志望校を決めかねているのに、オープンキャンパスに行くなどして、大学の情報を得る努力もしていない。学校の成績が思わしくない……。
これらは、受験を意識し始めた高2の10月ごろに、私が抱えていた悩みの数々。受験に関しては五里霧中という感じで、とりあえず予備校に通わなければと思っていました。そんなときに、部活の先輩の勧めで授業見学に行ったのが、城南予備校。
対応してくれたチューターに、これらの悩みを相談してみたところ──。
「これから勉強するために予備校があるんだよ。まだ、十分間に合うから」
そう励ましてもらえて、気が楽になりました。ちゃんと話を聞いてアドバイスしてくれる人がいるだけで安心して受験勉強が始められるなと思い、城南に決めました。
さっそく通い始めたのですが、話を聞いてくれるだけでなく、大学に関する情報も豊富。志望校はおぼろげながら私立の文系、具体的に言えば早稲田、慶應を受けたいと思っていたのですが、同時に国立にも魅力を感じていました。
あるとき、「東大は無理だと思うけど、一橋はどうか」という私に、チューターは目標は高い方がいいと大賛成。しかも、一橋は学部間の垣根が低く、違う学部同士でも交流があるということを教えてくれたり、私の学力で受験できそうな学部を提案してくれたり。さまざまなアドバイスが大いに参考になり、「第一志望は一橋」という意志が固まりました。
また、国立を目指すことになり、私立文系よりも試験科目が増え、理科は生物、社会は倫理を選択。どちらも城南の授業は受けていなかったのですが、チューターにどれぐらいのペースで何を勉強すればいいかを教えてもらえたので、自力でも効率的に勉強できました。
本格的に受験勉強を始めてから夏休み前まで、やる気がみなぎっていた私は、平日は学校が終わってから、土日は開館から、いずれも閉館まで城南に通い詰めました。授業を受けたり、自習室で勉強していたのですが、他の生徒はまだエンジンがかかっていなかったのでしょう。自習室はいつも空席がありました。そんな自習室で、自分ひとりが集中して勉強しているという抜きん出た感じが快感で(笑)、モチベーションにもつながっていたと思います。
ところが、夏休みに入ったら様相が一変。自習室に人が増え、自分が先んじているという優越感が薄まってしまいました。みんなが頑張り始めた結果、平均点が上がり、右肩上がりだった私の模試の点数も普通になってしまうというありさま。途端に朝から城南に行くという気力が失われ、学習時間も短くなっていきました。
いわゆるスランプに陥ったのです。もともと人と同じことをするのがイヤなタイプで、自分だけ頑張ってると思えたときは楽しかったのに、みんながやり始めたらおもしろくなくなったというのがスランプの大きな原因。毎日、最低限の勉強はしましたが、受験勉強を始めたころの勢いは保てなくなりました。
そこで、“勉強する前にコーヒーやオロナミンCを飲んで、集中力を高める”とか“寝ずに勉強すると強く誓う”とか、いろいろな方法を試してみましたが、どれも効き目はなし。いっこうに集中力は高まらず、すぐに寝てしまう始末。
結局、スランプ脱出に固執するのはやめて、無理をせず、マイペースでいくことに決めました。
スランプは受験の直前まで続きましたが、それでも合格できたのは、コツコツとですがあきらめずに勉強し続けたからだと思います。
たとえば、模試で生物や倫理の点数が取れなかったときには、これらの科目が必要ない私立の文系に絞って、国立はやめようかと思ったこともありました。でも、だいたいの友人は私立の文系を目指していたので、国立をあきらめたら、みんなと同じになってしまいます。人と同じことはしたくないという自分の性格が幸いして、やっぱり頑張ろうと思えたのでした。
また、途中で投げ出さずにすんだのは、チューターの励ましがあったからだとも思います。調子が出ないとちょくちょく相談に行っていたのですが、そのたびに適切なアドバイスをしてくれました。模試の結果がよくないときも、「あきらめちゃダメだよ!」と激励され、気持ちを落ち着けることができました。
さらには、「頑張ることも大事だけど、自分を大事にすることも必要」とも。そのチューターの言葉に素直に従い、受験期間中ずっと気分転換にテレビドラマを見ていました(笑)。
毎晩、9時から11時まで各局で放映されている連ドラは、ほとんどリアルタイムで制覇。なかでも、福山雅治さん主演の『ガリレオ』が大好きで、母に注意されながらも毎週欠かさずに見ていました。およそ受験生らしくはなかったと思いますが、逆に大好きなドラマを我慢することこそ自分にとってはマイナス要素。それは、受験直前になって母も納得してくれました。
人と同じことをする必要はなく、自分の勉強しやすい環境やペース、スタイルを作ることが大切だと思います。