〈独走第36弾〉そしてまたも旧田中派が潰された
数多の政権を葬り去ってきた検察という名の「権力の暴力装置」=本誌政界特捜班
(SAPIO 2009年4月22日号掲載) 2009年4月27日(月)配信
文=本誌政界特捜班
新内閣ができると、閣僚名簿が発表される。おなじみの光景だが、その一番はじめに名を挙げられるのが誰かご存知だろうか。法務大臣である。権力の暴力装置≠ニも呼ばれる検察に対して指揮権を持つ立場は、それだけ重いとされている。そして、検察の動きの背後には、常に大きな政治のうねりがある。
小沢一郎・民主党代表の秘書を政治資金規正法違反容疑で起訴した日、東京地検の谷川恒太・次席検事は記者会見で異例のコメントを出した。
「政治資金規正法は、政治とカネを国民の不断の監視と批判の下に置き、議会制民主主義の根幹を成す。ダミーの政治団体を使って、長年にわたり特定の建設業者から多額の寄付を受けてきた事実を国民の目から覆い隠した。規正法の趣旨に照らして、看過できない重大悪質な事案と判断した」
しかし、元長崎地検次席検事の郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授は「法解釈のねじ曲げがある」と捜査のありかたを厳しく批判する。
「政治資金規正法は政治腐敗防止法ではない。献金は賄賂ではなく、国民の浄財であるとの考えの下に、政治資金の流れを透明にして良い方向に持っていこうという法律です。ところが、検察の会見では、献金を賄賂と同じように捉えている。これでは検察が規正法の罰則を自由に適用、運用して政治家を摘発できることになり、検察が立法府より優位に立ってしまう」
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