2001年9月17日

内閣総理大臣
小泉 純一郎 様

ワクチントーク全国 代表   母里 啓子
予防接種情報センター 代表  藤井 俊介
日本消費者連盟 代表運営委員  富山 洋子
                  日本教職員組合 委員長   榊原 長一
      奈良県職員組合 養護教員部長 植田 かよ子
   NPO法人医薬ビジランスセンター 代表 浜  六郎
MMR被害児を救援する会 事務局長  勢馬  彰
  予防接種情報センター京都 代表 栗原 敦

全国予防接種被害者の会  代表 末廣 英昭

要 請 文
 

次期国会にて審議予定の『予防接種法の一部を改正する法律案』は、以下の理由により、私たちにとって、疑問の大きいものです。多面的に熟慮の上、廃案とするよう多大のご尽力をいただきたくお願いいたします。
    
 その理由は以下の通りです。
 『予防接種法の一部を改正する法律案』は、高齢者にインフルエンザ予防接種を制度として実施することを主な目的としています。
 しかし、この法案には、以下のような致命的な欠陥と問題が認められます。

1、医学上の根拠に乏しい。

 そもそも、インフルエンザ予防接種は、過去30年余にわたり、学童に集団義務接種されていましたが、有効性、安全性についての実態把握に基づいた慎重な科学的検討の末、平成6年の改正で、予防接種法から外されたという経緯があります。
 であるのに、その後新しい知見が得られていないまま、今度は高齢者の個人予防に有効というふれこみで復活しようというのです。しかし、その根拠として厚生労働省当局があげる欧米の複数の研究データは、大半が厳密な科学的証拠に欠けるものです。最近に至っては、米国で、高齢者施設のお年寄りだけに接種しても効果がないというデータさえ出始めているほどです。
 しかも、我が国での「有効性」を示す研究データとして厚生労働省があげているのは、ただひとつ、神谷氏を主任とする厚生科学研究報告だけ。それも、流行ウイルスとワクチン選定ウイルス一致したまれなケースにすぎません。その上施設間の結果のばらつきがみられ、各施設の規模、収容者の質・処遇の状況・保健医療体制などの調査結果に影響の大きいデータが示されず、各施設の都合のよい結果だけを寄せ集めたものです。要するに、端的にいって、有意差を出すためのまやかしもあり、とうてい国民の納得を得られるものではないのです。

2、無駄な公的出費となる。

 本法案では、インフルエンザ予防接種の対象者に接種を受ける「努力義務」を課さない反面、国が接種を奨励するとし、副作用による救済は医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法並の給付にするとしています。
 つまり、接種に要する費用を国が補填し、副作用の救済を任意接種と同様の給付体制で行うということです。
 これは、端的にいって、関係業界(日本医師会、ワクチンメーカー等)の利益を図るために、莫大な地方交付税交付金の支出を促すものにほかなりません。
 ちなみに、平成10年の厚生省(当時)の試算によれば、高齢者への接種費用だけでも、約900億円の公的支出が行われるということです。(別紙1)

3、子どもへの接種に道を開く。

 本法案では、インフルエンザ予防接種の対象者が高齢者のみという保証がありません。 二類接種の救済規定第12条2項第2号では、障害児養育年金の規定が明文化されていますが、これは、18才未満の未成年者が接種により、障害を負った場合に、未成年者を養育する親権者に支払われるもので、高齢者に接種する場合には全く不要です。厚生労働省の担当官は、「インフルエンザ予防接種そのものは二類接種としてしか位置づけないが、臨時のインフルエンザ接種は、一類接種と同様、努力義務を課すので、救済も一類として行う」と説明されています。インフルエンザを対象疾患としながら、臨時と定期を判断する明確な基準がなく、その時、その時の場当たり的な判断で、科学的に根拠もなく、接種の対象が拡大され、法律上の接種として実施されるようなことは避けるべきです。有効性についてのデータがなく、目下3年後を目途に研究中である乳幼児をはじめ、研究の予定すらない、学童・生徒・青壮年まで、毎年接種の対象となりかねないことは大変な問題です。

 以上、要するに、本法案は、全国民、特に有効性が明らかでなく、副作用の心配な子どもたちを含む全国民に何の新たなデータもないままインフルエンザ予防接種を無制限に行うことができる法改正と断じざるをえません。
 しかも、すでに、この法改正をにらんで、今年は1000万人分のワクチンが製造されています。前回の改正後、一時は30万人分にまで落ち込みながら、流行になんの変化もなかったことを冷静に思い起こしていただきたいと思います。
 いったん法律として成立したものを改めることがいかに困難を極めるかはライ予防法での歴史的事実の示すところです。
 小泉総理大臣には、ライ予防法での英断をぜひ、今一度お示しいただきたいと思います。 また、構造改革を断行するお立場から、一部業種の景気回復のために地方交付税を使い、副作用の危険のあるワクチン接種を押し進めるような法改正を行うことには断固反対していただきますよう心からお願い申しあげます。         

以上

〔賛同団体〕
 バイオハザード予防市民センター 代表 本庄 重男
 医療情報の公開・開示を求める市民の会 代表 勝村 久司
 脳死臓器移植に反対する関西市民の会 代表 岡本 隆吉
 北海道教職員組合 中央執行委員長 吉村 幸明
医療問題研究会 代表 林 敬次

 〔賛同者〕
黒部信一(小児科医)、山田真(小児科医)、梅村浄(小児科医)、二木洋子(高槻市議員)田上泰寛(熊本県議員)、中島隆利(同)、鬼海洋一(同)、渡辺利男(同)、平野みどり(同)鎌田聡(同)臼田篤伸(歯学博士)、小林真理子、吉村葉留枝、倉持幸代、大塚純一(小児科医)、小林玄徳(小児科医))、高木恭子(小児科医) 他多数

(連絡先)
ワクチントーク事務局(あおい保育園内)青野
пEFAX 03(3777)1946
日本消費者連盟 古賀
03(3711)7766
FAX 03(3715)9378