日本共産党

2004年11月22日(月)「しんぶん赤旗」

食肉業者フジチク食肉業者グループに疑惑の公金130億円

牛肉偽装に同和利権、癒着…

日本共産党の追及で判明


 BSE(牛海綿状脳症)対策の国産牛肉買い上げ事業にからみ、国の助成金を不正取得して会長の藤村芳治容疑者が逮捕されたフジチクグループには、「同和」などの名目で国・県・市から百十億円を超す資金を引き出した過去があります。BSE対策事業申請分(約二十三億円)をふくめると流れた資金はざっと百三十億円以上にも。長年にわたる行政との癒着。追及したのは日本共産党だけでした。東海・北陸信越総局・唐沢俊治記者

 「自民党、民主党は手を触れない。こんな不正常な実態を追及しないと日本共産党の名がすたると思った」

 そう語るのは、日本共産党愛知県議だった林信敏さんです。

約24億円の融資未完済

 二〇〇二年十二月の県議会。林県議(当時)が質問に立つと議場は静まり、与野党を問わず、注目が集まりました。取り上げたのは「愛知食肉卸売市場協同組合」(愛食)への同和融資未返済問題でした。愛食は藤村容疑者自身やいとこが役員をしたことがあるフジチクグループの組合です。

 話は一九七八年にさかのぼります。

 愛食は名古屋市熱田区に食肉卸売市場をつくりました。そのさい「同和高度化資金」として愛知県を通じ国の中小企業総合事業団から、一九七八―七九年にかけて総事業費の八割にあたる約二十四億円もの融資を受けました。「同和高度化資金」は「同和対策」としてつくられた制度。返済条件は二年据え置きで十二年後に返済、無利息という好条件でした。

 しかし、期限がきても完済されず、いくら返済されたかさえ県は明らかにしません。

 県議会で追及したのは日本共産党だけでした。

 林さんの質問の前にも、八六年に和出徳一県議(当時)が企業商工委員会で取り上げました。「二十四億といえば大金である。おまけに公金。その返済事情を議会に明らかにしないのは心外である」。商業貿易課長は「毎年、返済時期にいたった時、その都度契約の変更をしてきた」と答弁。返済が滞ると期限を先延ばししてきたことが浮き彫りになりました。

27億円もの補助金受け

 愛食は九一年、食肉卸売市場に「中部食肉部分肉流通センター」を併設します。このさいにも、愛知県と農水省の外郭団体から事業費の六割にあたる約二十七億円の補助を受けました。融資を返済していないにもかかわらず、返済の必要がない巨額の補助金が渡されたのです。

 九九年、田中久幸県議(当時)がさらに返済問題を追及。県の商工部長は「(返済延期は)あくまで例外」といい、“特別扱い”を認めました。

3セク譲渡収入59億円

 二〇〇一年には、さらに驚くべきことが起りました。

 名古屋市が出資する第三セクター「名古屋食肉市場株式会社」(名食)が愛食の卸売業務の営業権を譲り受けました。その代金はなんと約五十九億円。

 名古屋市議会では、日本共産党名古屋市議団の村瀬たつじ団長が二〇〇一年三月、市側に迫りました。

 「(五十九億二千万円を払って)卸売業を譲り受けなければならない理由が理解できない」

 市民経済局担当者は、「安全で衛生的な食肉の安定供給のため」などと答弁するのみで算定根拠は示しません。営業権譲渡などを検討した委員会には藤村容疑者も委員として加わり発言しています。議事録を情報公開で見ると、算定根拠にかかわるとみられる重要部分は「法人の経営状況が記載されており、事業運営に支障をきたす」などの理由で黒く塗りつぶされていました。

 市民経済局の担当者は本紙取材にも「名古屋市とは独立した法人格を持った経営の問題であり、われわれが口を挟むことではない」などとして説明を拒んでいます。

うつむいて無言の知事

 冒頭に紹介した林質問。一連のいきさつを明らかにしながら、「高度化資金返済のめどを立てず知事が営業権譲渡を認可したのは適切だったのか」「残債の一括返済が原則だ」と知事の責任を追及しました。知事はうつむいたまま答弁に立つことはなく、県当局はまともに答弁もしなかったのです。

 フジチクグループは「解同」(部落解放同盟)が背後にいるから日本共産党以外の党は及び腰だ――。そう指摘するのは、愛知県部落解放運動連合会の杉浦則雄書記長です。

「解同」幹部務めた人物

 藤村容疑者はフジチクグループ総帥であるとともに、「解同」愛知県連の企業対策部長もつとめた人物。同県連のビルはフジチク関連会社が所有していました。藤村容疑者が代表理事の愛知県同和食肉事業協同組合(愛同食)は、「解同」愛知県連の関連組織として設立されました。

 杉浦書記長が語ります。

 「『解同』は部落解放運動を変質させ、利権集団化してきた。今回の事件もその利権あさりの一端だ。革新運動を分断してきたばかりでなく、『糾弾』や暴力事件などを起こし、だれもが怖くて手が出せない“解同タブー”をつくってきた。そのなかで日本共産党だけが住民の立場で追及してきた」

 他方、癒着追及どころか、フジチクグループから政治献金などで支援されてきたのが自民党、民主党の議員(別表参照)。事件をめぐる政治の構図が浮かんできます。


献金受け取る自民、民主議員

議員名金額(万円)
鈴木宗男 自民 衆院議員(元)276
江ざき鉄磨  〃 衆院議員(前保守)24
可児茂久  〃 愛知県議(辞職)60
加藤 南  〃 愛知県議10
小出典聖  〃 愛知県議5
古川元久 民主 衆院議員820
近藤昭一  〃 衆院議員277
木俣佳丈  〃 参院議員24
奥村文洋  〃 名古屋市議75

 古川元久議員は1997年〜99年。鈴木宗男元議員は1995年〜02年。他の国会議員は2000年〜03年。地方議員は1999年〜03年



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