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2009年12月5日:「スペシャル ガイコク人なしではニッポンが滅びる!?」
(ゲスト)石井慧、
田万由子、ユンソナ、ロバート・キャンベル
突然、外国人に出会うと緊張してしまう日本人。実は「鼻の形」が大いに関係しているという。我々と違う鼻を見た時、脳内で起こる拒絶反応が要因だという。その解消法として、「外国人スターのファンになること」を提案。国際化の救世主は外国人スターかも!?また、我々の英語が通じないのは“和製英語”に原因があったという驚きの実験結果も!「太一のミカタ!」では、東京で食べられるウズベキスタンなどの珍しい料理を紹介。
「日本の舵取りは、ガイコク人に任せろ!」
町中に増えている外国人店員。実は彼らの力が売上げに貢献している。早稲田大学政治経済学術院の白木三秀教授は、「日本に留学していること自体が、所得水準が一定以上の家庭から来ているということ。あるいは一定の学力を持った人たち以上」という。つまり、外国人留学生アルバイトの多くが育ちがよく、高学歴で優秀な人材なのだ。しかも今、日本では従業員だけでなく企業の社長まで外国人になっている。例えば、演歌などで有名なコロンビアミュージックの会長兼最高経営責任者はアメリカ出身で、ソニーの会長兼社長もイギリス出身、日産自動車の会長兼社長のカルロス・ゴーン氏もブラジル出身だ。日本人には情け容赦のない外国人リーダーの戦略だが、企業は会社のリーダーを彼らに託す理由を、関西大学・政策創造学部の白石真澄教授は、「批判を受けながらも、日本人的な“シガラミ”に捕らわれないことがリーダーシップにつながるため」と語る。
さらに、外国人リーダーが政界にも。愛知県犬山市の市議会議員、ビアンキ・アンソニーさん(51歳)は、20年前に英語指導者として来日。その後、犬山市の教育委員会で勤務。そこでの経験より、「条例が常識の邪魔をしている。自治体を動かすのが大変なら、自分でやるしかない!」と日本国籍を取得し、2003年犬山市議会選挙に立候補、見事トップ当選を果たす。アンソニーさんは、選挙ポスターの制作費を48%カットしたり、市役所のパソコンリース料を38%削減するなど、まずは税金のムダ使いの見直しを図った。また県と協力し、子供の安全を確保するために迅速な工事も施工。さらにニューヨーク市と連携し若者達の相互訪問を実現、ホームステイや地元高校との文化交流を行っている。
世界を見回してみると、ドイツではベトナム出身の大臣が生まれ、フランスではハンガリー系移民の2世、ニコラ・サルコジが大統領に就任。日本でも外国人に総理大臣を任せてみては、いかがだろうか…。
「国産食べたきゃガイコク人!?」
先進国の中でも低めな日本の食料自給率。しかも農業就業者数は85年に542万人だったのに対し、08年には298万人に。漁業就業者数も85年には43万人だったのに対し、08年には22万人と激減している。そんな危機的な食料生産の現場だが、ここにも国際化が…。
石川県珠洲市ではインドネシアからの研修生が底引き網漁に励み、後継者不足に悩む漁業の貴重な担い手となっている。だが彼らは外国人研修制度(最大3年)で来日しているので、一人前に育つ頃には母国に帰らなくてはならない。それは農業も同じこと。農業・漁業は単純労働とみなされ、日本のビザ対象外なのだ。現在の研修制度では後継者不足の根本的な解決にはならない。
そんな中、北海道・倶知安町には自ら土地を所有し、無農薬の有機野菜を作るオランダ人、デニスさん(35歳)がいる。総面積13ヘクタールを使い、一年を通してカボチャやナス、ピーマン、ニンジンなど我々の食卓には欠かせない様々な野菜を作っている。地元民からも愛され、行政からも農業の担い手として期待されるデニスさん。デニスさんのように「安全」「安心」な国産食品の未来はガイコク人にかかっているのか!?
「国際化の救世主はガイコク人スター!?」
突然、外国人に会うと緊張してしまう日本人。人類進化学の権威、国立科学博物館・名誉研究員の馬場悠男さんに聞いてみると、「日本は島国で違った顔に見慣れていない。鼻の形や大きさが違う人を見てしまうと違和感を感じて警戒心を持ってしまうため」という。諏訪東京理科大学・脳科学の篠原菊紀教授のもと実験を行ったところ、“無意識のうちに「鼻の形」や「大きさ」の違いを察知することが、外国人に身構えてしまう原因の一つ”と判明。だが、同じ日本人なのにそうした反応を起さない女性が!実は彼女、浅草仲見世商店街で働く雑貨店の店員。毎日、「外国人に見慣れていること」がその要因と考えられる。ということは、お気に入りの外国人スターを見続けることで、日本人の持つ心の壁を取り払ってくれるのでは、と考え、「外国人スターのファンになること」を番組では提案。
そこで日本に住み外国人が母国でオススメのイケてるスターを紹介!もし、日本で今後ブレイクしたら!?スターの誕生で国際化が加速する!?これぞまさに真の国際化!?
「真のコミュニケーションは日本語力に有り!?」
身近に増える外国人。お隣さんも外国人というのは珍しくない。でもそうなったらどうコミュニケーションを取ったらよいのか。ホームステイを受け入れるAさん家族を取材。オーストリアから2ヶ月前にやってきたミリアムさんは日本語がほとんど喋れない。会話は当然英語になるが…。通じない。というのも、会話に出てくる「シュークリーム」や「トレーナー」「サラリーマン」などのほとんどが和製英語で、全く意味が違ったものとなってしまっているのだ。日本語学校に通う外国人に“スキンシップ”や“ペアルック”などの「和製英語」の意味を答えてもらう実験を行ったが、やはり全く別物の言葉になってしまった。杏林大学外国語学部・英語学科の倉林秀男教授に聞いてみると「多くの日本人に見られる和製英語交じりの英語や、文法ガチガチの英語を喋ってしまうと、最終的にコミュニケーションが不成立をして終わりかねない」という。
では多くの外国人が訪れる日本屈指の観光地、浅草で40年商売をしている吉田清志さんは、というと…。全て日本語で外国人相手に商売をしているが、なんと通じている!多少のジェスチャーはあるものの、なぜこれで会話が成立するのか。東京外国語大学、留学生日本語教育センターの荒川洋平准教授は、「明瞭な発音で短い文章で的確にいえば、キーワードが伝わりやすい。つまり短い言葉でハッキリ喋れば日本語でも通じる」という。実際、災害時に放送されるアナウンスを、従来の日本語(例えば「火の元の安全を確認して下さい」と言ったようなフレーズ)とやさしい日本語(「ガスの火を消して下さい」のように言い換えたもの)で流した場合、どちらが外国人の理解度が高いかを検証した結果、なんと従来の日本語は 30%しか理解できなかったのに対し、やさしい日本語だと90%理解することができたという。(弘前大学、社会言語学研究室発表)
実は下手な英語を無理して喋るより、はっきりした日本語で話したほうが通じるのだ。その際に、相手の目を見て堂々と話すこと。それこそが、外国人とコミュニケーションを取る秘訣なのだ。
「国際化で日本は儲かる!?」
北海道・倶知安町は外国人受け入れで成功した町である。倶知安町は世界でも有数のスキーリゾートで、ニセコの一画を担う町。ゲレンデの麓のヒラフ地区では5年程前から外国の不動産会社が次々と進出し、地価の上昇率は2006年から3年連続なんと全国一位を記録。そして現在も豪華な別荘やコンドミニアムの建設が相次いでいるのだ。今や倶知安町には70以上もの外資系企業があり、外国人登録者数は470人(2008年度)まで急増。その結果、町の財政にも、土地価格償却資産で1億5000万円、町民税では約3000万円とかなりのプラス効果があったという。ある印鑑店によると、銀行口座開設や各種契約、会社設立など日本で暮らす外国人にとって印鑑が必要不可欠となるため、昨年1年間1450本作ったうち329本、つまり22%が外国人の印鑑だったという。また、スーパー等で買い物を終えた外国人が利用できるよう、市内の5箇所にタクシーの無料直通電話を設置したところ大盛況。利用者の大半は外国人のため50代~60代のドライバーも英語研修を受け、外国人に対応をしている。そのためかタクシー会社の年間売り上げは5年前より2倍近く伸びたという。100年以上この地でそば店を営む店主も外国人に好意的だ。国際化で潤うのは経済だけでなく、人々の心も潤うのかもしれない。
「日本の心はガイコク人に学べ!?」
日本独特の伝統や情緒を大切にする日本人。果たして“ニッポンの心”とは?
<ニッポンの心を打つ>
神奈川県・川崎市に蕎麦店を構える店主・ラクダールさん(47歳)は、アルジェリア人。21年前に来日し、初めて食べた日本蕎麦に魅了され、蕎麦職人になったという。日本人師匠から受け継いだ“黒檀の麺棒”に「師匠と弟子」の絆の味があった。
<ニッポンの心を描く>
東京藝術大学・大学院で日本画を学んだアメリカ人のアランさん(47歳)。来日22年の日本画家だ。自然を描くために、彼がこだわり続けているのは“筆”。日本画を始めておよそ25年、なんと一度も鉛筆やペンを握らず、日常のメモから手帳まで全て筆で書くという。アランさんの作品は、全国で40箇所、およそ 100点近くが展示されている。日本独特の四季折々の自然を感じ紙の上に再現する、それがアランさんの“ニッポンの心”。
<ニッポンの心を磨く>
兵庫県・新温泉町から車でおよそ30分、85年の歴史を誇る曹洞宗の修行寺、安泰寺の9代目住職は、ドイツ出身のネルケ無方さん(41歳)。現在、日本人2人と、ドイツやオーストリア、スイスなど様々な国から来た5人の外国人が修行をしている。朝晩2回、1回2時間の座禅を行い、一年のうち約1800時間を座禅をして過ごすという。檀家もなく自給自足の生活。ドイツで生まれ育った住職が、日本でニッポン人に“ニッポンの心”を説いているのだ。
国境を越えて伝承される“ニッポンの心”。これまでに日本人にしか理解できないとされてきた“ニッポンの心”は、もはや外国人から学ぶ時が来たのかもしれない。
【太一のミカタ】
「食の国際化先進国ニッポン」
東京都内で食べられる珍しい国の料理を紹介。ウズベキスタン、ナイジェリア、マリ料理などを試食。