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“フィードバック1900”さんの書評をご紹介します

“フィードバック1900”さんの書評をご紹介します。
「歴史を扱うのが都市ソウル」だという「都市形成の動機」に焦点を当てて通史を書ききることで、従来の左右の歴史観から問題設定をずらすことに成功している。この稀な観点の設定は評価に値する」。
実に興味深いです。韓国史を学びたい方への良き入門書になるのではないでしょうか。“フィードバック1900”さん、ご紹介ありがとうございます。

(オススメ:人文書担当者)


図説ソウルの歴史 ★★★★★
フィードバック1900/ソウルの都市と建築に正面から取り組んだ著作
漢城、京城、ソウルの都市空間は著者も指摘するように日本人としてなかなか書きづらい都市の一つだったはずだ。しかも通史として書くことは容易ではない。断絶した歴史を持つ都市の歴史を書くことはたやすくないからである。この点を「歴史を扱うのが都市ソウル」だという「都市形成の動機」に焦点を当てて通史を書ききることで、従来の左右の歴史観から問題設定をずらすことに成功している。この稀な観点の設定は評価に値する。日

ダルタニャンの生涯 ★★★★★
風紋/波瀾万丈な小説のモデルにふさわしい波瀾万丈な伝記
世界でもっとも有名なフランス人、といわれるのがダルタニャン。すくなくとも、日本ではフランスの現大統領よりも知名度が高い。本書は、史実に即して、『三銃士』の主人公のモデルの生涯を再現する。シャルル・ドゥ・バツ・カステルモールは、1615年頃ガスコーニュに生まれたらしい。デュマ描くところの名門貴族ではなく、新興貴族の出自だった。ガスコーニュは、ラテン語の「ヴァスコニア(バスク人の国)」に由来し、フラン

スコーレNo.4 ★★★★
nyanco/初めて出逢う言葉たちの美しさに感激!
宮下奈都って誰?本友さんに勧めていただくまで全く知らない作家さんでした。あぁ…、なんて勿体ない事をしていたんでしょう。淡々とした少女の成長物語なのですが、言葉の選び方が凄い!今まで読んだどの作家さんとも違う。今まで読んだことのない表現方法を使う作家さんです。読んでいて何度もうわっ!とやられました。読みながら付箋を貼っていたら、読み終えたときには本は付箋だらけに…。骨董を見せることで選択眼を育てた父

まほろ駅前番外地 ★★★
nyanco/まほろに彼らが帰ってきた!
お決まりのラッキーストライクの表紙も堪らない!気になっていた下村さんのイラストは…、ああ嬉しい!あるある!賛否ありますが、私はこの下村さんの描く彼らが大好きで、やっぱり各章の表紙にはコレが欲しいです。便利軒もふたりも健在。そして懐かしい面々も…。街を仕切っている星くんの意外な一面が見えて一気に星ファンにw。「いつもと変わらず」だった彼の日記、これからはシマの記述が増えるのでしょうか。曾根田のばあち

ヤッさん ★★★
nyanco/ベタなのもいいんですw。男気を楽しんで…。
ヤッさんとは、ヤーさん(ヤクザ)ではありません。西川やすし師匠のことでもありません。やっさんはホームレス。でも、汚れたりくたびれた姿ではなく、こざっぱりとして体もきりっと鍛え上げられている。市場の仲買いと飲食店のコーディネートの報酬は飯、金銭は一切受け取らない。税金を払っていない俺らは、皆さんに迷惑をかけちゃなんねぇんだと、段ボールハウスなんてもってのほか。ヤッさんがカッコイイ!男気があって、いい

誰かと暮らすということ ★★★
nyanco/不器用な生き方をしか出来ない人たちが手に入れたほんわりとした幸せの物語
人付き合いの苦手な虫こと虫壁知加子と、通称セージ・安藤正次は会社の同期。事なかれ主義の知加子は、瞬時に怒りを認識できず、溜まったストレスをメールにしたためる。しかし、そのメールが送信されることはなく、プリントアウトされ段ボール箱に貯め込まれる。ドロドロとした感情が部屋の片隅に滞る…、知加子のこの行動は怖~い!短編集の前半、『セージと虫』では、知加子のこの変わった行動が、『子供ちゃん』では流産によっ

ファミリーツリー ★★
nyanco/途中から羅針盤が狂ってしまったのでしょうか・・・
小川糸さんの第三作品目、読み始めると、随分と作風が変わったように感じ、あれ?小川さんだよね、と表紙を確認したほど。穂高の恋路旅館に住む蔦子と流星姉弟と夏になるとやってくるリリー。3人の夏物語を流星が思い出しながら語る。そして彼らのもとに新しい仲間が加わる。海という名前の白い子犬。流星とリリーにとってかけがえのない存在である海。表紙の絵は草原にたたずむリリーと流星。裏表紙に海の姿を見つけた時、なんて

辰巳八景 ★★★★
toku/気持ちの良さが印象に残る八つの情景
辰巳八景全八話の短編小説集。縄田一男氏の解説によると、本書に収録されている八編の物語と題名は長唄『巽(辰巳)八景』に依っているという。「八景」は、『永代の帰帆』、『八幡の晩鐘』、『仲町の夜雨』、『佃島の落雁』、『新地の晴嵐』、『洲崎の秋月』、『櫓下の夕照』、『石場の暮雪』のことで、それぞれ対応する題名は、『永代橋帰帆』、『永代寺晩鐘』、『仲町の夜雨』、『木場の落雁』、『佃島の晴嵐』、『洲崎の秋月』

風雪の檻 ★★★★★
toku/緊迫を増していく物語とコミカルな小牧家の様子が魅力の作品
獄医立花登手控シリーズ第二弾。本書の一話目で柔術の鴨井道場の三羽烏の一人・新谷弥助の非行問題を描いている。鴨井道場に姿を現さなくなった弥助は、道場へ出かけるといって家を出るが、行方は分からない。やがて弥助は、深川の地回りらしき男たちと飲みまわっていたり、女と一緒にいるといった姿を目撃されていたが、心配した立花登が連絡を取ろうとしても、梨のつぶてである。何かの問題に巻き込まれていると心配した登が、弥

風の果て 上 ★★★★
toku/五人の親友たちが走った風の果てが切なく胸に迫ってくる
<あらすじ>首席家老・桑山又左衛門のもとに果たし状が届いた。差出人は青春を分かち合った親友の野瀬市之丞。奸物と罵る内容に舌打ちをしながらも、話せば分かるはずと、市之丞を探す又左衛門は、冷や飯食いで上村隼太と言ったころの、市之丞、杉山鹿之助、三矢庄六、寺田一蔵らと過ごした青春時代を思い起こしていた。同じ道を歩いていた五人は、やがてそれぞれの道を歩き始める。一蔵と庄六は婿に入り、鹿之助はかつて政権を握

サウスバウンド 上 ★★★★★
toku/現代日本人の不満を代弁した痛快小説。
<あらすじ>『第一部(上巻)』小学六年の上原二郎は普通の小学生だったが、悩みの種は父・一郎だった。いつも家でごろごろしているし、学校には行かなくてもいいと言い、国民年金の納付督促にきた役人には国民をやめたと宣言する始末。果ては修学旅行の費用が高いからと明細の開示を求め学校に乗り込むが、警察に連れて行かれ国家の犬と罵倒するという、元過激派の父。悩み事は他にもあった。二郎と同級生の淳に目を付けて、金を

縮尻鏡三郎 上 ★★★★★
toku/ユニークなキャラクターたちが生き生きと動き回るホームドラマ的雰囲気の時代小説
「縮尻鏡三郎」シリーズ第一弾。佐藤雅美氏が描く特徴的なキャラクター「物書同心居眠り紋蔵」に続く、縮尻鏡三郎が活躍するホームドラマ的雰囲気が漂う時代小説。勘定所の留役にまで昇進していた拝郷鏡三郎は、とある訳により失職して『縮尻御家人』となった。鏡三郎が縮尻御家人になった理由には、かつての上司・三枝能登守と老中首座・水野出羽守が関わっており、鏡三郎は三枝能登守が探してきた給金五十両というまあまあの待遇

空中ブランコ ★★★★★
toku/奇妙な症状に悩む患者の滑稽な姿と患者を弄ぶ伊良部が読者を腹痛にさせる
トンデモ精神科医・伊良部一郎が活躍するシリーズ第二弾。全5話の短編が収録されている。精神科医・伊良部一郎が強烈なインパクトを持って登場した、第一弾「イン・ザ・プール」この第二弾「空中ブランコ」も、伊良部のすっとぼけた治療と強烈なキャラクター、そして伊良部に負けず劣らず妙な症状に頭を悩ませる患者たちのパワーは相変わらずだった。『空中ブランコ』サーカスの花形・空中ブランコやるリーダー的存在の男が、突然

おとこの秘図 上巻 ★★★★
toku/実在の人物、徳山五兵衛秀栄(とくのやまごへいひでいえ)の生涯を描いた人物伝。
大悪党とも義賊とも言われる日本佐衛門を捕縛し、火付盗賊改方として活躍した旗本・徳山五兵衛秀栄(とくのやまごへいひでいえ)を、池波風の骨太で人間味に溢れた人物として描き、その生涯を綴った小説。かなりの部分はフィクションだと思うが、池波氏の創作によって徳山五兵衛秀栄という人物が強く印象づけられた。物語は、父・重俊、義理の母、義理の兄からの疎外されながら、用人・柴田宋兵衛とその娘・千の愛情を受けて育った

文章読本 ★★★★
toku/時代を超えて文章の美しさや味わいを伝え、文章愛読家を育てる一冊。
とても丁寧に解説された本。谷崎氏の文章を愛する心と、それを読者にも感じて欲しいと込められた気持ちが感じられる。三島由紀夫氏の「文章読本」と同様に、押しつけがましくなく丁寧に詳細に文章について解説されている。『押しつけがましくなく丁寧に解説されている』と書いたが、本書を読んでいくと、そう感じる答えが見つけられる。谷崎氏が『敬語や尊称を疎かにせぬこと』で、「この読本の書き方などでも、やはり私は皆さんに

三屋清左衛門残日録 ★★★★
toku/老境にして達することができた清左衛門の命の輝き
物語は15話に分けられ、時系列につながっている連作短編。その15話を貫く大きなストーリーは、藩内政権抗争と、主人公・三屋清左衛門の肉体的精神的な老いとの闘いを描いている。隠居後の主人公を描いているため、社会の一線から身を引き、妻に先立たれた老いの寂しさは感じられるものの、老いて達することができる境地がより光り輝いて感じられた。読み始めて、まず読者に印象を与えるのは、隠居して気楽に過ごせると思ってい

町長選挙 ★★★
toku/大きく触れた振り子が戻ってきた作品。反対に触れる振り子に期待。
トンデモ精神科医・伊良部一郎が活躍するシリーズ第三弾。はじめの二話『オーナー』、『アンポンマン』を読んで、まずネタ切れしている印象を受けた。主人公はどちらもニュースを騒がせたあの人たち。彼らを取り巻く状況も、ニュースで聞いたことのあるものだから、物語の展開が少々面白みに欠ける。つづく『カリスマ稼業』は、中途半端な終わり方という印象を受け、『町長選挙』では伊良部のアホっぷりとそれに匹敵する島民たちの

エヌ氏の遊園地 ★★★★
toku/多くのエヌ氏が登場して読者を唸らせるショートショート集
31編が収録されているショートショート集。多くのエヌ氏が登場してきます。その中からいくつか印象に残ったものをピックアップ。『けちな願い』平凡な男が突然強盗をしたくてたまらない欲求に襲われた。原因と結果に星氏ならではの展開で驚かされ、ラストで明らかにされるタイトルの謎にニヤリとさせられる。『波状攻撃』工場を経営し在庫に苦しんでいるエヌ氏の元に、男が現れた。誰にもばれずに発火する装置を使って火災保険金

Another ★★★★★
SPRINGーRING/ホラーとミステリーが見事にブレンドされた作品。
綾辻行人さんの待望の新作です。著者の“囁きシリーズ”、特に「緋色の囁き」を彷彿させる作品。そして、新しい綾辻作品の代表作が誕生したと言っても過言ではないでしょう!ハードカバー677ページなので、その厚さに驚きましたが、とても読みやすくて、どんどんとアヤツジ・ワールドに入り込めました。この構成力。やっぱりとても好きです。舞台は、1998年、春。夜見山北中学に転校した榊原恒一くんが主人公。恒一は、3年

あなたに似た人 ★★★★★
風紋/奇妙な人物たちのミステリアスな話
奇妙な人物の話ばかり15編集めた短編集である。奇妙とはいえ、こんな人物なら誰しも一度くらい出くわしたことがありそうだ。あなただって、奇妙な人物と思われているかもしれない。ということで、総タイトルは「あなたに似た人」。たとえば、『味』。男は、金持ちの友人マイク・スコウフィールド一家の晩餐に招かれた。株式仲買人のマイクは自宅に貯蔵するワインを鼻にかけている。同席した美食家プラットは、マイクの虚栄心に乗

スナップ・ショット ★★★★★
風紋/中東戦争秘史、フィクションとノンフィクションのあいだ
1981年6月7日、バグダッド南西に位置するクワイタをイスラエル空軍の14機が急襲した。フランスの援助を受けて建設されたイラクの原子炉は、完璧に破壊された。たちまち、各国から非難の嵐がごうごうと沸きあがった。しかし、米国はほどなく矛をおさめる。サダム・フセインの野望、原爆製造の証左をイスラエルから突きつけられたからである。この歴史的事実の隙間に、A・J・クィネルは想像力を注入する。モサド機関員の活

内田百間集成 1 ★★★★★
風紋/偏屈を愉しむ
阿房宮は、秦の始皇帝が渭水の南に築いた宮殿である。それが、宮の一字がとれたとたんに阿呆になる。阿房列車は、すなわち阿呆列車である。なんの用事もないのに、汽笛一声、揺られ揺られて列島のあちこちへ出かけ、車中でも宿でもしたたか飲んで、飲みつぶれて、名所見物もしないで帰ってくる。本書は、そんな話ばかり延々と書きつらねている。要するに、本書には見事になかみがない。徹頭徹尾、内容のない話を独特の語り口で読ま

可愛い女・犬を連れた奥さん ★★★★★
風紋/自然児の魅力
チェーホフの小説は、ストーリーの展開よりも人物の造型、内面的な掘り下げにおいて光る。たとえば、『可愛い女』。そこそこに器量がよくて、気立てがよくて、惚れっぽい女。自分の意見は何ひとつなくて、惚れた男の意見を受け売りするばかり。それがまた可愛い女と評判をとる理由になったりする。当然ながら、世間的に見て、よい夫にめぐまれる。ところが、佳人薄命。いや、この場合は佳人の旦那が薄命で、一人目ならず二人目にも

豆本づくりのいろは ★★★★★
takeyang/豆本
赤井都さんの豆本がぎゅっと詰まった、充実の一冊。表紙は、落ち着いた木のぬくもり。そこに、豆本とそれを作るための道具たちの姿。落ち着いた佇まいの、でもわくわくさせるいい顔の本です。作り方や、ちょっとしたコツ、道具、紙の目のこと、そして豆本の写真を、本の中に収められるだけ収めた、サービス精神満点な内容。これは、豆本をこれから作りたいという初心者さんから、いま豆本を作っている作家さん、作りはしないけれど

花宵道中 ★★★★★
依空/遊女たちの美しくも哀しい恋
吉原の小見世山田屋を舞台に5人の遊女を書いた作品です。表題作の主人公である朝霧、その妹分の八津、三津、朝霧の面倒をみてくれた霧里、初見世がすんでいない茜の物語であり、そして朝霧と恋に落ちた半次郎(東雲)の物語が語られています。連作短編集となっており、様々なエピソードを別の視点からも語ることで意外な真実が見えてくるのですが、その繋がり方に時々いい意味でゾクリとさせられました。特に「花宵道中」と「青花

新参者 ★★★★★
ロンタス/新参者をさがして
日本橋の子伝馬町で、一人暮らしの45歳の女性が殺害されました。女性の評判は良く、友人らも殺害理由に心当たりはありません。加賀恭一郎は犯人の手がかりをさがすため、江戸情緒の残る人形町で、捜査をはじめます。「煎餅屋」に「料亭」、「瀬戸物屋」、「洋菓子屋」などいろいろな店で聞き込みをし、謎の多かった被害者のことが少しずつわかっていきます。そして、また容疑者達のことも、、、この本の面白いところは、舞台が、

最終目的地 ★★★★★
浸透圧/故郷を喪失した人々の最終目的地
――幸せなときには美しい物を買うべき――読み始めて、このくだりにきて危うく涙しかけるほど語りかけが心地よい。――そうすれば、自分にも幸せなときがあったのだと物をみるたびに思い出せる――こうして書くと何の変哲もなく、何が琴線を震わせたのか説明しづらいが、そんな瞬間に読書の喜びをみいだす方には、この作品はこたえられないだろう。故郷を喪失した人々の最終目的地はどこか。ゆったりした各々のエピソードの流れに

おわりの雪 ★★★★★
浸透圧/静寂に包まれる至福のとき
静謐という言葉がこれほどしっくりくる作品を知らない。一切の背景を語らず、外見も名前も年齢もわからぬまま、「ぼく」と「父」の物語は、知らぬまにすべりだすソリのようにひっそりと始まる。繰り返される日常を短くそっけない文章で濾過し結晶化してみせ、少年の息づかいに耳をすまし寄り添わせる静かな牽引力を備える。母は深夜に外出する。しかし理由はわからない。父は病に臥せっている。しかし病状はわからない。少年からみ

チャリング・クロス街84番地 ★★★★★
marekuro/近くて遠い、遠くて近い。本を介した人と人の繋がり
かなり有名な作品。だそうです。”だそうです”と書いたのには訳があってお恥ずかしい事に私は本作品の事を全く知らなかったからです。そしてこの作品、映画化もされています。本書に影響された訳ではありませんが私も本書のストーリーと同様に本書の存在を本を介して知り合った方から教えていただきました。有名な作品ですので、ストーリーの概略に関しましてはすでにご存知の方も多いとは思います。ストーリーは、アメリカに住む

ニッポン硬貨の謎 ★★★★★
ぜのぱす/一冊で3度美味しい!
もう15年以上前になるが、推理作家の若竹七海が大学生の時にアルバイト先で体験した「五十円玉二十枚の謎」に対する解答を一般読者(そのうちの何人かは後にプロ作家となっている)やプロ作家が小説の形で競作したアンソロジーを読んだことがある(現在文庫化されているようである)。北村薫の『ニッポン硬貨の謎』は、この「五十円玉二十枚の謎」が、モチーフのひとつとなっており、その謎に対する北村薫なりの解答が小説の骨子

坂の上の雲 1 ★★★★★
yuki-chi/熱い息吹と鼓動が感じられる物語
近代国家の仲間入りをした日本。この小説の主人公はまさしくこの時代の小さな「日本」という国。そんな日本と共に時代を駆け抜けた3人の男。四国・松山出身の秋山好古・真之兄弟、真之の幼馴染正岡子規。1巻では、彼らの幼少から青春時代が描かれている。当時、日本の政治、軍事は薩長に握られていた。非藩閥人や小藩の子弟たちは、学問を熱心に学ぶことで大成しようと努力する。「男子は生涯一時を成せば足る」秋山兄弟、正岡子

坂の上の雲 2 ★★★★★
yuki-chi/列強の陰謀が渦巻く時代の中で・・
19世紀。帝国主義時代。地球は列強の陰謀と戦争の舞台でしかなかった。20年前に産声をあげたばかりの小さな「明治日本」は、列強を一挙に真似て、一挙に追いこしてしまえと突っ走っていた。そうしなければ列強の餌食になる。弱肉強食。植民地という屈辱から逃れるため。己の過去をかなぐり捨てたようなすさまじいばかりの西洋化には、日本国の存亡が賭けられていた。「猿まね」と西洋人に笑われた。「己の風俗を捨てた」と清国

坂の上の雲 3 ★★★★★
yuki-chi/日露戦争開戦!
ロシアと日本、圧倒的な国力の差。戦争だけは何としても避けたい日本は、懇願するような思いで対露協商に臨む。しかし、ロシアはわざと返答を遅らせるなど傲慢な態度で日本を焦らし、その一方で、極東への軍事力をすさまじい勢いで増大させて、日本を追い詰めていく。ロシア本国から次々と送られてくる巨大な軍艦が港に並ぶ。旅順に建築された世界でも類を見ないほどの強固な要塞。ロシアは日本を死へと追い詰め、窮鼠にした。もは

エンデュアランス号漂流記 ★★★★★
風紋/行動する男たちの不屈
英国は、探検家を輩出した。ロバート・F・スコットもその一人である。1912年1月に南極点に到達した。しかし、世界で初めて南極点に立つ栄誉は、わずか34日の僅差で、ノルウェーの探検家ロアルド・アムンゼンに奪われた。スコットたちは、帰路、遭難してふたたび故国の地を踏むことはなかった。ジョン・ブルはしかし、スコット隊の悲劇から間をおかず、ふたたび南極へ挑戦する。名乗りをあげたのはアーネスト・シャクルトン

質的研究の実践と評価のためのサブストラクション ★★★★★
鈴木啓太/質的研究者の羅針盤!
質的研究では、あらかじめ想定される結果というものが存在しない。これは、質的研究の特徴でもあり、逆に誤解を生みやすいことである。その誤解を解くために必要なものとは何だろうか。それが、この本で示されている、論理的一貫性、理論的パーステクティブという軸である。それはそのまま、質的研究者自身の羅針盤でもある。本書で示されている、質的研究のためのサブストラクション・ワークシートは、研究方法および基盤としてい

にっぽん虫の眼紀行 ★★★
toku/中国人でなく一人の感受性豊かな人間が綴ったエッセイ
日本での留学後、日本の会社で働きながら『歎異抄』の中国語訳本を出版する、知的探求が止まない著者のエッセイ集。本書を読み終えたとき、これは中国人でなく、一人の人間が綴ったエッセイなのだという感想を得た。著者が自ら日本語で執筆したエッセイは、流暢で、風景描写が巧みであり、情景の表現に富んでいる。このエッセイ集は、中国人の慣習からくる日本に対する違和感はいくつか見られるものの、文化の違いをクローズアップ

人間、とりあえず主義 ★★★★★
風紋/ふだん着の思考、実践的相対主義
なだいなだは、単純な言葉で、単純でない考えを述べる。そして、一見とりとめのないけれども柔軟かつ実際的な思考に、形を与えるネーミングがうまい。「カラミ学」がそうだし、「人間、とりあえず主義」もそうだ。「とりあえず主義」とはなにか。理屈を徹底させないでもよいから、「とりあえず」実際に何かを行うこと、それが「とりあえず主義」だ。神さまがいるかいないか、大切な問題には違いなくても難問である。では、神の存在

ロングマン現代英英辞典 ★★★★★
nomad/圧倒的な情報量と使いやすさ
最近までOALD(OxfordAdvancedLearner'sDictionary)とLAAD(LongmanAdvancedAmericanDictionary)のCD-ROM併用でしたが、LDOCE5のDVD-ROMはその2冊とは比較にならないほど圧倒的な情報量と使いやすさです。私の購入理由は、DVDに収録されたコーパスからの追加100万用例文でしたがそれに加えてLongmanの他

筆箱採集帳 ★★★
nyanco/ちょっと覗いてみたくなる、もっと覗いてみたくなる!?
人の本棚も気になりますが、どんな筆箱を使っているかも気になります。職業や年齢、それに人柄が表れていて…。伊東屋の社長さんのこだわりのある筆箱。ちびた鉛筆がぎっちり詰まった箱。懐かしいユニ箱。旅行用歯磨きセットを使って一工夫された美大生の筆箱などなど…。機能性を追求されたもの、観るのも美しいもの、使い込まれた感のある愛着の逸品…。持ち主が筆箱の先に見えてくる感じが素敵でした。個人的にはリシンクのペン

焼き餃子と名画座 ★★★
nyanco/深夜に読むのは禁止です。
フードジャーナリストの平松さん。美味しいものが本当にお好きなのが読み手にもガンガンと伝わってくる文章。特にカレーについて語らせたら、きっとそれだけで一冊書けてしまうのではないでしょうか。東京でちょっと美味しいもののグルメガイドに…と本書を読み始めたのですが、美味しいものについての記述は勿論、エッセイ自体も本当に巧い。最初のお話での『自分の地図』という表現にう~んと唸らせていただきました。ハリッツの

魔女の宅急便 その5 ★★★★★
marekuro/人生の次のステージへ
魔女の宅急便の5巻です。本作においてもキキは鬱積した日々を送ります。原因はやっぱり、トンボさん。もうすっかり遠距離恋愛の恋人同士です。ですが、トンボさんはファーブル博士のごとく虫の研究ばかりしています。そんなトンボさんを見てジジが猫式恋愛術をボヤきます。「猫式というのはね、できるだけそばにいく。姿をあらわす。それにつきる‥」(p44)だそうです。映画ではかなり内容を端折って後半で白猫と家庭を築いて

先を読む頭脳 ★★★★★
marekuro/思考について思考する
実は私は将棋をしません。ですが本書は迷わず購入しました。というのも、理由はいくつかあってひとつは、1分野を極めた方の発言は含蓄のある発言が多く考えさせられるからもうひとつは、将棋という思考が勝負の世界で名を上げた方の思考法が知りたいから。等々というものです。結論から言うと、期待を裏切らない一冊でした。そして読了後の素直な感想ですが、大変面白かったです。本書は構成がちょっと変わっています。以下、目次

世界で一番やさしいインテリア ★★★★★
かれい/インテリアの世界は面白い
インテリアに関する教養的な知識、プランに至るまでの考え方、実際の仕事にも役立つ技術的な事例をはじめ幅広く書かれています。知識を得るためのテキスト的な内容だけでなく、人間の五感や心理とインテリアの関わりなど読み物としても面白かったです。

ぼくの庭ができたよ ★★★★★
るるる☆/「こんな庭がほしいなぁ」
広い庭がある家に越してきたベンジャミン一家。荒れた庭を「町で一番きれいな庭にしてみせるぞ!」と家族で協力し合って、庭造りを始めます。苦労の甲斐あって、夏にはたくさんの花が咲き、野菜は実をつけ、病気だったりんごの木も見事な花を咲かせます。植物が育ち始めると虫がやってくる。鳥も集まってくる・・。素敵な庭に友達もたくさん集まります。花や実で飾りを作って遊んだり、実った野菜を収穫してみんなで食べたり。暑く

スノーマン ★★★★★
スノーウーマン/ついに購入
スノーマンの絵本、毎年この時期になると店頭で目にしては手に取り、ぱらぱらと・・。購入にはいたらなかったのですが・・。ですがっ!!今年、スノーマンの仕掛け絵本が、大日本絵画さんから発売されると知り、買わなきゃ!!と思い、ビーケーワンさんでこうにゅう!!ちょうど、500円割引き券あるし!!と。7日かかると表示されていましたが、意外にも2日で我が家に到着^^早速、ビニールとって表紙をぱら・・このスノーマ

せんねんまんねん ★★★★★
くらら/続いていくんだなぁ
まどさんの1つの詩が、1冊の絵本になるとこんな風になっちゃうんだ!!と感心しきり。生命に終わりはないんだなぁ、時もずっと続いているんだなぁ、全て巡り巡って繋がっているんだなぁと、『ことば』と『絵』からしっかりと読み手に伝わります。絵本になったからこそ、小さな子供にまでも、まどさんのことば『せんねんまんねん』の意味が伝わるのではないかと思います。詩は苦手で・・・と、敬遠される方もいるかもしれませんが

モモ ★★★★
swern/今をどう生きるか
子供から大人まで読める児童小説の代表的な存在であるという事を聞きつけ、大学帰りに本屋で本書を手にしました。人生を豊かに生きるためには、現代社会とどう向き合わなければならないのか。社会と向き合う姿勢、それは仕事、家族、友人などと多くの関係性の中で生きている自分自身と向き合うこと事なのかもしれない。ビジネス(business)という言葉がビジー(busy)、つまり「忙しい」に由来するように、多忙な仕事

魔女の宅急便 その5 ★★★★★
marekuro/人生の次のステージへ
魔女の宅急便の5巻です。本作においてもキキは鬱積した日々を送ります。原因はやっぱり、トンボさん。もうすっかり遠距離恋愛の恋人同士です。ですが、トンボさんはファーブル博士のごとく虫の研究ばかりしています。そんなトンボさんを見てジジが猫式恋愛術をボヤきます。「猫式というのはね、できるだけそばにいく。姿をあらわす。それにつきる‥」(p44)だそうです。映画ではかなり内容を端折って後半で白猫と家庭を築いて

バクマン。 4 ★★★★
くるまる/ついに連載が決まった!
バクマンは少年二人が漫画家を目指す物語。ついに連載が決まった。しかし、アンケート結果を気にしすぎなようにも思える。芸術家は自分の世界を作り上げることに専念してほしい。もしかしたら、小畑健さん本人が、過去にアンケートにそれほど振り回されたことを暗に言いたかったのかもしれない。連載は3話分の下書きが面白ければOK。たった3話で決まる。連載というのは、結構行き当たりばったりなんだねぇ。100話くらいのシ

テルマエ・ロマエ 1 ★★★★★
プチトマ/ローマ帝国の建築家の真面目さに大爆笑
まず奇抜な設定の大勝利!でも登場人物の転がし方がさらに秀逸。表紙と帯の案内文だけで買いましたが大当たり。設定だけであとはつまらないそこらの凡作とは大違い。ローマ帝国の誇り高き帝国民であり、勤勉な風呂建築家のルシウスはある日発想に行き詰まり、公衆浴場で悩んでいたところなぜか現代日本の風呂にタイムスリップ。風呂絵、フルーツ牛乳、露天風呂・・・・他民族の優れた文明にローマ人の自信を失いかけながらもそれを

ねぼけ人生 ★★★★★
toku/自分のペースを貫いた楽天的壮絶自伝
ゲゲゲの鬼太郎の作者である水木しげる氏が、幼少から戦争体験、極貧時代、鬼太郎誕生などについて綴った半生記。水木しげる氏の波瀾万丈というか壮絶な人生が、重くもなく軽くもなく淡々と語られている自伝。これだけの体験をしてきてなぜか悲惨さがそれほど伝わってこないのは、あとがきに『ハッキリしない、ねぼけたような自伝ができてしまった』と言っていることのほかに、水木氏の楽天的な性格も関係しているように思える。水

デコイ ★★★★★
石田カエデ/不会忘記ニ
不会忘記ニ*(お前を忘れない)。人として、いきなり相手の口から故郷の言葉で、そういう一言を聞いたら、泣くことほか何もできないだろう。たぶん、中国人の私であるからこそ、このシーンはそんなに深い印象を残っているかもしれません。忘れない。楽しい過去も、厳しい過去も、愛も、罪も、何もかも、忘れない。すべてのものはすでに血に溶けて、遺伝因子まで刻んでいます。あいつが生きるだけで、たとえ自分は別人になっても、

るすばんねこのぼうけん ★★★★
nyanco/ねこの姿が何とも愛らしくて…
ねこのヘンリーシリーズのメリー・カルホーンの作品ですが、今回の絵はスーザン・ボナーズとヘンリーとは違った作家さんのものです。が、こちらのネコも本当に素敵です。まだ生まれて1年の若いメス猫・ヒルダ。飼い主一家が野鳥の観察に出かけ、山の家で二日間たった一人でお留守番をすることになるヒルダ。「しっかりやらなくちゃ!」とパトロールに出かけたヒルダが家に戻ってみると…。二日分のキャットフードが無くなっていま


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