温室効果ガスの「有害」認定によって、現行法の大気汚染防止法に基づく温室効果ガスの排出制限が早ければ来年から可能になった。
一部の民主党穏健派議員は、EPAによる新規制について、議会で可決されうる法案よりも経済界に負担を強いる内容となる可能性があると指摘し、EPAが規制を強化する前に法案を成立させるため、上下両院が迅速に動く必要性を訴えている。
*温室効果ガス排出者登録制度
EPAは2010年1月から温室効果ガス排出に関する登録を開始し、年間2万5000トン以上排出する事業体に排出データの収集を義務付ける方針。この制度で国内排出量の85%を占める約1万施設がカバーされる。年間排出量が基準に満たない大半の小規模企業は対象外となる。
データは2011年に発表予定。EPAの予測によると、同制度に伴い業界が支払うコストは、導入年は約1億6000万ドル、その後は1億2700万ドルに減少する見通し。
この制度に関するパブリックコメント期間は終了し、ホワイトハウスが最終案を見直している。
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