日本国籍を取得するため、フィリピン人カップルの間に生まれた男児を日本人父の子のように偽装認知したとして愛知県警国際捜査課と中署は8日、名古屋市南区加福本通、無職、ジタ・マリア・テレサ・モラレス被告(26)=入管難民法違反罪で起訴=と同区豊、派遣社員、永山毅容疑者(57)を国籍法違反などの容疑で逮捕した。1月施行の改正国籍法により、外国人母の子は日本人父が認知すれば日本国籍を取得できることになったが、県警はこれを悪用したとみて調べる。
逮捕容疑は共謀して3月18日、ジタ容疑者と同国人の内縁の夫(42)=入管難民法違反容疑で逮捕=の間に生まれた男児(2)の父を永山容疑者とする虚偽の国籍取得届を名古屋法務局に提出するなどしたとしている。
県警によると、永山容疑者は「ジタ容疑者に頼まれた。報酬はなかった」、ジタ容疑者は「日本にいたかった」などと、ともに容疑を認めているという。県警は、ジタ容疑者が定住資格を得る目的だったとみて追及するとともに、内縁の夫も共謀していたとみて調べている。
改正前の国籍法は、日本人父と外国人母の子は、父母の婚姻がなければ日本国籍を取得できないと定めていた。しかし、最高裁の違憲判決(08年6月)を受けて法改正された。法改正に伴い、偽装認知した場合に1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す規定が新設された。
法務省によると、09年1~10月、法改正に伴う未婚の父母からの国籍取得届の受付者数は545人で、403人の子供に国籍取得証明書が発行されている。【福島祥】
毎日新聞 2009年12月8日 14時03分