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「来たらすぐいる?」解明…“保護責任”へ一歩 押尾容疑者に逮捕状

12月5日22時15分配信 産経新聞

「来たらすぐいる?」解明…“保護責任”へ一歩 押尾容疑者に逮捕状
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保釈された際の押尾学元被告=8月31日、三田署(戸加里真司撮影)(写真:産経新聞)
 合成麻薬MDMAの「使用」容疑での逮捕から約4カ月。警視庁は女性に「譲渡」した容疑で再び押尾学容疑者(31)の逮捕状を取った。保護責任者遺棄容疑での立件を目指す警視庁捜査1課が、「譲渡」容疑での逮捕を決めたのは、死亡した飲食店従業員、田中香織さん=当時(30)=へのMDMA譲渡が立証できれば、押尾容疑者の保護責任の度合いが強まるからだ。

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 ■「誰が用意」重要

 「大変なことになった」。8月2日午後7時ごろ、押尾容疑者は六本木ヒルズの一室から元マネジャーらに助けを求めた。

 押尾容疑者の供述によると、MDMAを一緒に使用した田中さんは午後6時半ごろ異変を起こし、7時ごろにはすでに動かなくなっていたという。押尾容疑者はその後、田中さんを残したまま部屋を出た。大量の水を飲むなどして薬抜きを試みていたとされる。

 関係者による119番通報は異変から約3時間後の午後9時20分ごろだった。岐阜県に住む田中さんの母、正子さん(53)は「救急車で病院に運ばれて助からなかったとしたら納得もいく。なぜ放置したのか」と憤る。

 遺族の処罰感情にも後押しされ、捜査1課は押尾容疑者の行為が保護責任者遺棄に当たるのではないかとみて、「誰がMDMAを用意したのか」を中心に捜査を進めた。

 「誰が用意したかは、保護責任者遺棄を立証するうえで、実は重要なファクターだ」と元東京地検公安部長の若狭勝弁護士は指摘する。これは、急性アルコール中毒で倒れている人を無関係の人が素通りしても保護責任者遺棄に問われないが、酒を勧めた人間が立ち去ったら責任が生じることと同じ論理だからだ。

 若狭弁護士は「今回の事件も同じことが言え、警視庁は押尾容疑者がMDMAを用意し、勧めたことを地道に立証しようとしている」と解説する。

 ■供述はうそ?

 「MDMAを用意したのは田中さんです」。押尾容疑者は一貫してそう供述していた。田中さんと部屋で落ち合う直前、メールで「来たらすぐいる?」と問いかけていたが、メールはMDMAに関するものではなく、性行為を行うかを尋ねる内容だったとの説明を捜査段階や公判で続けた。

 だが、麻薬取締法違反(使用)罪の判決では「説明は内容が不自然で信用し難い」と批判。「その思いはわれわれも同じ。押尾容疑者はうそをついている」と捜査幹部はにらんだ。

 捜査1課では、押尾容疑者の携帯電話の通話記録や交友関係の洗い出しで、知人や過去の交際女性の証言を入手。押尾容疑者がこれまでにも同様に、MDMAを譲渡していた疑いがあることが分かってきた。

 正子さんは「恨みとかはない。ただ本当のことを言ってほしい。娘は亡くなり、何も言えないわけだから」と捜査に期待。ジャーナリストの大谷昭宏氏は「譲渡がなければ遺棄も発生しない。遺棄より重い遺棄致死に問われれば、裁判員裁判の対象になる事案だから、市民が納得できる緻密(ちみつ)な捜査が必要だ」と話す。

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最終更新:12月5日23時21分

産経新聞

 

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