医療事故調の早期設立訴えシンポ−医療過誤原告の会
医療過誤原告の会が主催するシンポジウム「医療事故調査第三者機関の設立を・医療事故の原因究明こそ、医療安全の原点」が12月5日、東京都内で開かれた。医療事故被害者らが自身の経験を踏まえ、医療事故をめぐる問題点や調査を行う第三者機関設立に向けた課題などについて意見を交わした。【関連記事】
医療事故の法的責任、行政処分のあり方含め検討を−医療安全推進シンポ
第三者機関による医療事故調、97%が「必要」−厚労省調査
医療事故「院内調査を先行」―救急医学会
医療安全調、「過失」の評価などをめぐり議論
警察に通知、「故意に近い悪質な医療行為に起因する死亡」−厚労省研究班
冒頭、同会の宮脇正和会長があいさつ。東京都立広尾病院で消毒薬が誤注射された医療過誤事件などが重なった1999年から10年が経過した今年を「大きな節目」とし、医療事故を教訓としたさまざまな取り組みや試みを評価した。一方、「ここ数年、かなり激しく逆行する動きがあり、医療過誤裁判に非常に大きな影を落としている。被害者にとって厳しい状況だ」と懸念を示した上で、医療事故の解明を図る第三者機関の設立に向けた「大きな世論をつくっていくシンポジウムにしたい」と訴えた。
続いて、医師・ジャーナリストである富家孝氏が「医者の世界と医療事故」について、ジャーナリストの鳥集徹氏が「誰のための医療事故調か・医療事故の現実から民主党のマニフェストを点検する」と題して講演。
富家氏は、厚生労働省が公表している第三者機関設置に関する法案などに触れ、故意や重大な過失以外を刑事事件にしないということになれば、業務上過失致死の構成要件を単純過失とする刑法の解釈に反するなどと指摘した。
鳥集氏は、民主党の医療事故調査制度案が院内事故調査を優先していることについて、警察への通知や責任追及に反発する一部の医療者に配慮したものだと指摘。その上で、これまでの医療過誤事件では「警察や司法が関与して初めて分かったことがある」などと述べ、「医療界は患者側から医療事故に警察は要らないと言われるよう取り組むべき」との考えを示した。
「医療事故被害者が現状打開の提言」と題したシンポジウムでは、都立広尾病院事件や福島県立大野病院事件などの被害者5人がシンポジストとなり、それぞれが自身の経験などを述べた上で、会場に集まった参加者らと意見を交わした。
会場からは、医療事故被害者に対する誹謗中傷への対応や、解剖の是非に関する意見のほか、遺族に寄り添う医療事故調のあり方を検討すべきなどの声が上がった。
この日コーディネーターを務めた勝村久司氏(医療情報の公開・開示を求める市民の会世話人)は、「すべての医療裁判は隠ぺいや改ざんとの戦いにすぎない。こういうことをしないケースでは裁判にならない」との考えを示した上で、「事実を担保し、嘘がつけない医療」を目指す一環として、原因分析や再発防止に取り組む医療事故調の必要性を指摘した。
更新:2009/12/07 13:35 キャリアブレイン
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