中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索

「ふるさと枠」志願急減 広島大医学科推薦入試 '09/12/7

 ▽県内勤務など敬遠、6・2倍→2・3倍

 卒業後に広島県内で働く医師を確保する広島大医学部医学科の推薦入試「ふるさと枠」は、2年目となる来春の志願者が減り、競争倍率が6・2倍から2・3倍に急落したことが分かった。制度や入試方式に対する理解が進まず、推薦する高校や受験生が敬遠する現状がある。

 「ふるさと枠」は今春入試から設けられ、定員5人に対して31人が志願した。ところが、先月9日に出願が締め切られた来春入試は、定員を2倍の10人に増やしたにもかかわらず、志願者は23人に減少した。

 倍率急落について、高校や予備校関係者の見方は一致する。今春はセンター試験の約100点差を逆転して合格したケースがあった。ある高校の進路指導担当教諭は「面接が重視され、合格ラインが読めない。生徒や保護者に自信を持って勧めにくい」と明かす。

 さらに、「ふるさと枠」の卒業生は、県内の公的な医療機関に9年間勤めることが義務づけられる。受験生の間には「若いうちは海外留学などで先端医療を学びたい、との声も根強い」という。

 県と広島大には、中山間地域での医療確保策として、推薦入試の「ふるさと枠」を3年目は15人にまで広げる計画もある。広島大入学センターの高地秀明准教授は「志望者のすそ野を広げるため、高校で地域医療を考える機会を設けるなど全県的な協力がほしい」と訴えている。(藤村潤平)




MenuTopBackNextLast
安全安心