7割の若者がWord/Excelを使えない - MSがITスキルアップによる就労支援へ
2009/12/07
マイクロソフトは、2010年1月から2011年12月までの2年間、若者の就労支援を目的に「ITを活用した若者就労支援プログラム」を実施すると発表した。このプログラムは、若者の職業的自立を支援する政府の事業である「地域若者サポートステーション」を受託するNPOと連携して行い、無業の状態にある15歳から39歳の男女を対象に、就労に役立つITスキルの習得を支援していく。
無業状態の若者の就労支援を行っているNPO法人「育て上げネット」理事長 工藤啓氏は、運営している都内のある「若者サポートステーション」での例を挙げ、「利用者1000人のうち、パソコンにさわったことない人が約20%、パソコンでネットとメールだけを利用している人が50%で、7割の人間がWord/Excelを使えない状況だ。雇用の条件にWord/Excelが使えることを挙げる企業もあり、最低Word/Excelができないと就職できない状況にある。ITスキルがないと就職先の選択肢が少なくなるばかりでなく、ITスキルがない自分に対する喪失感や絶望感も生まれてくる」と、若者の就職におけるITスキルの必要性を訴えた。
マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部長 伊藤ゆみこ氏によれば、マイクロソフトは2003年から14の「コミュニティITスキルアッププログラム」を提供し、ITのスキルアップ支援を行っているが、この中の「女性のためのUPプログラム」の中で、若者の就労が大きな問題となっており、通常の常勤者であれば企業内で身につけることができるITスキルを、無業の人々はそれを習得する機会さえないことを知ったという。
また、総務省が11月に発表した統計データでは、15-64歳全体の完全失業率が5.4%であるの対し、15-24歳では9.3%と高い数字になっていることも踏まえ、今回のプログラムの提供につながったという。
マイクロソフトでは今回のプログラムにおいて、「地域若者サポートステーション」を受託するNPOのスタッフをITスキル講習の講師として養成するほか、同ステーションでの就労支援とWord/Excel/PowerPointを活用した文章作成などのITスキル講習を組み合わせて実施する。そして同社は、本プログラム実施のための資金の提供、Windows7などのソフトウェアの提供、最新技術の紹介や活動のアドバイス、専属担当者によるプログラムマネージメントを行う。
このプログラムでは、1年目は首都圏の5つの「地域若者サポートステーション」で実施され、2年目には公募により20か所のステーションで展開するという。そして、2年間で6000名の若者にITスキル講習会を受講してもらい、このうち30%の人が就労または、職業訓練校などに移行することを目標としている。
マイクロソフト 代表執行役社長 樋口泰行氏は「若者は生き生きと働いて、将来の日本を背負おっていかなければないが、若者の就労は厳しい状況だ。昔であれば自分で這い上がってこいといっていたが、それだけでは解決できない状況もあり、そこに眼を向けることが大事だ。就職情報はネットにシフトしており、ITスキルがないと履歴書もかけない状況で、ITスキルは必須なものになっている。また、これを身につけることで、自信にもつながっていく。我々はソフトウェアで成長した会社であり、その得意分野で社会にお返しできる機会だと思い、支援を決定した」と支援の理由を述べた。
来日した米マイクロソフト コーポレートバイスプレジデント グローバルコーポレートアフェアーズ担当 パメラ・パスマン氏は、「企業はやるべきことの優先順位をつけ、価値を創造できる活動にフォーカスすることが必要で、企業市民としての活動が、企業の中核となるミッションにつながるものでなければならない。すなわち、その企業が得意としていること、専門知識やリソースを有していることについて、他とパートナーを組んで行うこと必要だ。マイクロソフトもこのような考えにもとづいて行動しており、これまでマイクロソフトが得意とし能力を持っている部分にフォーカスを当てて、教育、イノベーション、働く人のスキル、雇用の創出などの社会の課題をテクノロジを利用して解決してきた。企業市民としてかかわりは、企業のミッションと密接に統合されている」と述べた。
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