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Japan on the Globe 国際派日本人養成講座

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JOG-mel No.625 『NHK特集 シルクロード』の裏側

発行日: 2009/11/29

■■ Japan On the Globe(625) ■■ 国際派日本人養成講座 ■■

      Media Watch: 『NHK特集 シルクロード』の裏側

                         史上最悪の危険な被爆地に、毎年数万
                        人規模の日本人観光客が訪れている。
■転送歓迎■ H21.11.29 ■ 38,418 Copies ■ 3,220,203 Views■
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■1.核ハザードの危険を隠してきたNHKシルクロード番組■

     本年6月6日、「核ハザードの危険を隠してきたNHKシル
    クロード番組に関する公開質問状」と題する書状が、NHK会
    長・福地茂雄氏あてに突きつけられた。差出人は札幌医科大学
    ・高田純教授である。その一節には、こうある。[1,p72]

         私は、核爆発災害研究の専門科学者として、世界の核被
        災地を調査してまいりました。そして、中国共産党がシル
        クロードの要所であった楼蘭遺跡周辺での総威力22メガ
        トンの核爆発により世界最悪の災害が発生したことを、確
        認しました。

         その総核爆発は、広島の核の1375発分です。現地では
        100万人以上のウイグルの人たちが死傷しているのです。
        ・・・

         その地域の被害は、広島の被害の4倍以上です。まさに
        世界最大の核災害です。被害者たちは、中共政府に放置さ
        れています。今、史上最悪の人権人道問題が発生している
        のです。日本は唯一の被爆国ではありませんでした。

         NHKは中国軍に引率されて、核爆発が強行された周辺に
        ある楼蘭遺跡を、1980年に取材しました。その後に放送し
        たシルクロードロマン番組は、その核の事実を隠蔽した、
        全くもって偏向した内容になっています。すなわち偽装番
        組でした。・・・

     NHKのシルクロード番組に魅せられて、核爆発が続いた
    1996年までに日本人観光客27万人が現地を訪れたという。そ
    こが放射能に汚染された危険地域だとも知らされずに。

■2.「危険地域だったという認識は、持っておりません」■

     20日ほど後、NHK大型企画開発センター長・佐藤幹夫氏
    名で、以下のような回答書が寄せられた。[1,p75]

        「NHK特集 シルクロード」は、東西文明の壮大な交流
        の道をたずね、その悠々の歴史と現在の姿を紹介したシリ
        ーズで、1980年に放送が始まりました。シルクロードのほ
        ぼ全域で外国メディアによる本格的な取材を行ったのはこ
        の番組が初めてで、学術的にも貴重なエリアを紹介したこ
        とはきわめて意義深いことだったと考えております。

         この番組の撮影を起こった場所が、核実験によって放射
        能に汚染された危険地域だったという認識は、放送当時も
        現在も持っておりません。

         以上、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

     高田教授がさまざまなデータをもとに科学的に放射能被害を
    推定しているのに対して、根拠もなにも示さずに「危険地域だっ
    たという認識」はない、と言い切る剛胆さは見上げたものだ。
    真実については、次のように当時のシルクロード取材班自身が
    あきらかにしているのである。

■3.「特に楼蘭は撮影困難です」■
    
     取材班が執筆し、NHKから1980年に発行されたNHKシル
    クロード第3巻『幻の楼蘭・黒水域』には、以下のような記述
    がある。[1,p5]

        超近代兵器ICBMは私たち取材班と無関係ではなかった。
        CCTV(中国中央電子台)とシルクロードの取材撮影を
        交渉するなかで、最大のネックとなったのが、実はこの点
        であった。シルクロード全域の取材を主張する私たちに対
        して、CCTVはその一部は不可能でしょうと繰り返すの
        であった。

        「シルクロードのどの地域が撮影できないのですか?」
        「楼蘭と黒水域です。特に楼蘭は撮影困難です」

        「理由は?」
        「それはみなさんが想像されるとおりです」

         私たちは楼蘭が重要な軍事基地、おそらく核実験場では
        ないかと想像していた。1964年から25回にわたって行わ
        れた核実験は、いずれもこの地域で行われたといわれてい
        る。1949年の中華人民共和国の誕生以来この地域は、国家
        の最高機密の地として、外国人はもとより、中国人でさえ
        特別の要人以外は立ち入ることができない。
    
■4.立ち入り許可の思惑■

     しかし、中共政府は取材を許可した。ある思惑を秘めていた
    ようだ。

         しかし、その楼蘭に入ることを、日中共同取材班はつい
        に許可された。たび重なる交渉の末である。これはCCT
        Vのスタッフにとっても思いがけない喜びであったのか、
        「楼蘭に入るのは、解放後私たちが初めてです」と何度も
        繰り返すのであった。

         ただし一部分は中国側だけで撮影することが条件であっ
        た。したがってこの取材記のある部分は、私自身の実見に
        よらないで中国側の屠団長の報告、および撮影したフィル
        ムをもとに記述していることをお断りしておく。

     1980(昭和55)年4月、初の外国人メディアとして、NH
    Kのテレビカメラが砂漠の楼蘭遺跡を撮影した。取材班は、現
    地の核爆発実験や核軍事演習のすべてを知る中国軍の新彊部隊
    に引率されていたのだった。

     中共政府がNHK取材班に「立ち入り許可」を与えた思惑は、
    想像に難くない。軍が引率するのだから、核爆発を思わせるよ
    うな場所は見せなければよい。そういう場所の撮影は中国側が
    撮影しているのだから、周到な「編集」が可能である。

     そして、出来上がった映像は「NHKの取材によるもの」と
    して西側世界に公開される。核実験の災害などおくびにも出さ
    ず、シルクロードの歴史ロマンのみを映し出す番組により、中
    共政府は核実験の事実を糊塗できる。NHK取材班は、中共政
    府のプロパガンダに使われたのである。
    
■5.「核の砂漠」■

     1980年3月29日、NHK取材班は敦煌を出発し、西方430
    キロメートルの楼蘭を目指した。NHK取材班5人、考古学者
    の九州大学・岡崎敬教授、それに中国中央電子台職員が加わっ
    て、総勢15人からなる一行であった。翌日、中国共産党軍が
    合流し、それに引率される形となった。

     4月11日、「さまよえる湖」と呼ばれるロブノールがある
    とされる720地点についたが、それらしい湖は見つからなかっ
    た。13日、80キロを北上し楼蘭の女王のミイラを撮影した。

     その後、なぜか取材班は南方の720地点に戻り、そこから
    北西50キロに位置する楼蘭遺跡に移動した。なぜわざわざV
    字型の移動をしたのか。中共軍は、まっすぐ移動する道のりは
    悪路だと説明した。

     しかし、高田教授がNHK取材班の足取りと、核爆発の地点
    をあわせて地図化すると、その理由が見えてきた。V字の中に、
    4メガトン、2.5メガトン、2メガトン、0.6メガトンの核
    爆発ゼロ地点があったのだ。核弾頭が炸裂してできたクレータ
    ーなどの目撃を避けるための迂回路であったようだ。

     それだけではない。4年前に行われた4メガトンの核爆発は、
    長崎に投下された核爆弾の200倍の規模である。高レベルの
    放射能が残留する「核の砂漠」なのだ。「核の砂」が高エネル
    ギーのガンマ線を放射しており、それを浴びれば、白血病や発
    ガンのリスクが増大する。

     高田教授は、取材班が10日ほどの楼蘭付近に滞在したうち、
    5日間、核爆発ゼロ地点に接近したとして、彼らが「核の砂」
    から浴びたガンマ線の量を、84から260ミリシーベルトと
    推定計算した。

     これは原子力発電所や病院で核放射線作業に従事する職業人
    の年間限度の50ミリシーベルトを超える危険な量をわずか5
    日ほどで被曝したことになる。
    
■6.非人道的な核実験■

     この東トルキスタン地域は、中国共産党が1949(昭和24)年
    に軍事侵攻し、支配下においた土地である。そしてこの地で最
    初の核実験が1964(昭和39)年10月の東京オリンピック期間
    中に始まり、1996(平成8)年まで続けられた。

     この東トルキスタンと国境を接するカザフスタンは、かつて
    ソ連の支配下にあり、そこにはソ連によるセミパラチンスク核
    実験場が設けられていた。中国の核実験の非道ぶりは、ソ連と
    比較しても明らかである。

     ソ連の核実験場は四国ほどの面積の土地から人々を外部に移
    住させ、周囲に鉄線で囲いを設け、実験場につながる道路の出
    入りを厳重に管理していた。その広大な面積においても、場外
    の民衆の安全に配慮して、最大0.4メガトンに抑えていた。
    さらに核爆発を実施する際には、核の砂が降ると予想された風
    下の村の人々を、事前に避難させる措置も一部とっていた。

     一方、中国は、鉄条網で囲んだ実験場など設けていなかった
    と、現地の人々の証言からも推察される。しかも、最大4メガ
    トンと、ソ連の10倍もの規模の核爆発を行った。

     さらに住民に警告して避難させるなどという措置もとらなかっ
    た。逆に現地の農民は「(核爆発)基地では、漢人の住む方向
    に向かって、つまり西から東に風が吹く時は核実験をしない。
    西に吹いた時に行っていた」と憤っている[a]。
    
■7.「太陽の100倍もの明るさ」■

     ウイグル人医師アニワル・トフティー氏は、イギリスに亡命
    し、核爆発災害のドキュメンタリー番組"Death on the Silk
    Road" 『シルクロードの死神』の制作に協力した人物だが、93
    年に故郷クルムの老羊飼いから聞いた体験談を東京でのシンポ
    ジウムで紹介した。[1,p33]

     その老羊飼いは「自分は神を見たことがある」と言った。そ
    れは太陽の100倍もの明るさだった。そして地面が大きく揺
    れて、凄まじい嵐になったという。彼は半身ケロイドとなった。
    軍人たちが彼を病院に連れて行き、検査をした。そして彼の
    100頭以上の羊をすべて買い取ったという。老人は、それか
    ら2年後に亡くなった。

     高田教授は、核弾頭を浅い地下に埋めたか、山裾のトンネル
    の入口から近いところでの核爆発であった、と推定している。
    火球が噴出し、核の砂が大量に舞い上がる。広範囲に核汚染を
    まき散らす最も危険なタイプの核爆発である。

     中国は90年代にこの地域で11回もの核爆発を行っており、
    東トルキスタン南部のタリム盆地での石油・天然ガス油田開発
    が始まった時期と一致していることから、高田教授は資源開発
    に核兵器が使われたと推定している。

     核爆発により地震を人工的に起こし、そこで発生した地震波
    の伝わり方を調べて、地下の構造を分析する手法である。ソ連
    もこの目的で12回の核爆発をシベリアで行っている。
    
■8.急性死亡19万人、急性放射線障害129万人■

     東トルキスタンの人口は2005(平成17)年で2千万人である。
    中共政府はその地で、住民を退避させることもなく、核爆発を
    行った。

     高田教授は楼蘭地域での3発のメガトン級核爆発の影響を計
    算した。その値は1千キロ離れたカザフスタンの報告値と良く
    一致した。それは胎児が奇形となるレベルのリスクであった。

     その核放射線影響を現地の人口密度に当てはめて推定すると、
    核の砂による急性死亡は19万人となった。2メガトン地表核
    爆発では、風下およそ245キロメートル、すなわち横浜−名
    古屋間に及ぶ範囲で、急性死亡のリスクがあった。この地域で
    は核の砂が降って、住民が全員死亡した村がいくつもあったと
    いうことになる。

     また、死亡には至らないが、白血病などを誘発する急性放射
    線障害のリスクのある地域は、風下およそ440キロメートル
    に及ぶ。東京−大阪間に相当する距離である。この地域で白血
    病などを誘発する急性症を起こした人々は129万人と推定さ
    れた。

     前述のアニワル・トフティー医師が、現地で命がけの調査を
    行った結果では、漢民族でも30年以上ウイグル地域に住んで
    いる人は、発ガン比率が中国全土と比べて35パーセント高い。

■9.被爆地に呼び寄せられる日本人観光客■

     こういう危険な被爆地を、NHKは歴史ロマン番組として紹
    介し、その結果、多くの日本人が観光客として訪問した。

     楼蘭遺跡付近の核爆発は東京オリンピック開催中の1964(昭
    和39)年に始まり、1996(平成8)年まで続けられた。NHK
    のシルクロード番組が放映されたのは1980(昭和55)年からで
    あるが、それ以降も核爆発は続いていたのである。

     ウイグル地域への日本人観光客の人数は1995年に35,071人、
    1996年に36,278人というデータがある。これから、高田教授は
    核爆発が続いていた1996年までの総数を27万人程度と推定し
    ている。これに加えて、核爆発が終了した1997年から2008年ま
    での日本人観光客数は57万人と見積もられている。このペー
    スだと今後、数年のうちに合計100万人に到達するだろう。

     急性死亡につながる核種は一か月ほどで弱まるが、高エネル
    ギーのガンマ線は「核の砂」として長期間、残留し、近寄った
    観光客は被曝を受ける。同時に砂塵を吸い込むことによって、
    プルトニウムが肺に吸着し、以後、アルファ線が肺細胞を突き
    刺す。

     高田教授はシルクロード観光者の被災調査を始めたが、すぐ
    に2件の情報が寄せられた。二人とも1980年代にウイグル観光
    をした後、悪性リンパ腫や白血病を発症し、そのうちの一人は
    亡くなった。

     これは言わば、広島で1375発分の核爆発が行われている最中
    に瀬戸内海の歴史ロマン番組を放送し、その危険性はいっさい
    隠蔽して、毎年数万人規模の観光客を呼び寄せるのと同じこと
    である。『シルクロード』は今もビデオとして販売されており、
    人類史上最悪の被爆地に観光客を呼び寄せ続けている。
                                         (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(523) シルクロードに降り注ぐ「死の灰」
    中国に植民地支配されたウイグル人の土地に、核実験の死の
   灰が降り注ぐ。
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog523.html
b. JOG(186) 貧者の一燈、核兵器〜中国軍拡小史
    9回の対外戦争と数次の国内動乱を乗り越えて、核大国を目
   指してきた中国の国家的執念。
   http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog186.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 高田純、『核の砂漠とシルクロード観光のリスク─NHKが放送し
   なかった楼蘭遺跡周辺の不都合な真実』★★、医療科学社、H21
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860034023/japanontheg01-22%22

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■前号「天皇への道(下)〜 皇太子を御護りした人々」に
  寄せられたおたより

                                 アイゼンシュタインさんより
     今回の天皇陛下の皇太子時代のお話は非常に興味深い内容で
    した。先日の即位20年式典での天皇皇后両陛下のお言葉ですが、
    このようなご体験が背景にあったのではないかと思うようにな
    りました。

     天皇皇后両陛下は、今の政治家諸氏より、遙かに国民の窮状
    を心配なさっていらっしゃると思います。大変失礼ながら、お
    言葉の温度(温かさ)が違うように感じます。

     正に国民の象徴としての天皇を具現化されていると思います。

                                       「韓国の龍」さんより
     今上天皇は素晴らしい方だとは察しておりましたが、そうい
    う今上天皇を育てられたのは侍従であり、一般の庶民であった
    ということが今回の記事でよくわかりました。

     思えば日本は「神の国」です。今まで神様のご加護でうまく
    来ましたが、昨今の政治の混迷を見ますと、折角我々の先祖・
    先輩が守ってこられた神の国を程度の低い政治家が壊してしま
    うのかと心配でなりません。

     でも福沢諭吉先生がおっしゃったように「一身独立して一国
    独立す」。我々一般庶民が刻苦勉励して民度を上げ、お粗末な
    政治にはNoを突きつけることが大事だと思います。

     その為に私自身も頑張ろうと思いました。

■ 編集長・伊勢雅臣より

     一国の政治のレベルは、その国の国民のレベルが決めるので
    す。まずは、我々自身のレベルを上げることでしょう。

     読者からのご意見をお待ちします。以下の投稿欄または本誌
    への返信として、お送り下さい。
     掲載分には、薄謝として本誌総集編を差し上げます。
    http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P36920582

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