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アメリカの中国研究学者が脅される

2009/12/05 08:23

 

アメリカでの中国研究学者が中国当局から圧力や脅しをかけられるという実態について記事を書きました。

 

日本でも対岸の出来事としてすませる問題ではありません。

 

                         =======

 

【朝刊 国際】


【緯度経度】ワシントン・古森義久 中国研究学者への圧力


 

 中国についての研究や報道をする当事者たちに中国当局の圧力がかかるという話は、日本でも米国でも一般論としてはすでに広く知られている。
 私自身、産経新聞の中国総局長として北京に2年以上、在勤して、その種の圧力はきわめて明確に体験した。
 だが中国報道だけを専門とする期間はあまり長くはないという見通しをもっていたので、それほど辛くはなかった。
 しかし中国を専門としてずっと活動していく記者や学者はまた別であることを痛感した。
 中国当局から嫌われれば、一生の職業キャリアを否定されかねないからだ。

 米国議会の調査機関「米中経済安保調査委員会」がこのへんの実態を調べ、発表した。

 

 同委員会の2009年度の年次報告での「中国の対外的なプロパガンダと影響力行使の作戦」という章である。

 

 この章での中国当局による米国人中国研究者たちへの「アメとムチ」の実態報告が従来のタブー領域の解明としておもしろい。

 

 同委員会の調査によると、中国政府は米国の大学やシンクタンクの学者たちに対し、中国当局にとって好ましい研究結果を発表する人には「前向きな報奨」を、好ましくない結果を公表する人には「厳しい懲罰」を加える。

 

 その結果、大多数の学者は自然と事実であっても中国共産党の心証を害する報告はしないようになる。

 

 一方、中国側の機嫌を悪くしても、あくまで事実は事実として公表しようとする学者も存在する。

 

 その人たちへの懲罰の典型が中国への入国ビザの発給拒否だというのだ。

 

 同年次報告は述べる。

 

 「中国政府は中国内部で調査を意図する外国の学者を脅すためビザ発給を拒むことがある。中国政府は公式には認めないが、すでに特定の学者をビザ発給拒否のブラックリストに載せている。中国当局者はこれら学者に『あなたは中国では歓迎されません。なぜかはわかるでしょう』と告げるのだ」

 

 その実例のひとつは04年に米国人学者数人が作成した新疆ウイグル自治区についての論文集で、筆者たちはみなその後、中国へのビザを得られなかった。

 

 この措置は社会学や政治学の実態調査を中国内で実施しようとする米側の学者には重大な支障となり、とくに若手学者の将来に致命傷ともなりかねない。

 

 同調査委員会ではブラックリストに載っているとみられる米国の学者6人に接触したが、実名で発言したのは2人だけだった。

 

 そのうちの1人で中国社会の研究で著名な現カリフォルニア大学教授のペリー・リンク氏は、中国当局を「米国人学者たちの頭上に下がったシャンデリアにとぐろを巻く大蛇」と評した。

 

 頭上から常に監視し、好ましくない動きを取れば、襲いかかるというのだ。

 

 中国当局の人権弾圧を論じて、1996年以来、ビザ発給を拒まれているというリンク教授は「中国の政治や社会を研究する学者にとって入国拒否はとくに痛手であり、どうしても自己検閲をするようになる場合が多い」と述べた。

 

 その自己検閲について、コロンビア大学などでの中国歴史の研究で高く評価されるオービル・シェル氏が同調査委員会に語った。

 

 「中国について自分が調べ、考え、理解したことはこれでよいのか、と自問する。その理解に対し中国政府がどう反応するかを考えてしまう。できるだけ敬意や遠慮を示しながらも、迎合にならないことに努める。しかし全体として中国政府は迎合学者を作り出すためのものすごい能力を持っているのです」

 

 同年次報告は中国政府の米国学界へのこうした圧力には「放射能効果」もあると指摘する。

 

 一定の学者への中国による懲罰的な措置をみて、他の学者たちが中国政府の批判を受けない方向への自己検閲や自主規制に汚染されてしまう効果を指すのだという。

 

 日本でも真剣に考え、論じるべき課題だろう。

                  =======

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コメント(10)

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2009/12/05 09:06

Commented by sudachi さん

古森様、

更新お疲れ様です。
先のエントリーにある「孔子学院」とリンクさせて読むと、事態の重大さが分かりますね。結局は、全て中共の宣伝のためなのです。学問的な、事実・史実・統計と言うものには、全く連中は興味がありません。全て創作で良いのです。学校にお金を出してくれるのは良いのですが、学問に取っては、やはり自殺行為ですね。

更に問題なのは、「アジア」と言えば「中国」となるように、明確に悪意を持って日本の排除を狙っている点です。日本に対する誹謗・中傷はアジア圏での中国の相対的地位を上げんが為に、なされている事が多いのです。

本当に、付き合い方の難しい連中です。こういう連中の元へ、いそいそと100名以上の国会議員を引き連れて、公費で詣でようと言うのですから、初めから、勝負は見えています。何とかなりませんかねえ。鳩山氏といい、どうして普通の良き日本人の振る舞いが出来ないのでしょう?

 
 

2009/12/05 10:24

Commented by thinking さん

 戦後の日本は、社会主義や共産主義の嵐の中でまともな歴史教育を受けて来なかったので、日本国民は左翼に甘い、あま~い、のだ。
 しかし、左翼の陰謀は、今も続いているのだ。
 日教組は、まともな歴史教育が出来るように変身して欲しいのだが・・・。
 民主党は左翼だから、危険だという事に国民が気づいてくれれば良いのだが・・・。
 民主党が保守党に変身してくれれば万々歳なのだが・・・。

 
 

2009/12/05 11:05

Commented by 王マイゴッド さん

古森様、こんにちは。

貴重な情報ありがとうございます。

アメリカは新政権に変わり親中に傾斜しているとはいえ
こういう報告がなされるぐらいの健全性をまだ失っていないということ。

さらにこの「シャンデリアと大蛇」は、当然、
日本に対しても同じなんだろう、
研究者だけでなく政治家やマスコミなどに対しても同じだろう、
と容易に想像されるということ。

だから私のような凡人としては、
この日本には、中国に異様なほどひざまづく
政治家やマスコミ、学者が跋扈していますが、
このひとたち、きっと相当いい思いをしているのだろうなあ、
と想像し、かつ用心するほかありません。


 
 

2009/12/05 12:03

Commented by 夕霧 さん

私の現在の状況もまさに「シャンデリアの上に大蛇」です。自由にいろいろ言ったり書いたりしたいなら帰国すればいいのですが、そうしたら一番大事な「現在の状況をつかむ(来中、滞在)」ことができなくなる可能性があります。それでは元も子もなくなってしまうから無言でいるか、遠回しに言うしかないです。しかし、この国に現在訪問したり滞在している日本人は、シャンデリアの大蛇の言うことを鵜呑みに信じてるバカ者も多いばかりか、それが大蛇の虚言と威嚇とわかった上でさらなる自分の利益のためにあえて親中になっている人も多いです。その人たちが日本のいろいろな機関や機構の権力者であった場合、次々に大蛇に都合のよい「事務所」や「ルール」を作っていくので、日本に住んでいる何も知らない日本人には恐ろしい事態です。日本の会社事務所なら「利益が出なければ撤退」もありますが、大学や政府のような公的なものである場合「利益と無関係に大蛇に利益を提供」し続けます。何も知らないのは日本にいる日本人だけでしょう。

 
 

2009/12/05 12:13

Commented by 古森義久 さん

sudachi さん

アジアでも実は中国より日本に好感を抱いている国は多いですよね。

インドインドネシア台湾、タイなど。

その他も中国と朝鮮半島以外は日本を過去の戦争とからめて非難し、誹謗するという国はまずありません。

なのにアジア全体が日本を憎悪しているような虚像を描く人たちが日本国内にもいるのですから、けしからんことです。

 
 

2009/12/05 12:15

Commented by 古森義久 さん

王マイゴッド さん

中国に駐在するマスコミの人間は常に中国当局から検閲を受け、自分でも検閲をしているといえます。

 
 

2009/12/05 12:17

Commented by 古森義久 さん

夕霧 さん

胸に迫るコメントです。

無言でいるか、遠回しで言うか。

同情します。

 
 

2009/12/05 15:10

Commented by dm1940-66ys さん

今日は。

外人記者が日本にいながら、日本の中傷記事を本国に平文で送って咎めない国は、日本のほかにどこかあるのでしょうか。
まともな国なら、国が処罰しなければ国民が怒る。日本人は多摩丘陵の狸みたいにお人好しで、そのうち多摩丘陵から追い出された狸みたいな運命をたどるのでしょうか。「平成狸合戦ぽんぽこ」宮崎アニメを思い出しました。

外国ネタで飯食べている方々はご注意を。

日本人なら、外人に虚仮にされたら本気で怒りましょう。国が何もやらないのなら、国民が怒るしかないのだから。

外国人に参政権を与える発想はどこからでるのでしょうか。

 
 

2009/12/05 16:34

Commented by 古森義久 さん

dm1940-66ys さん

一理も二理もあるご指摘ですね。

 
 

2009/12/05 17:22

Commented by koku さん

今日の大紀元の最初の項目は、

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ですものね。中国人を信用するほうが間違ってます。

 
 
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2009/12/05 09:06

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