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続・児童虐待

柳美里

続・児童虐待

わたしに似すぎている彼女は、
子どもを児童相談所に奪われた

ある「虐待母」を訪ねて 〜名古屋にて

似ている。

そう思って、違うところを見つけようとしたが、どうしても同じところに目がいってしまう。

彼女もわたしも素っぴんで、口紅ひとつ引いていない。

彼女はソバージュ、わたしはストレートという違いはあるけれど、髪の長さは同じくらい。

若いころは痩せていたけれど、最近肥ってきたという体型も背格好も、同じくらいだった。

わたしは、彼女と同じ型のワンピースを何着も持っている。

開襟で、二の腕が隠れるくらいの袖で、ウエストが共布のベルトで絞ってあって、ふわっと広がったスカートはふくらはぎが隠れるくらいまである。宮崎アニメの主人公が着ているような、シンプルで少女らしいシルエットのワンピース—。

色と柄は、違う。

わたしがピンクベージュの無地で、彼女が黄色地にペンギン—羽をひろげたり、尻餅をついたり、よちよち歩いたり—ありとあらゆる姿態のペンギンが百羽以上プリントされている。

わたしはペンギンを見ながら、彼女と話をすることになった。

彼女の第一声は「笑ってください」だった。話の途中で繰り返し「もう、笑ってください」と言って乾いた笑い声をあげた。

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    柳美里柳美里
    (ゆう・みり)
    1968年生まれ、神奈川県出身。劇作家、小説家。1993年に『魚の祭』で岸田戯曲賞を、1997年には『家族シネマ』(講談社)で芥川賞をそれぞれ受賞。『ゴールドラッシュ』(新潮社)、『命』(小学館)、『柳美里不幸全記録』(新潮社)など、小説、エッセイ、戯曲の作品多数。

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