アニメの舞台が再現された部屋を掃除するファンたち=7日午前、滋賀県豊郷町の豊郷小旧校舎、浅野写す
米国出身の著名建築家が設計し、戦前に「東洋一の小学校」といわれた滋賀県豊郷(とよさと)町の豊郷小学校旧校舎が、全国のアニメファンの熱い視線を集めている。軽音楽部の女子高校生を描いた人気アニメ「けいおん!」の舞台のモデルになったという説があり、多い日には100人以上が訪れる。
先週末の7日。県内外から集まった約50人が旧校舎を大掃除した。大半は若者から中年までの男性アニメファンだ。3階の会議室は、「けいおん!」に登場する軽音楽部の部室のモデルといわれる。学習机の上にはファン持参のティーセットやレプリカのケーキ、窓際にはギターや譜面台を置き、アニメの舞台を再現した。
月に1回訪れるという三重県亀山市の大学3年、杉本大助さん(20)は「ファンに愛されている場所を末永く残したい」と窓や床の掃除に精を出していた。
「けいおん!」は、関西では4〜7月の深夜に民放テレビで放送。番組関連の音楽を収録したCDミニアルバムが週間売り上げ1位を記録するなど人気が沸騰した。アニメの校舎のモデルは豊郷小の旧校舎ではないか――。外観、内装ともそっくりなことから、うわさがインターネットなどで広がり、ファンが押し寄せるようになった。
これを町活性化の好機とみた地元の商工会青年部などが6月、「『けいおん!』でまちおこし実行委員会」を結成。旧校舎で週末だけカフェをオープンし、9月には講堂で主題歌などを演奏するライブも開いた。今回の大掃除もその取り組みの一つだ。実行委メンバーの一人でガソリンスタンドを経営する宮川博史さん(40)は「正直、最初はなぜ掃除までしてくれるのかわからなかったが、校舎がきれいになって感謝しています」。