きょうのコラム「時鐘」 2009年12月8日

 エジプトの最南端まで行ったことがある。原住民は「雨」という言葉さえ知らない乾燥地帯だった。それが、20世紀途中から雨が降るようになった。アスワンダム完成で下流は潤ったが、湖の水蒸気が雲となり雨を降らせたのだという

先日、サウジアラビアの街が洪水に見舞われ話題となった。地球規模の気候変化が影響したとされる。同じころドバイ・ショックが起きた。巨大な摩天楼と埋め立て地が荒廃すれば、経済問題が気候問題に発展しかねない

注目のCOP15(気候変動枠組み条約締約国会議)が始まった。気候変動といえば、工業化による温室効果ガス排出に目が行くが、犯人は煙を吐く工場や車の排気ガスだけではない。人間のあらゆる営みが地球環境を変えてきたのだ

北陸の野山から赤トンボが激減しているという。たかがトンボされどトンボだ。ささやかな変化に見えるかもしれない。が、中近東の砂漠を襲う洪水と根っこは同じではなかろうか。自然環境を悪化させる元凶は人間の存在そのものである

それくらいの自覚を持って対応しなければCOP15も前進しないのではないか。