国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は4日、最新の報告書に採用された地球温暖化データを科学者が故意に操作したともとれる電子メールが見つかったことについて声明を発表した。データは多くの科学者が検証し各国政府も承認したものだとして、「人間活動が温暖化の原因の可能性が非常に高い」と結論づけた報告書の内容が覆ることはないとしている。
この問題は、IPCCの報告書にかかわった英イーストアングリア大の研究者らがやりとりしていたメールが、何者かによってネットに公開されたのがきっかけ。同大のコンピューターにハッカーが侵入、メールが盗まれたとされる。その中に「気温の低下を隠す策略」などの記述が見つかり、データの信頼性が話題になっている。
欧米のメディアの中に、こうした経緯を大きく取り上げているところもある。7日からデンマークで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に影響するのでは、といった声も上がっている。こうしたことから、IPCCは公式に見解を明らかにしたとみられる。IPCCのパチャウリ議長は「私信の不法なハッキングで起こった不幸な事件」と説明している。
欧米ではニクソン米大統領が辞任するきっかけになったウォーターゲート事件になぞらえ、クライメート(気候)ゲートとも呼ばれている。(小堀龍之)