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【栃木】

“市民法廷”何もたらした 県内初 殺人・死体遺棄 判決公判 被告に懲役18年

2009年12月5日

県内初の裁判員裁判の判決公判が開かれた法廷(代表撮影)=宇都宮地裁で

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 県内初の裁判員裁判の判決公判が四日、宇都宮地裁で開かれ、殺人や死体遺棄などの罪に問われた中国籍の整体師付佳男被告(26)に、池本寿美子裁判長は「強い殺意に基づく犯行で非常に残虐」として、懲役十八年(求刑懲役二十年)を言い渡した。 (宇田薫)

 争点の「殺意の発生時期」について「包丁を手にした直後から体の重要な部分目がけて手加減せずに攻撃しており、(最初に刺した時から)殺意はあったと認められる」とし、「最後に首を切った時点で殺意が生じた」との弁護側の主張を退けた。減軽の理由は「二十六歳と若く、更生の可能性がある」などとした。

 判決では、付被告は千葉県御宿町の中国籍の整体師戴根泉さん=当時(30)=所有の車で事故を起こしてトラブルになり、三月九日、戴さんの胸や腹を包丁で刺して殺害。遺体を那須塩原市の牧場のため池に捨てるなどした。

 この日は、県内初の裁判員裁判の判決を聞こうと多くの県民が傍聴に駆け付けた。四日間法廷に足を運んだ上三川町の僧侶出井(つくい)敦仁さん(44)は「被告の今後の人生を一回きりの審議で左右する裁判員の大変さを感じた。自分が選ばれたら耐えられないかも」と話した。

◆「法律の新時代 迎えるべき」 被害者の妻が手記 

 今回の公判で意見陳述した戴さんの妻が「被害者支援センターとちぎ」を通じ、「裁判員がより被害者の気持ちをくみ取り、厳罰化につながれば」とする手記を出した。

 妻は「中国は人を殺せば死刑になるのが当たり前。犯人を守る日本の法律との格差にショックを受けた」などとつづり、「裁判員制度で、古い判例に縛られない、法律の新しい時代を迎えるべきだと思う」と結んだ。

 

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