2009年12月5日 12時15分
掛かり付けの産科がなく、妊婦健診を十分に受けずにいた妊婦が、出産時に医療機関に運び込まれる「飛び込み出産」(未受診妊婦)が今年1~8月に大阪府で106件あったことが、府と大阪産婦人科医会の調査で分かった。医師の処置などが必要なハイリスクの出産はうち80件を占め、新生児集中治療室(NICU)の利用が必要となったケースも38件あった。経済的理由を挙げたのがうち約3割にのぼる。「飛び込み出産」についての都道府県レベルでの調査は全国初めてという。
5日午後、大阪市で開かれる研修会で発表される。「受診回数3回以下、未受診期間が3カ月以上」の妊婦を未受診妊婦と定義し、府内の医療機関160カ所に受け入れ経験の有無をたずねた。回答した95カ所のうち、26カ所で未受診妊婦を受け入れた実績があった。
寄せられた106件を分析したところ、出産時の体重が2500グラム未満の低体重児が27件あり、死産も3件あった。未受診の理由については「経済的理由」が34件▽「妊娠に気付かなかった」が19件▽「未婚のため」などが12件▽「育児のため」が9件--としている。
調査をまとめた大阪府立母子保健総合医療センターの光田信明・産科主任部長は「年間では府内で150件程度の未受診妊婦が発生していると推計され、産婦人科医不足の中で、医療現場にも負担になっている。出産が本来危険なものであることを教育によって妊婦側に認識してもらうなど、支援のあり方を検討する必要がある」と指摘している。【高野聡】