シー・シェパードが7日に出港へ 南極海での攻撃を宣言
12月5日13時57分配信 産経新聞
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2月5日、捕鯨船に向けて信号弾を発射するスティーブン・アーウィン号。(日本鯨類研究所提供)(写真:産経新聞) |
[フォト]ステレス性を持つというシー・シェパードの船
例年、日本の調査捕鯨は12月から翌年3月ごろまで行われる。調査母船「日新丸」(8044トン)や目視採取船「第三勇新丸」(742トン)などの捕鯨船が隊列を組み、南極海で活動を実施。約900頭のミンククジラなどを捕獲し、鯨の生態を調査する。
SSは2006年から捕鯨妨害キャンペーンを継続し、抗議船スティーブン・アーウィン号(全長53メートル 総トン数不明)を捕鯨船に体当たりさせたり、酪酸弾を船に投げ入れたりして、過激な攻撃を展開。捕鯨反対国のメディアを“活用”して、自らの主張を大言壮語的に宣伝するのも特徴で、豪州やニュージーランドでは彼らを「海のヒーロー」ととらえるメディアもある。
SSは米・豪などの企業や市民から寄付を集めて活動資金とし、2年前からは米CS放送アニマル・プラネットの撮影班を乗船させ、ドキュメンタリー番組も制作。「Whale Wars」(鯨戦争)としてDVDを発売し、多額の利益も上げている。船にはワトソン船長以下、米・豪・英国籍などのボランティアクルーが乗り込み、近年、日本人女性も通訳として乗船するようになった。
対して、日本側は警視庁が威力業務妨害容疑で捜査を実施。2007年、SSが捕鯨船のスクリューにロープをからませたり、発煙筒を船に投げ込んだ事実で活動家4人の逮捕状を取り、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配した。外交ルートでSSの活動を管轄する関係国への働きかけも強めており、この要請を受けて、今年2月には豪連邦警察がSSの関連先を家宅捜索。日本は、抗議船の船籍を与えているオランダにも、善処するよう正式に申し入れた。
しかし、SSは今回も、豪西部のフリーマントル港で妨害活動の準備を着々と進めている。スティーブン・アーウィン号のほかに、「地球最速のエコボート」とも称される三胴式のバイオディーゼル船「アディ・ギル」号(18トン)が加わる予定。SSが2船態勢で臨むのは初めてとなる。
アディ・ギル号はバイオ燃料を使って航行。時速40ノット(同約72キロ)を誇り、これまで航行能力で勝っていた捕鯨船が追跡を振り切れない可能性がある。豪紙によれば、アメリカの富豪が100万ドルをSSに寄付して、この船を改造。レーダーに映らないステレス性を持ち、「秘密兵器」として、日本船にまとわりつき捕鯨をやめさせるという。
6人のクルーが乗船する予定で、ニュージーランド人のピート・ビートゥン船長(44)は「捕鯨者たちを邪魔するために南極海に出向く。彼らがレーダーを使ってわれわれの位置をつかむのは難しいだろう」と話している。
スティーブン・アーウィン号も改造を施しており、船体に放水砲を設置したほか、船尾付近には黒い箱部屋のようなものが並び、明らかに前回と船体の形が変わっている。
ワトソン船長は先月19日に出した声明で、日本の捕鯨船団を「やくざにコントロールされている」「密漁者であり犯罪者」などと挑発。さらに、「シー・シェパードの長期目標は、日本の捕鯨船を沈めることだ。経済的にという意味でだが、私たちは捕鯨を行き詰まらせる寸前まで来ている。今年も、彼らの利益に重大な損害を与えることを確信している」と述べた。「鯨戦争」シリーズの撮影班も乗船させ、今回もDVD用の番組を制作する予定であることも明かした。
一方、日本の水産庁は「船員の安全を考えて、活動計画はいっさい明かすことができない」と説明。ワトソン船長の挑発については、「彼らはあおらなければ、メディアが自分たちの行動を取り上げてくれないと思っている」と話す。
さらに、「アディ・ギル号は、南極海で航行する十分な設備が整っておらず、氷が浮かぶ海上で高速航行できるかどうかははなはだ懐疑的だ」と指摘する。
日本側も年々、SSの攻撃を無力化する対策を考案。酪酸弾の被弾を避けるために船体にネットを張り巡らす作戦や、SSの船を接近させないために人間に不快感を与える「音のビーム」といわれる長距離音響発生装置(LRAD)を使用する作戦などが功を奏しており、被害を最小限に抑えている。
今回もSSの準備状況についての事前情報を分析し対策を練っており、ワトソン船長の作戦の裏をかく戦術を行うとみられる。
水産庁の担当者はワトソン船長に対し、「SSのクルーさえも危険にさらすようなことは絶対にやめてほしい。海の安全を守ってほしい」と訴えている。
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最終更新:12月5日13時57分
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