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「葛飾ビラ配布事件」最高裁・判決文の真相

三上英次2009/12/04
 一般に裁判所の文章は難解であるとか、とっつきにくいとの印象があるが、5年にわたって最高裁まで争われた、いわゆる「葛飾ビラ配布事件」は、PDFファイルで5枚ほど、読むのに5、6分で済み、10分あれば十分である。

 しかも、前半部分は、問題となったマンションの構造や玄関出入り口についての記述で、専門的な法律論が展開されているわけではない。例えば、次のような記述である。

〔1〕本件マンションは、東京都葛飾区亀有2丁目所在の地上7階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造りの分譲マンションであり、1階部分は4戸の店舗・事務所として、2階以上は40戸の住宅として分譲されている。

〔2〕2階以上の住宅部分への出入口としては、本件マンション西側の北端に設置されたガラス製両開きドアである玄関出入口と、敷地北側部分に設置された鉄製両開き門扉である西側敷地内出入口とがある。

〔3〕掲示板には、A4判大の白地の紙に本件マンションの管理組合(以下「本件管理組合」という。)名義で「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます。」と黒色の文字で記載されたはり紙と、B4判大の黄色地の紙に本件管理組合名義で「当マンションの敷地内に立ち入り、パンフレットの投函,物品販売などを行うことは厳禁です。工事施行、集金などのために訪問先が特定している業者の方は、必ず管理人室で『入退館記録簿』に記帳の上、入館(退館)願います。」と黒色の文字で記載されたはり紙がちょう付されていた。

 ちなみに、上の〔1〕〜〔3〕まで、すべて東京高裁(池田修裁判長)の手による判決文を【コピーアンドペースト】つまり「引き写し」をして作成されたものである。

「葛飾ビラ配布事件」最高裁・判決文の真相 | 写真(A)オレンジ色のマーカー部分は高裁判決文からの転用である(撮影・三上英次、以下同じ) 
写真(A)オレンジ色のマーカー部分は高裁判決文からの転用である(撮影・三上英次、以下同じ) 
 写真(A)を見てもらえば、どれぐらいの【コピーアンドペースト】によって、この判決文が成り立っているのか、一目瞭然である。写真(A)は、PDFファイルで5ページの分量の判決文を、ワードファイル4枚に打ち直したものだ。全4枚のうち、オレンジ色のマーカーが引いてある部分は、東京高裁の判決文と一字一句同じ箇所である。〈引用〉であることを明記せず、そのまま転載すれば、世間では〈盗用〉として非難されるが、最高裁判決文の場合は、別段そのことに目くじらを立てる必要は無い。最高裁は、憲法判断をするところで事実認定をするところではないし、ちゃんと「原判決の認定及び記録によれば、本件の事実関係は、次の通りである」の一文が入っており、慣れた者同士なら事情の察しはつくし、わざわざ〈引用〉のことわりは必要ないだろう。


 問題は、写真(A)の下半分、ピンク色のマーカーが引いてある部分だ。実は、ここも、ある判決文から、そのまま【コピーアンドペースト】されて、転載されているものだ。判決文の後半は、事実認定ではなく、憲法解釈に関わる部分であるから、例えば、高裁判決文からの【コピーアンドペースト】であってはならない。しかも、引用のことわりも無く、他の裁判官の書いたものを転載することも当然許されることではない。

 ピンク色のマーカーを引いた【コピーアンドペースト】部分――、これはいちおう他人の書いた判決文ではない。書いたのは、「葛飾ビラ配布事件」の裁判長、今井功氏その人である。以下の〔4〕〔5〕を見てもらえばわかるが、これらは2008年4月に「立川自衛隊官舎ビラ配布事件」で書かれたいくつかのフレーズをそのまま、一字一句も変えずに、まさに【コピーアンドペースト】して持って来たものだ(但し、〔5〕については「防衛庁の集合住宅」を「本件マンション」に打ち替えてはある)。

〔4〕「憲法21条1項も,表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されない。」

〔5〕「本件では、表現そのものを処罰することの憲法適合性が問われているのではなく、表現の手段すなわちビラの配布のために本件管理組合の承諾なく本件マンション内に立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われているところ,本件で被告人が立ち入った場所は、本件マンションの住人らが私的生活を営む場所である住宅の共用部分であり、その所有者によって構成される本件管理組合がそのような場所として管理していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ表現の自由の行使のためとはいっても,そこに本件管理組合の意思に反して立ち入ることは、本件管理組合の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。したがって、本件立入り行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは、憲法21条1項に違反するものではない。」


 事実認定については、原審(東京高裁)判決文からの【コピーアンドペースト】(引き写し)、そして、後半の憲法論については、過去に自身の書いた判決文からの【コピーアンドペースト】(引き写し)――これが、今回の最高裁判決文の実態である。
 これについて、特に過去の判決文からの「引き写し」のどこがいけないのか、自分の書いた判決文からの転載であれば、逆に、憲法解釈が「ぶれていない」からよいのではないか、同じ「住居侵入罪」のケースなのだから、たとえ判決内容が【コピーアンドペースト】でも、とやかく言うすじあいのものではないのではないか、という意見もあるだろう。

 しかし、そうではない。記者が、今井功裁判長の判決に対する姿勢を厳しく批判するのは、上記〔4〕〔5〕の箇所について、すでに、荒川さん側弁護団は、「上告趣意補充書(4)」(2009年2月9日提出)で、わざわざ引用して、反論を述べているからである。

 したがって、判決を下すに当たっては、弁護団から出された反論(上告趣意補充書(4))に対して、さらに相手を納得させるべく、新たに言葉を尽くして法適用のあり方を示すのが、職業裁判官としての務めではないのか。

 今井裁判長は、ウェブ上で「最高裁判所の判断は,事件についての最終的な判断である」と述べている。加えて、自身は2009年12月をもって、定年退官である。だから、「門前払い」であろうが、【コピーアンドペースト】と揶揄(やゆ)されようが、ともかく「上告を棄却する」判決を下せば、あとはどうでもよいと思っていたのではないだろうか。
 判決文を読んで、どんなに弁護団が切歯扼腕(せっしやくわん)しようが、もう判決は確定である。直ちに相手の非や矛盾を問いただせる公開討論ではないし、いったん判決を言い渡してしまえば、これまでのように「上告趣意補充書」なども出しようが無い――、そういうことを考えて、今井裁判長は、無責任にも、過去の判決文、それも弁護団からとうに反論の材料とされているフレーズにもかかわらず【コピーアンドペースト】して、判決文らしきものに仕上げて出して来たのではないだろうか。およそ、そうでも考えなければ説明がつかないほど、今回の【コピーアンドペースト判決文】は、幼稚であり悪質である。全国から8万人にも及ぶ人たちが荒井さんの無罪を求めて署名をして来た事実を、今井裁判長らはどう考えているのか、――国民(=主権者)を馬鹿にするにもほどがあると言いたい。


 「上告趣意補充書(4)」は、上記〔4〕〔5〕を引用し、それに続けて「自衛隊立川官舎へのビラ配布」に関して次のような点を指摘している。

(ア)立川事件の最高裁判決(今井功裁判長)は、立川宿舎の1階出入り口から玄関前までの部分及び敷地部分を「邸宅」侵入罪の対象と解し、純然たる居住部分(住居)と同様に判断すべきではないことを述べている。

(イ)立川事件の最高裁判決(今井功裁判長)は、具体的な管理者の存在や管理者の具体的な対応を認定した上で、立ち入りが「管理者の意思」に反するか否かの判断をしている。そして、明確な「住居」ではなく、「人の看取する邸宅」への侵入については、単なる抽象的な管理権侵害では足りないことを自ら明らかにしている。

(ウ)立川事件の最高裁判決(今井功裁判長)は、表現内容そのものではなく、表現手段を制限することの憲法整合性が問われていると明言する。しかし、立川事件判決では、配られたビラの内容が管理者の立ち入り拒絶意思の認定に不可欠なものとされ、結局ビラの内容にまで事実認定が及んでいる。

 (ア)〜(ウ)を指摘して、立川事件最高裁判決は「集合住宅の共用部分を〈人の看取する邸宅〉とするとともに、看守者(管理権者)の配布物の配布のための立ち入り禁止」については、「厳格な要件を付した判決」であることを、弁護団は明らかにしている。

 その上で、「葛飾ビラ配布事件」の場合は〈1〉複数の出入り口ドアが無施錠である 〈2〉「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます」との貼り紙にある「広告」は主として商業ビラの投函を禁止する趣旨であるかのように読め、それ以外の工事業者などへの記録簿も「有名無実化」していたこと 〈3〉管理人の不在時間もあること 〈4〉管理人は他の部外者には注意のみで帰していることを挙げ、荒川さんの配布物は「内容が平穏で、マンション居住者を含む葛飾区民・東京都民に関連する内容が記載されたビラであることから、その内容に対する賛否はともかく、区政・都政に参加するための重要な情報であった」旨を主張する。  

 そして、葛飾事件では「部外者の立ち入りをどの範囲で許容するかについては、各居住者による個別的具体的な意思が必要とされなければならない」として、立川事件との相違を、数ページにわたって説明している。「上告趣意補充書(4)」は、立川事件への最高裁判決をふまえて、「立川事件」と「葛飾事件」との違いを詳細に、かつ具体的に際立たせものだ。

 同補充書は、結論として次のように述べ、荒川さんの無罪を求めている。
 「本件(注・葛飾ビラ事件)と立川事件は、同じ政治的表現の自由の行使として、集合住宅に立ち入り配布行為を行った点で共通するも、立川事件最高裁判決に拠(よ)り、『管理権者の意思に反する立ち入り』か否かを慎重に判断すれば、本件は立川事件最高裁判決の射程外であることが明らかになる」

 「表現の自由は、民主主義社会において特に重要な見地として尊重されなければならず、仮に、一定限度での制約が許容される場合でも、その制約は必要最小限度でなければならない。そのため、事案ごとに、表現行為が、他人の権利を本当に『不当に』侵害しているか否かを慎重に検討する必要がある。
 本件原審判決(注・高裁判決)は、かかる慎重な判断をすべて省略し、管理組合と管理権者を慎重な検討を経ずに同視し、(略)立ち入り自体を一律禁止した居住者の意思決定があったと認定して、安直な有罪判決を導いた。」

「葛飾ビラ配布事件」最高裁・判決文の真相 | 雨の中、通行人に向けて支援を呼びかける「ビラ配布の自由を守る会」の人たち
雨の中、通行人に向けて支援を呼びかける「ビラ配布の自由を守る会」の人たち
 もう一度、確認する。

 最高裁の今井功裁判長は、自衛隊立川官舎ビラ配布事件(2008年4月・上告棄却)で、判決文を書き、その中で、前述〔4〕〔5〕のように書いている。それを受けて、荒川さん弁護団側は、反論する書面(「上告趣意補充書(4)」)の中で、わざわざ〔4〕〔5〕の個所を引用して、反論しているのだ。

 にもかかわらず、今井功裁判長は、以前書いた判決文フロッピーを持って来て、「官舎」の語句を「民間マンション」に打ち直して、判決文の体裁に整えて、事を済ませてしまった。記者は、前回の判決記事で「一般人を納得されられなかったという意味では、負けたのは荒川さんではなく、第二小法廷の裁判官たちだ」と述べたが、別の判決文から【コピーアンドペースト】で文章を貼り付けて判決文を作っているようでは、一般人を納得させられないのも無理はないだろう。

 しかも、今井裁判長は、最高裁ウェブサイトで、自らの裁判官としての信条を次のように述べているのである(2009年の定年退官によって、該当箇所が消される可能性もあるので、一字一句正確に、以下に転載する)。

〈裁判官としての心構え〉
 「裁判所の使命は,裁判所に提起された事件を適正かつ迅速に解決することにつきるのでありますが,1件1件の事件を大切にし,当事者の訴えに虚心に耳を傾け,これに真正面から立ち向かうことを心掛けています。特に最高裁判所の判断は,事件についての最終的な判断であり,その影響も大きいので,その職責の重要性を自覚しつつ,最善の解決が図れるよう全力を尽くしたいと考えております。」

 もし本当に、今井裁判長が「最高裁判所の判断は,事件についての最終的な判断であり、その影響も大きいこと」や「職責の重要性」を自覚し、「1件1件の事件を大切にし、当事者の訴えに虚心に耳を傾け、これに真正面から立ち向かうこと」を心がけているのなら、どうして罪名は同じでも、事情の異なる事件に、わざわざ弁護側からすでに反論の材料とされているような過去の判決文のフレーズを【コピーアンドペースト】で貼り付けたりするのだろうか。

 今井功裁判長の、裁判に対する不誠実かつ軽率な姿勢は、この5年間、真面目に〈表現の自由〉の大切さを訴えて活動して来た、多くの人たちの思いを、土足で踏みにじるに等しいものだ。「後世に残る最高裁の汚点」(11月30日、「ビラ配布の自由を守る会」声明)とは、まさに正鵠を射た表現である。


〔付記〕
 「葛飾ビラ配布事件」判決文が「立川事件」の判決文と酷似していることは、田中隆弁護士より、11月30日の判決報告会で指摘があった。また、「引き写し」の表現は、「ビラ配布の自由を守る会」の事務局・小松氏にならった。両氏のすぐれた観察眼に、敬意を表する次第である。

「葛飾ビラ配布事件」最高裁・判決文の真相 | 判決が出た直後、メディアの取材を受ける荒川さん(右)
判決が出た直後、メディアの取材を受ける荒川さん(右)
〔関連記事〕
◎葛飾ビラ配布事件・松井弁護士に聞く(上)
http://www.news.janjan.jp/living/0910/0910191850/1.php
◎葛飾ビラ配布事件・松井弁護士に聞く(下)
http://www.news.janjan.jp/living/0910/0910191850/1.php
◎東京地裁・東京高裁 判決読み比べ
http://www.news.janjan.jp/living/0910/0910080339/1.php
◎2009年3月 最高裁〈軽犯罪法〉判決
http://www.news.janjan.jp/living/0911/0911072805/1.php
◎葛飾ビラ配布事件・最高裁 判決下る
http://www.news.janjan.jp/living/0912/0911303893/1.php

〔葛飾ビラ配布事件・最高裁判例(全文)〕
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091130111736.pdf

〔関連サイト〕
◎「ビラ配布の自由を守る会」
http://homepage2.nifty.com/katusika-bira/index.htm
◎北千住法律事務所(田中隆弁護士)
http://homepage2.nifty.com/kitasenju-law/index.html

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[55613] 無知は口を出すな
名前:明石晶
日時:2009/12/07 10:56
> そもそも何故警察を呼んで逮捕するなどの事件にして、裁判にかけるなど
>したのでしょうか?住民の一人でも告発したのですか?「私の住居がビラ投
>函するものによって侵害された」という苦情が警察にでも寄せられたのでし
>ょうか?つまり、住民感情としてそういう事があったのかどうか何も明らか
>にされていませんよ。


お前、判決文読んでないだろ。
住民から被害届が出されてるの。

住民が注意する → 注意されても退去しない → 通報

こういう流れ。
「何も明らかにされてませんよ」じゃなくて、あんたが何も知らないだけ。
今頃モニターの前で赤面しても遅いよ。





> そういう住民感情があったら、管理組合を通じて40年間ビラ配布した今
>回の被告の荒川さんに「ドアポストへの投函をやめてもらいたい」と申し出
>たら良いではないですか?そこから話し合いで決めるべきでしょうが、その
>場合、「うちはドアまで配布されて結構です」という住民の存在があったら
>どうすべきかと言うことがあります。


だからやめるように申し出てるんだって。
で、「正当な政治活動だ」と主張して揉めたの。
ここに話し合いの余地などなく、正当な権利者である住民が退去を命じれば、
応じるか応じないかの二択。退去に応じれば一件落着。応じなければ通報。

こんなに報道されている中で「うちはドアまで配布されて結構です」という人
は出ておりません。そもそも、管理組合の決定で「ビラ配布禁止」と決定され
たんだから、これは住民の総意なの。




全然事件の概要を理解しないまま、「共産党」「警察」というキーワードで条
件反射してるんだろうけど、一度調べ直してきな。百歩譲って表現の自由が住
居侵入より上位にあるとしても、完全に的はずれな事を言ってるから。下記の
URLの「(1)被告人が亀有警察署で取り調べられた経緯及び状況について」と
いうところに、住民が注意して警察が来るまでの事情が詳しく書いてあるから。


http://homepage2.nifty.com/katusika-bira/C2_1.htm#6



反権力で凝り固まった高齢者が思い込みで的外れのコメントをするという好例
でした。
[返信する]
[55605] 表現の自由は簡単に排除するべきものではない
名前:菅田一郎
日時:2009/12/07 08:41
 「表現の自由」について、それが制限される場合については個々の場合に「公共の福祉」によって制限されると考えるべきではないですか?今回の事案、それに当てはまりますか?いったい、マンション住民の何方が、表現の自由の行使に「ドアポストへビラ投函」という手段を使用した事による迷惑を被ったと言えるのでしょうか?


 そもそも何故警察を呼んで逮捕するなどの事件にして、裁判にかけるなどしたのでしょうか?住民の一人でも告発したのですか?「私の住居がビラ投函するものによって侵害された」という苦情が警察にでも寄せられたのでしょうか?つまり、住民感情としてそういう事があったのかどうか何も明らかにされていませんよ。


 そういう住民感情があったら、管理組合を通じて40年間ビラ配布した今回の被告の荒川さんに「ドアポストへの投函をやめてもらいたい」と申し出たら良いではないですか?そこから話し合いで決めるべきでしょうが、その場合、「うちはドアまで配布されて結構です」という住民の存在があったらどうすべきかと言うことがあります。


 一人でもいたら、その他の人は大げさにいえば我慢するべきでしょう。それが国民一人一人が「表現の自由」を守る事になるのです。又立川事件での自衛隊官舎へイラク派兵反対ビラについても、官舎に住む人が全員ビラ内容に反対意見を持っていると仮定しても、そのビラ配布そのものは拒むべきではないでしょう。実際全員が拒むことは考えられません。


 主観的に不快な内容のビラであっても、その内容が迷惑防止条例で制限されるようなものなら配布自体を拒む権利はあります。内容が「公共の福祉に反する」と解されるからです。しかし、特に政治ビラの場合、拒む権利(意見を聞かない権利)があったとしてもその意見を文書にしたビラについては実際に配布自体を一部住民がマンション全戸について拒むことはおかしいでしょう。ピザ店開店チラシ、あるいは新メニューや値下げのチラシ、不動産チラシ、これらに対し、おれはピザが嫌いだといってマンション住民を代表出来るわけはありません。


 この事件は警察が逮捕し、刑事事件としたのですから警察検察裁判所が一体となった茶番劇でしょう。判決内容が酷すぎる上に、コピーアンドペーストで手軽に作ったものだ。と証拠を挙げて記者は示しています。これを茶番といわずして何を言うのか?


 もう一つ、警察が通報されたが、例え現場に駆けつけても「話し合いで解決して下さい」と権力が民事不介入の原則を守って刑事事件にしないというのが民主主義社会の常識でしょう。警察こそ民事不介入を勝手に解釈し、重要な刑事事件の発生を恣意的に見逃すケースが多多あるのに、こういう事件は刑事事件ですか?最高裁まで行って5万円の罰金とは事実上無罪に近い。今回の判決は集合ポストには入れても良い事になるのか良くわかりませんが、実にお粗末な判例を作ったものだというしかありません。


 国民一人一人が「表現の自由」は権利として持っているのです。という事は一人一人が守らなければなりません。勿論、JanJanコメント欄においてもそうですが、罵詈雑言、中傷誹謗、名誉毀損自体が目的の表現は許されませんが、このビラ配布事件ではそんな事実はないでしょう。


 表現の自由について最高裁がこんな馬鹿げた判決を出す国の司法レベルの低下は情けないというしかありません。
[返信する]
[55568] 表現の自由が最上級の価値観なら、JANJANのコメント欄変更に抗議すべき
名前:明石晶
日時:2009/12/06 14:51
「権利者がなんと言おうと、部外者が行使する表現の自由の方が
上位だ」というなら、編集部や記者の恣意でコメント欄の表現の
自由が制限されることにも当然反対しなきゃならんぜ。
記者が「批判意見は不快だ」と言ったって、表現の自由があるか
ら我慢しなきゃならん。
編集部が「編集上の都合だ」と行っても、表現の自由の前では正
当な権利行使とはならん。


管田一郎その他の「表現の自由最上位説」の皆さんは、当然来年
からのJANJANのコメント欄運営方針変更について抗議するんだよな。


私は、「表現の自由も、所有者その他の権利者が許可しなければ
制限されても仕方がない」という立場なので、JANJANがアクセス
数減少を覚悟の上で、うるさい記者からの要請に折れてコメント
欄運営方針を変更しても全く口をはさむ気はないが。
[返信する]
[55566] 一方の視点に立ちすぎ
名前:真道哲
日時:2009/12/06 13:47
>皆さん、住民感情、市民感情?とか仰いますが。政治ビラのポスト投函による「表現の自由」を、ビラ配り禁止の張り紙で侵害する事をどう、思っているんですか?

住民の意思を侵害して「表現の自由」を盾にビラ配りを無制限に正当化する事をどう思っているのですか?

と表現しなおすこともできる。

事実関係の詳細は把握していないから、それらの互いの権利がどのような関係になっていたかを細かく検討しないと実際にはどちらにどの程度の正当性があるかはただちに言えません。

本記事はすべて「表現の自由」の観点からしか記述されていないので、住民側の言い分も記述してほしかったなと思った次第です。



>政治ビラも、全く同様に住居侵入罪で逮捕する事すらおかしいのです。葛飾での事件は実際には、わずか5万円の罰金の判決ですが、こんな軽い罪を最高裁まで争ってまで下す事自体が権力による茶番としか言えません。

権力の茶番とかの話にする前に、ビラ配りする側が意地を張らずに臨機応変に配慮していれば、そもそも裁判という労力自体回避できたと思われます。



>この裁判では住民感情を無視した警察の意向があり、弾圧をする側について司法が警察、検察に配慮をしたものである事は明白です

想像の世界の話ですか?この記述が確からしい事柄であれば、それを示唆する根拠も併記して下さい。


[返信する]
[55557] 住民感情ではなく、警察の感情ですよ
名前:菅田一郎
日時:2009/12/06 11:30
 皆さん、住民感情、市民感情?とか仰いますが。政治ビラのポスト投函による「表現の自由」を、ビラ配り禁止の張り紙で侵害する事をどう、思っているんですか?
 仮に、まったくの私人で、ある日突然政治信条に基づいてビラをマンションや一般住宅にビラを一、二回まいたとして、ビラまき禁止の張り紙の存在があったとしても、逮捕される事自体、おかしいと思いませんか?

 私は、商業ビラをまいた経験がありますが、チャンスがあれば必ずドアポストに入れましたよ。特にマンションについてはあらゆるところに行きました。オートロックについてはときによりけりです。また、はり紙で「チラシ、ビラ配布禁止」というものはあった様な気がしますが、それに従わず個別に配布した事の方が多い気がします。希に、凄い苦情が来たのを見たことがあります。別に対応もとらず謝ってもいないで困るだけでした。

 団地にも15年住んでいましたが、ビラで困った記憶はないです。政治ビラは珍しく共産党でも見た記憶がないですが、思想信条に関わらずそれが入っていたとして禁止する理由はないでしょうね。確認できないが、集合ポストで何かの事情で持ち去る人が不在のときのたまったビラについては、それが入りきれず放置されている状態を文句を言う様な話は私が住んでいた団地ではあった気がします。結局はビラを配布する事に対してではなく、言っても仕方がない「文句」程度の事でしょう。

 今では住民感情としても政治ビラ配布を排除する事よりもむしろ肯定的に受け止める人だって増えているでしょう。しかもビラ配布についてマンション住民が全員拒む、あるいは集合ポストに入れる様希望するとも思えません。集合ポスト付近はビラが散らかる事もあり、又分量の多い郵便物は入れるのは困ると思うでしょう。

 住民感情などと言っていますが、管理組合でビラ配り禁止を決めたとして、そんな決議は、政治ビラ配布による「表現の自由」の侵害を犯すものであり、実際政治ビラをドアに投函されて個々の住民がいったいどれ程の迷惑を被ると言えるでしょうか?又、住居侵入罪の適用は、それでは熱心にドアポストまでわざわざ配布する商業ビラはどうなるの?という、こういう裁判で言われる批判に応えられません。

 政治ビラも、全く同様に住居侵入罪で逮捕する事すらおかしいのです。葛飾での事件は実際には、わずか5万円の罰金の判決ですが、こんな軽い罪を最高裁まで争ってまで下す事自体が権力による茶番としか言えません。
 地裁で無罪、高裁でひっくり返す、最高裁で高裁判決を支持し、さらに自判といって自ら判断する。この裁判では住民感情を無視した警察の意向があり、弾圧をする側について司法が警察、検察に配慮をしたものである事は明白です。
[返信する]
[55521] ちょっと角度が変わりますが
名前:斉喜広一
日時:2009/12/05 19:57
 駅前でよく、ティッシュやチラシや政治ビラなど配っていますね。
で、それを受け取る人もいますが、受け取らない人もいますね。
ただでやるってんだから、受け取っておけよ、いやならゴミ箱に捨てりゃいいじゃないか、と配る方はそう思っても、受け取らない人は断固受け取らないよね。
 そのとき、配る方が無理やり相手のポケットに捻じ込んだりしたら怒るよね。
 マンションでのビラ配り拒否は、その辺のところと似ているんじゃないのかな。それとも違うかな?
[返信する]
[55489] 真道さん、藤田さん
名前:伊藤学
日時:2009/12/05 09:11
そうなんですよね。

政治活動の自由やら、表現の自由で大上段に構えていますけど、結局のところ、駅前でビラを配布するとか、マンションの敷地から少し外に出た公道でビラを配布するとか、集合ポストに投函するとか、ほかに平穏かつ他人に迷惑をかけない代替的な配布手段はいくらでもある筈なのに、と思います。

個人的主観に過ぎないのかも知れませんが、一般市民の感情としては、政治ビラが新聞受けに入っているというのは、いい気分がしないものだと思いますよ。

要は、「自分の主義主張が正しいからその手段は正当化されるのだ」との思い込みを捨て、ビラを投函される人の気持ちも少しは省みてほしいということです。
[返信する]
[55471] 次はどんな犯罪にエスカレートするのか怖いですね。
名前:藤田千秋
日時:2009/12/05 00:26
真道哲さん

住民の立場や一般市民の立場からすると、この裁判の被告、この記事の記者およびその賛同者たちは、恐怖の対象でしょう。
住居侵入という犯罪行為をなんとも思っていない人たち。次はどんな犯罪にエスカレートするのか怖いですね。
[返信する]
[55464] 素朴な疑問
名前:真道哲
日時:2009/12/04 22:16
 住民の立場からの記述が記事には一切見当たらないのですが、どのような反応をしているのでしょうか?

 この記事の構成だと、まるで一方からの見解の正当性を主張するためだけに記述を尽くしているように見えます。
[返信する]
[55461] 印象操作?
名前:堅山安夫
日時:2009/12/04 21:39
写真の2ページめの上のほうのオレンジのラインが引かれていない部分には、「玄関ホール南側には掲示板と集合ポストが,北側には同ホールに隣接する管理人室の窓口があり,」と書かれています。
玄関ホールの集合ポストに入れたのであれば、「だれでも入っていい場所だ」との主張ももっと説得力があったであろうに、なんでわざわざドアポストにしなくちゃならないんでしょうね。

また、4ページの後半、ピンクのラインが引かれていない部分は、上告趣意補充書に対する反論です。
コピペどうこうにケチをつけるより、本当に論破すべきはこの部分ではないですか。
[返信する]

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