煮魚を美味しく作るコツ
- 主人の実家から“きんき”が送られてきました。でも、私はこの魚、干物しか調理したことがありません。義母に聞いたら「煮付けがいちばん美味しいよ」って言うのですが、恥ずかしいことに魚料理は、干物・バタ焼き・唐揚げくらいしか経験がないのです。三陸沿岸の義母にそんなことを聞いたら思いっきりバカにされそうなので、教えていただけないでしょうか。
- 煮魚ですか。いいですねぇ、これから春までは魚がいちばん美味しい季節です。寒い季節の魚は一段と脂が乗って美味しいですから、いろいろと工夫して楽しみたいですね。煮魚が難しいとお考えのようですが、基本が分かってしまえば、短時間でできる料理ですし、美味しいし、是非ポイントを正確に把握なさって下さい。
重要なポイントは四つです。ひとつひとつ説明いたします。
水に、お醤油、味醂、お塩、日本酒などの調味料を加えた煮汁がよく沸騰してから「魚」を入れることです。この時、魚は「切り身」でも「丸ごと一匹」でも全く同じです。但し、「丸ごと一匹」の場合は、煮ている間に身が縮んで皮が裂けたりしないために、あらかじめ皮に、ふたつないし三つくらいの切れ目を入れておきます。沸騰した煮汁に入れる理由は、魚の表面のたんぱく質が、煮汁に含まれる塩分と高温のお陰ですぐに固まるので「大切な旨み」が逃げないからです。もしも、冷たい状態の煮汁に入れてから煮ると、煮汁の温度が上がる前に、今度はこの塩分のせいで、美味しい旨み要素が煮汁に溶け出してしまうのです。これでは、肝心の出来上がった煮魚が美味しくないですよね。
魚を煮る時には、落し蓋は必ずしますが、もともとお鍋についている「蓋」は絶対にしないことです。美味しい魚にも、いやな臭いの成分は含まれています。この臭いを蒸発する水分とともに空気中に飛ばすためには、お鍋を蓋で完全に塞いではいけないということです。このことは、お肉とお魚を煮たり焼いたりする時の基本ですので、是非覚えておいて下さい。魚を焼く時も、ガスレンジについているグリルで焼くより、コンロの上で焼くほうがいいということです。フライパンに蓋をしないで焼くほうが美味しいということです。
煮汁の量は、魚が隠れるかどうかといった量が適量です。美味しい魚の味を楽しむ料理ですから、魚の芯まで煮汁の味がしっかりと滲みこんでしまうようではいけませんし、旨みが煮汁に溶け出すことも避ける必要があります。そのためには煮汁の量は多過ぎてはいけないということなのです。あくまでも調味料の良い風味をつける範囲であることを知っておいていただきたいと思います。
ただし煮汁の量が少ないと、魚全体に風味がつきにくいので、落し蓋をして全体に風味がつくようにします。落し蓋の直径はお鍋の直径よりも小さいですから、臭みが蒸発する邪魔はしません。しかし、煮汁が魚に満遍なく回るようにするには最適の道具です。木製、金属製、ペーパーなど、どれでも結構ですが、木製とペーパーのものは、自動的に「アク」もとれるので助かりますね。
《おまけのポイント-1》お醤油の使い方です。最初にお醤油を決められた量の全部を入れてしまわずに少し残して置き、火を止める直前に振り掛けるのです。こうすると、お醤油の香りが効いた、より美味しい煮魚になります。このお醤油の使い方は、他の煮物、炒め物でも同様ですので、是非覚えて下さい。グッと味が変わること請け合います。
《おまけのポイント-2》私の家では、あらかじめ煮汁の底にだし昆布を敷きます。日本人の旨みの基本は、昆布と魚なのです。だしをとる時、まず昆布でとり、続いて削り節でとりますね。これが日本料理の基本でもあります。ちょっとこんな工夫をするだけで味は一段と上がります。
たったこれだけのことです。今日、多くの方が、食材の良し悪しにはかなり強い関心を持たれているようですが、どんなに素晴らしい食材を手に入れられても、調理を間違うと「元の木阿弥」です。食材の良さを生かす、欠点は隠す、これが正しい調理です。早速「美味しい煮魚」にチャレンジしてみて下さい。ご家族の反応が、ビックリするほど変わるはずです。
宮崎製作所 「ジオ・プロダクト」
税込 ¥7,000〜¥15,000
商品スペック
●材質:ステンレス鋼●IH(電磁)調理器対応(200Vまで)●日本製
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