二階氏への偽装献金、ダミー団体裏金が原資に

　準大手ゼネコン「西松建設」が、二階俊博前経済産業相の自民党支部に社員らの個人献金を装って年間３００万円を提供していた問題で、違法献金の一部に、同社が２００６年にダミーの二つの政治団体を解散させた際に残った裏金を充てていたことが、関係者の話でわかった。

　二つのダミー団体は、小沢一郎・民主党幹事長側への違法献金などに使われていたことが判明している。東京地検特捜部は、二階氏の政策秘書が西松建設からの献金と知りつつ、個人献金として政治資金収支報告書に記載させていたとして、近く政治資金規正法違反（虚偽記入など）で略式起訴する方針。

　西松建設は１９９５年と９８年に、同社ＯＢが代表を務める政治団体「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」を設立。政治献金の隠れみのに使っていたが、０５年末にゼネコン業界が談合決別宣言をしたことから献金の必要性が薄れたとして、０６年１１〜１２月に両団体を解散させた。両団体はその直前に、小沢幹事長の三つの関連政治団体に計５００万円を献金し、解散時に残った金は計８８９円と、収支報告書には記載している。

　しかし、複数の関係者によると、両団体にはこれとは別に、収支報告書に載っていない裏金が数百万円程度残っており、同社は０７年以降、二階氏が代表を務める自民党和歌山県第３選挙区支部への献金に充てた。二階氏の政策秘書は収支報告書に、これを含む西松からの年間３００万円の献金を、寄付者を記載する必要がない年間５万円以下の個人献金と偽って記載させていた疑いが持たれている。

　同社は９９年、関係設計会社に大阪市内のマンションの一室を購入させ、二階氏の実弟が運営する政治団体に事務所として提供した。西松側は実弟側が払った家賃を 補填 ( ほてん ) する形で二階氏側への資金提供を始めたが、一時中断。同社幹部と政策秘書が協議した結果、０６年から社員の名義を使った献金を再開させ、０８年までの３年間に同支部に計９００万円を送金した。