わたしに似すぎている彼女は、
子どもを児童相談所に奪われた
ある「虐待母」を訪ねて 〜名古屋にて
似ている。
そう思って、違うところを見つけようとしたが、どうしても同じところに目がいってしまう。
彼女もわたしも素っぴんで、口紅ひとつ引いていない。
彼女はソバージュ、わたしはストレートという違いはあるけれど、髪の長さは同じくらい。
若いころは痩せていたけれど、最近肥ってきたという体型も背格好も、同じくらいだった。
わたしは、彼女と同じ型のワンピースを何着も持っている。
開襟で、二の腕が隠れるくらいの袖で、ウエストが共布のベルトで絞ってあって、ふわっと広がったスカートはふくらはぎが隠れるくらいまである。宮崎アニメの主人公が着ているような、シンプルで少女らしいシルエットのワンピース—。
色と柄は、違う。
わたしがピンクベージュの無地で、彼女が黄色地にペンギン—羽をひろげたり、尻餅をついたり、よちよち歩いたり—ありとあらゆる姿態のペンギンが百羽以上プリントされている。
わたしはペンギンを見ながら、彼女と話をすることになった。
彼女の第一声は「笑ってください」だった。話の途中で繰り返し「もう、笑ってください」と言って乾いた笑い声をあげた。