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扶養控除、来年度廃止へ 政府税調、障害者向けに新控除

2009年12月4日3時0分

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 政府税制調査会は3日に企画委員会を開き、2010年度税制改正で、所得税を減税する「扶養控除」を廃止する方針を固めた。鳩山政権の目玉政策である「子ども手当」の財源にあてる。増税となるため、障害者向けには新しい控除を創設する方針だ。

 廃止・圧縮を検討してきた「配偶者控除」「特定扶養控除」「給与所得控除」は11年度改正の課題に先送りする。

 民主党はマニフェスト(政権公約)に「『控除』から『手当』へ」と明記。扶養家族1人当たり38万円を課税所得から差し引く所得税の扶養控除を廃止して、子ども手当の財源にあてる方針を掲げていた。所得税は1〜12月の暦年で把握するため、11年1月からの実施となる。

 企画委は子ども手当の支給対象にならない23〜69歳の扶養家族についても、廃止を打ち出した。基本的には働いて生計を維持することが可能な世代だ、との考え方からだ。

 ただ、障害などで働けない人などに配慮して「成年障害者等扶養控除(仮称)」を創設する。現行の「障害者控除」の対象者や要介護認定を受けている人など向けに、税額から一定額を差し引く「税額控除」方式を採用する。

 扶養控除廃止を決めたこの日の企画委でも、渡辺周総務副大臣と社民党の阿部知子政審会長が、23〜69歳部分の廃止について「中間層の生活を圧迫する」と反対するなど異論がくすぶっている。4日の全体会合で改めて議論する。

 企画委は、地方税の住民税の扶養控除(控除額33万円)についても廃止する方針。実施は国税より1年遅れの12年1月からとなる。

 扶養控除の廃止により年収700万円で子ども1人の世帯の場合、所得税7万2千円と住民税3万3千円の計10万5千円の増税となる。税収は国税が約8千億円、地方税が約6千億円増えると見込む。

 一方で「子ども手当」の財源として、政権公約は配偶者控除(同38万円)の廃止方針も示していたが、女性の働き方などに影響が大きいため、10年度に改めて議論する。

 高校・大学生世代の子どもが対象の特定扶養控除(同63万円)についても、議論を来年度に持ち越した。高校無償化との関連で高校生世代の部分の圧縮を検討したが、マニフェストに「存続させる」と明記してあり、反対論が強いからだ。(磯貝秀俊)

     ◇

 〈所得税の控除〉 所得税を減税する方法。税金そのものから一定額を差し引く「税額控除」や、所得税を計算するもとになる課税対象額を減らすことで税負担を軽くする「所得控除」がある。控除の廃止・圧縮は増税となる。

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