2009年12月8日0時12分
貧しい発展途上国に旅行、滞在した多くの人が経験するのが、現地の税関や警官から少額ながら不当な支払いを求められることである。これは、ファシリテーション・ペイメントと呼ばれる。もともとは給与の安い役人の小遣い稼ぎだったのだろうが、多くの場合それが組織化され、その部局の収入となる。
これが大掛かりになれば、西松建設の海外贈賄で明らかになったように、国際的な汚職となる。更に国が貧しくなれば、親族をかたに国外にいる自国の国民から収奪を図る国も出てくる。
国が乱れれば、徴税権が分散しだす。現下のアフガニスタンでは、タリバーンが定期的に住民に税を強要しだしているようだ。
ソマリア沖の海賊行為も言ってみれば、徴収すべき金も国民が持たなくなったので、沖合に出張ってきたということである。ことほど左様に、現代の関所は多岐にわたる。
これを見れば、先進国に生まれてよかったと実感する人もいるかもしれないが、そんなことはない。先進国のほうがよほど巧妙で悪辣(あくらつ)な手法で収奪を強化しているのである。国が豊かになるにつれ、徴税機関が充実し、強制力も強化される。
その一方で、集めた税金は闇の中で、政治家と役人が裁量を発揮し、お手盛りのものとなる。歳出のあらゆる局面で、ピンはねを行うのである。これは、「裏関所」とも言うべきものである。
マニフェストと現実の乖離(かいり)で右往左往し、早くも人気下降気味の民主党で起死回生のヒット商品というべき「事業仕分け」は、その裏関所のごく一端を国民の前にさらしたという意味で、まさに革命的なものといえる。(四知)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。