日本と対戦するカメルーンへの思いを語る坂本休さん=5日、日田市中津江村
来年6月に開幕するサッカーの2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、日本は1次リーグ初戦でカメルーンと対戦することが決まった。02年W杯日韓大会の際、カメルーン代表チームがキャンプを張り、「日本一有名なムラ」として全国の注目を浴びた日田市中津江村。「運命のいたずらですね」。村民は5日、対戦決定に複雑な思いを語る一方、「やっぱりカメルーンを応援する」と話した。
「村民に新たな悩みごとができました…」。02年W杯以降、カメルーンと交流を続けてきた旧中津江村長の坂本休さん(79)=現同村地球財団理事長=は、悩ましげな表情を見せた。
03年と07年に大分で両国の親善試合が行われた際には、全村民の約3分の1が応援団で会場に駆け付け、カメルーン代表に声援を送ったほど。坂本さんは「思いは複雑ですが、初戦はカメルーンを応援します」。
02年当時、キャンプ施設の鯛生スポーツセンターで所長を務めていた長谷俊介さん(55)=鯛生金山所長=は「つくづく縁があると思った」。キャンプ中、選手から「日本と対戦したらどっちを応援するんだ?」と聞かれたことがあるという。「最高の結果はカメルーンが優勝、日本は(目標とする)ベスト4ですかね」
旧村役場近くで民宿を営む川村啓(ひらく)さん(78)は当時を懐かしそうに振り返った上で、「カメルーンのおかげで、『ナカツエ』の名前は日本を超えて世界までとどろいた。今回はカメルーンをしっかり応援して恩返ししたい」と話した。
また当時、未明に中津江村に到着した代表チームを小旗を振って出迎えたという商店経営の鷹野喜美子さん(84)は「あのときの感動は忘れられない。日本人だけど、村民とすればやっぱり気持ちはカメルーンです」と笑顔を見せていた。
<旧中津江村(現・日田市中津江村)とカメルーン> 2002年日韓共催W杯で、同村はカメルーンのキャンプ地となった。選手団の到着が大幅に遅れ、未明に村に到着。それでも多くの村民が出迎えた。それ以来、村とカメルーンの交流が続いている。九石ドームで開かれた03年と07年の日本代表との国際親善試合では、多くの村民が応援に駆け付け、07年にはカメルーン選手と交流を深めた。03年、カメルーンは当時の村長、坂本休さんに両国の友好に貢献したとして「シュバリエ勲章」を贈っている。
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