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また、漁に出られなくなる?=燃料免税廃止に危機感−漁業者団体

12月5日6時2分配信 時事通信

 政府税制調査会による租税特別措置(租特)見直しで、漁船燃料に対する税還付措置が廃止される可能性が高まり、漁業者は危機感を強めている。
 来年3月に期限切れを迎える農林漁業用A重油に対する石油税の還付措置により、漁業者が主に使用する国産A重油は1キロリットル当たり2040円の課税分が全額還付されるため、実質免税となっている。
 来年4月以降の延長が認められなければ、その分が漁業者のコスト増につながる。「減速航行や集魚灯の光力削減といった省エネ努力が相殺されるばかりか、厳しい漁業者の生活をより圧迫する」と全国漁業協同組合連合会(全漁連)は指摘する。
 漁船用のA重油は昨年夏に同12万円を超える「異常な高騰ぶり」(同)で、全国の漁業者は「もう漁に出られない」と一斉ストに踏み切った。その後、価格はいったん下がったが、今春から再び上昇。同7万円近くに達しており、「多くの漁業者が採算割れ」と全漁連。今後も上がり続ける公算が大きいという。
 漁業はコストに占める燃料費の割合が高く、沿岸のイカ釣り漁ではおよそ4割を占める。遠洋のカツオ漁では増税に伴って、年間400万円の新たな支出が見込まれるなど、負担が重くのしかかるのは必至だ。
 間もなく終わるサンマ漁では、「今年は漁場が遠く燃料を多く使ったため、重油の単価が下がっても支出は増えた漁業者も少なくない」(サンマの漁業者団体)という。
 一方、最近は不景気で魚価が全般に低迷しているばかりか、大型クラゲの出現で水揚げを稼げない漁業者も多い。全漁連の幹部は「政府の漁業者に対する所得補償が具体化する前に、増税が決まれば先行きの見通しが立たなくなる」として、還付措置の延長を強く訴えている。 

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最終更新:12月5日6時7分

時事通信

 

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